年代・業界別の残業代・残業時間の平均はどのようになっているのかについてご紹介いたします。
ざっくりポイント
  • 残業代・残業時間は業界ごとに異なり、運輸業・郵便業がもっとも残業時間が長く、残業代支給額では、電気・ガス業が最も高額

目次

【Cross Talk 】残業代・残業時間の平均は年代・業界ごとに異なるものなのでしょうか

私が働く業界全体として、残業時間が多い傾向にあるように感じますが、実際にはどの程度他の業界と比べて残業が多いのでしょうか。また、残業時間は、年代により違いはあるのでしょうか?。

相談者さんのご相談のように、一般的な労働者にとって、なかなか他の業界と自分の従事する業界とを客観的に比較することは難しいでしょう。
全国平均なので、相談者さんの勤務される地域での実情とは多少ずれがあるかもしれませんが、厚労省が毎月発表している、「毎月勤労統計調査」という統計データがあります。最新の情報によりますと、もっとも残業時間が長いとされる業界は運輸業・郵便業で28.6時間(平成31年1月)でした。
他方でもっとも残業代支給額が高かった業界は、電気・ガス業でした。この業界の特徴としては、平均の残業時間が13.6時間であるものの、元々の所定支給額(毎月の基礎給与額)が他の業界よりも高いことから、少ない残業時間でも、高額な残業代の支給がされているといった状況が確認されます。
電気・ガス業の高額な給与は、近年まで監督官庁によって参入が規制されていたため、事実上の競争がなかったことが要因と考えられます。今後は電力会社のガス事業への参入や、石油元売企業による電気業への参入など、異業種からの参入があるため、状況が変化していく可能性があります。
また、年代別の残業代・残業時間の平均の比較としては、2012、2013年の46時間をピークに減少傾向にあり、2018年は28時間であったとする調査記録があります。
残業代についても、残業時間の減少と比例して、減少傾向にあるものと考えます。

なるほど、ほかの業界の場合と比較することで、自分の立ち位置がわかりますね。また、会社に対して、残業時間が多いと主張する場合の根拠となる情報ともなりますね。

業界別を比較してそれぞれの残業代・残業時間の平均を知りましょう。

残業時間をたくさん行っている等の状況がある場合、業界別の平均がどのようになっているのかを知ることで、会社がブラックであるのかを確認する機会となります。

この記事で引用しております、厚労省の「毎月勤労統計調査」については、調査対象として、東京については、500人以上の規模の事業所は全件数調査にすべきところ、1/3程度の事業所を抽出して調査を行っていたとの報道があり、統計データを修正・発表するといったことがありました。なお、最新の速報値の情報は、再集計値に変更されています。

他方で、ここで引用する統計調査は「全国平均」でございます。したがいまして、もとより、東京や大阪等の中心都市における人口の集中を勘案された中央値を求めるものではないため、実感としての生の残業時間の平均とは、いささか乖離があります。

この前提の上で、ここでの記事の内容をみて、転職して業界をかえることや、会社に具体的な残業代請求を行うことへつなげていきましょう。

職種別・残業代の平均

知っておきたい残業代請求のポイント
  • 医療、福祉が最も残業時間の平均が短い
  • いずれの業種の一部を除いて、平均15時間前後の残業がある

冒頭でも触れましたが、職種別の残業代の平均はどのようになっているのでしょうか。

職種別の平均については、厚労省の「毎月勤労統計調査」の最新のものを参照いたしますと、下記のとおりとなります。(※パートタイム労働者を除く。)

職種別の残業代の平均

職種別での残業代がもっとも多いのは、電気・ガス業です。しかし、前項でも説明したとおり、電気・ガス業は他の業種と比較すると、必ずしも、残業時間が長いわけではなく、基本給の高さによって、他の業種より高額な残業代となっているものと考えられます。
他方で、残業時間が短く、かつ、残業代が低いのは、「教育、学習支援業」となっています。

残業代 残業時間
調 査 産 業 計 27,999円 14.6
鉱業、採石業等 26,782円 15.0
建  設  業 28,738円 15.5
製  造  業 39,338円 18.5
電気 ・ ガス業 52,289円 13.6
情 報 通 信 業 33,517円 14.1
運輸業、郵便業 51,804円 28.6
卸売業、小売業 19,528円 11.5
金融業、保険業 25,443円 12.0
不動産・物品賃貸業 22,968円 13.8
学 術 研 究 等 30,535円 15.2
飲食サービス業等 22,995円 16.3
生活関連サービス等 17,608円 11.1
教育、学習支援業 8,861円 11.6
医 療、福 祉 20,107円 7.0
複合サービス事業 23,985円 14.2
その他のサービス業 24,410円 14.5

上の表を見ますと、残業代1位電気 ・ ガス業2位運輸業、郵便業3位製造業です。逆に残業代が少ないのは、1位教育、学習支援業2位生活関連サービス等3位卸売業、小売業でした。

残業時間が長い業種

下記の表のとおり、残業時間がもっとも長い業種は、運輸業・郵便業となります。

産業別年間総実労働残業時間
参考:長時間労働対策 平成29年2月14日 厚生労働省労働基準局

近年は少子高齢化による人手不足の影響で、上記で説明をしてきたとおり、どの業種でも残業時間が発生しています。また、経団連の2018年度の調査においては、近年は労働者1人当たりの総労働時間は減少傾向にあるものの、実際には正社員ベースでみるとほとんど横ばいの状況であり、非正規労働者の増加が、全体の平均を押し下げているといった調査結果がでています(2018年労働時間等実態調査 集計結果 – 経団連)

また、ここでご紹介した調査結果などには現れませんでしたが、各種報道などによると、一般に運輸・郵便業のほかに、介護やその他サービス業などで、時間外労働が多いといわれています。調査結果と必ずしも一致しないのは、調査の方法が基本的には雇用者側へのアンケート方式であって、一部で実体と乖離している箇所があることと考えられます。

未払い残業代を請求しようと悩んだら

残業代を会社に請求することは、なかなか、心理的な問題や時間の都合などがあって、難しいかもしれません。しかし、長時間労働に悩んで、会社を喜ばせることは妥当ではありません。残業代請求で悩んだら、ぜひ、専門家に相談をするようにしましょう(詳細は「これだけは押さえておきたい残業代請求の3つのポイント」を参照してください。)

まとめ

いかがでしたでしょうか。ここでの記事で、何度も取り上げたように、もっとも残業時間が長くなっている業種は、運輸・郵便業でした。この結果は、すでに報道などで一般に知られるところと、乖離はなかったものと思われます。