残業代請求をして負ける場合を知り、負ける可能性を減らそう
ざっくりポイント
  • 残業代請求で負けるとはどのようなことか?
  • 残業代請求で負けるパターンを知る
  • 残業代請求で負ける可能性の減らし方を知る

目次

【Cross Talk】残業代請求に負けないための方法とは?

先日まで働いていた会社では残業代の支払いがありませんでした。
辞めた今となっては取り返したいのですが、きちんと働いた以上対価はもらえるはずで、請求をして負けるということはありませんよね?

いいえ、きちんとしたルールを知っていなければ、裁判に負けるという事もあり得ます。
負ける場合にはパターンがありますので、きちんと知っておきましょう。

残業代請求で負ける場合を知り、負ける可能性を減らそう

今会社に勤めている方でも、会社を退職された方でも、残業をさせられていたにもかかわらず残業代の支払いがない場合には、会社に対して請求をすることが可能です。
しかし、この請求について、相手が任意で支払わない場合には、最終的には裁判・強制執行という方法によるのですが、一歩間違うと裁判で敗訴という事もあり得るのです。
残業代請求で負けないためにも、「負ける」とはどのような事か、「負ける」パターンを知っておき、負ける可能性を少しでも減らしましょう。

残業代請求で負ける場合に多い特徴とは

知っておきたい残業代請求のポイント
  • 残業代請求においての勝ち負けは、残業代を払ってもらえるかどうか、きちんと全額払わせることができるか、という観点から考える
  • 証拠がない、進め方を間違う、といった残業代請求で負けるパターンを知っておく

そもそも残業代請求に負けるのはどういう場合ですか?

特に証拠不足で、残業代を全額請求できない、残業代をそもそも請求できない、といった事が考えられます。

残業代請求で負ける場合にはどのような特徴があるのでしょうか。

残業代請求で「負ける」とはどういう事か

まず、残業代請求で「負ける」というのがどういう意味なのかを知りましょう。
残業代請求の流れとしては、まずは会社に請求をした上で、任意の支払いを促し、会社が任意に支払わない場合には裁判・労働審判といった法的な手続で請求をしていくことになります。
最終的には裁判で決着をつけることになるのですが、後述する通り裁判で残業代として請求できる権利が無いと判断されて請求棄却されたり、残業代の一部しか認めてもらったりできないということが、負けるという意味になります。
ではどのような場合に負けることになるのでしょうか。

残業代請求で負ける原因1:証拠がない

まず、残業代請求で負ける原因としては、請求をするための証拠がないことです。
民事訴訟のルールなのですが、残業代請求のような金銭の請求をする場合には、請求の原因となる事実があることを請求する人が証明しなければならないとされています。
つまり、何らの証拠もなく請求をすることによって、裁判所が残業代は発生していない、という判断をされると残業代の請求は棄却されます。
また、証拠が不十分で、残業代全体の一部しか証明できなかった場合には、本来残業をした分の残業代が発生していると認定されない、一部の残業代しか取り戻せない可能性もあります。

残業代請求で負ける原因2:進め方を間違えた

次に、残業代請求の全体像を知らずに、進め方を間違えたような場合があります。
上述したように証拠がない場面では、請求をする前に証拠を保全すべきですが、証拠を保全せずに請求を行ったために、証拠を隠滅されてしまうと勝ち目が無くなります。
その他にも、請求をしようかどうか迷っていて残業代請求の時効の期間が過ぎてしまう、額が少ない場合によくあるのですが、会社側が残業代の計算方式をごまかすなどして、請求をあきらめさせる方向に誘導されてしまう、といったことが考えられます。
特に何らの知識を持たないで、自分で残業代請求を行うことで、このような事態が発生しやすくなります。

残業代請求で負けるとどうなるのか?

知っておきたい残業代請求のポイント
  • 残業代請求で負けると準備や費用が無駄になる
  • 再度裁判を起こすということは原則できない

残業代請求で負けるとどのような事が起きるのでしょうか。

残業代請求のための準備や費用が無駄になるばかりか、再度裁判を起こすということもできません。

残業代請求で負けるとどんな事になるのかを知っておきましょう。

準備のための労力・費用が無駄になる

残業代請求をするためには、証拠を集める労力がかかり、弁護士に依頼するための費用、裁判を起こすための費用などがかかります。
残業代請求に負けるということはこれらのものが無駄になるという事になります。

裁判のやり直しはできない

そして、裁判は確定してしまうと、基本的には紛争の蒸し返しを防止する観点から、再度同じ内容で裁判を起こすことができないのが原則です。
残業代請求訴訟に負けると、残業代を請求する権利が無いということが確定することになります。

残業代請求で負けないための対策

知っておきたい残業代請求のポイント
  • 証拠はとにかく重要
  • 弁護士に相談・依頼することは確実な手続進行になる

残業代請求で負けないためにはどのような心構えが必要でしょうか。

とにかく証拠の重要性をよく理解するです。その上で、自分で請求をすると思惑通りに進まないこともあるので、弁護士に相談・依頼することは有用であるといえます。

残業代請求で負けないための対策にはどのような事が挙げられるでしょうか。

有効な証拠を集める

まず、残業代請求においては証拠が重要となります。
上述したとおり、最終的には民事訴訟で決着をつけることになり、民事訴訟では証拠がなければ負けます。
逆に言うと、証拠が完全に揃っている状態である場合には相手も裁判をしたら負けると考えて態度が柔軟になることも予想されます。
残業代請求で負けないための重要なコツは、証拠の収集にあると言っても過言ではありません。

残業代請求の経験が豊富な弁護士に依頼する

どれだけ証拠がきちんと集まっていても、手続をうまく進められなかったり、感情的に交渉をしてしまったりする場合がありますので、弁護士に依頼をすることは法的な助力を受けることができるのみならず、冷静な交渉を進めてもらえる点でも有益です。
この時に気を付けたいのが、残業代請求は、労働関係に関する法律知識のみならず、証拠の収集方法のノウハウも必要になる分野ですので、残業代請求の経験が豊富な弁護士に依頼するようにしてください。

まとめ

このページでは、残業代請求に負けるという事について、負けるパターンや対応方法なども含めてお伝えしてまいりました。
きちんと残業したのであるから残業代は当然にもらえるもの、と思っていても、民事訴訟においては証拠がなければ負けてしまいます。
適切な証拠を集めて、相手に応じた請求行為を行うことで負ける可能性を減らすことができるので、弁護士に相談をしながら進めるようにしましょう。