「自分に不利な遺言書が出てきた」
「親を取り込んだ兄弟姉妹が書かせたのではないか」
このような事態になった場合に、どのように対処すればよいでしょうか。
解決のための具体的なご提案や注意しておきたいポイントについて、詳しくご紹介します。
兄弟姉妹間の相続は遺言書があっても争いになりやすい
当事務所に寄せられる相続のご相談の7割は、遺言書がないケースです。
親の遺した遺産について兄弟姉妹間で争いになる場合が多いです。
それでは残る3割の遺言書があるケースについては、兄弟姉妹間の争いは起こらず、遺言書に書かれたとおりに遺産分割が行われるのでしょうか?
生前の親の意思が反映された遺言書があれば、その通りに粛々と相続手続が進みそうなものです。
しかし実際には、遺言書があってもやはり争いになりやすいのが兄弟姉妹間の相続です。
なぜ、遺言があっても兄弟姉妹間の相続では争いになりやすいのでしょうか?
その原因は生前の兄弟姉妹の関係にあります。
兄弟姉妹間の相続では争いになるケースでは、相続開始前から兄弟姉妹の関係がよくありません。
当事務所に寄せられるご相談でも、兄弟姉妹の関係があまり良好ではないお客様が少なくありません。
当事務所に寄せられるご相談で多いのは、たとえば以下のような例です。
「一部の兄弟姉妹だけ取り分が多くて不公平」
「うちの親がこんな内容を書くはずがない」
「認知症の親を囲い込んで、都合のいい遺言書を書かせたのではないか」
「年老いて衰えていた親が、公正証書遺言など書けるはずがない」
このように、遺言が本人の意思を本当に反映したものかに疑義があったり、遺言書の内容に不公平さを感じたりする場合、どのように解決すればよいのでしょうか?
公正証書遺言の場合:作成の過程と真実性について
公正証書遺言は、裁判官、検察官のOBである公証人が関与して作成する遺言です。
公証人が本人の意思を聴取の上書面にし、それを本人の前で読み上げ、その内容に本人が同意した場合に署名押印して作成します。
このように公正証書遺言は、法律のプロである公証人が関与し、厳格な手続きを経て作成されますので、一般的にかなり信憑性が高いものと評価されています。
そのため裁判で公正証書の有効性が争われても無効とされることはほとんどありません。
たとえば認知症の診断が出ていた、心身共に衰えていたという事情があっても、それだけでただちに公正証書遺言が無効となるわけではありません。
この点は、一般市民的な感覚とはズレがあるかもしれません。
公正証書遺言の効力が無効となることはあまりないため、公正証書が遺された場合、その有効性はほとんど争われません。
このような場合、公正証書が有効であることを前提に、その内容が公正でないかどうかが争われます。
具体的には、遺言によって、法律上保証された取り分を侵害されたとして、その取り分を請求することになります。
これを遺留分侵害額請求といいます。
遺言書があっても兄弟姉妹間で見解が分かれてしまう場合として、たとえば以下のような例が挙げられます。
・遺言書に書かれた遺産の内容が、すべての財産を網羅していない
・亡くなられた方の口座からの現金引き出しの経緯に不審な点がある
・遺言書に書かれた遺産の評価額について見解が分かれる
このように各論で見解の相違はありますが、公正証書遺言そのものの有効性を争うのではなく、法律上最低限認められた相続出来るはずの「遺留分」を請求する「遺留分侵害額請求」によって、本来得られるはずの分を金銭で請求するケースが大半です。
自筆証書遺言の場合:まずは現物の確認から
自筆証書遺言は法律が定めた方式で作成する必要があります。
その方式が守られていない遺言が無効です。
そこで、自筆証書遺言の場合まずは現物を入手して、決められた方式通りに作成されているかを確認する必要があります。
また、自筆証書遺言は、公正証書と異なり、作成過程に法律の専門家が関与するとは限らないため、公正証書遺言ほど信用性が高くありません。
そのため、遺言作成時の本人の判断能力について疑義がある場合、裁判で有効性を争うことで無効となることも皆無ではありません。
さらに、遺言自体は有効である前提で、その内容が不公平であるとして遺留分侵害額請求できる可能性があるのは公正証書遺言と同様です。
続いて、不利な遺言が出てきた場合に、どのように状況を捉え、どのように動けばいいのか、具体的な弁護士の役割や、弁護士の活用方法についてご紹介します。
不公平な遺言書が出てきたときに湧き上がる怒り
外形的な要件を満たした遺言書が出てきた場合、その不公平と思われる内容に対し、なかなか納得はしづらいかもしれませんが、それでもいったんは正当なものであると推認されます。
不公平な遺言書が出てきた場合、年老いた親と同居・近居して「親を取り込んだ」兄弟姉妹に対し、多くのお客様が怒りの感情を表明されます。
あるいは相続をきっかけに兄弟姉妹(またはその背後から介入してくる配偶者)に対して疑念を抱くようになったというお客様も多いです。
不公平な遺言書が出てきた、そんなときに親を取り込んだ他の兄弟姉妹に対する怒りの感情が湧き上がってくるのはむしろ当然のことといえます。
遺言書作成の経緯に対する不信感や、遺産分割の内容のあまりの偏りに対するやるせない感情もたくさんあるかと思います。
実際、当事務所に遺産分割についてお問い合せいただく方の大半が、遺言作成の経緯に対する不満を表明されています。
※当事務所では、そのようお気持ちも受け止めながら、相続についてのご相談に対応させていただいております。
不公平な遺言書でも解決のきっかけとなる
そして、話の本番はここからです。
不公平な遺言書が出てきたからといって、それですべてが終わりというわけではありません。
具体的な証拠が出てきたということは、お客様の利益を主張していくためのきっかけが出来たということでもあります。
遺言書には、(不公平と思われる内容でも)対象となる遺産が挙がっており、その内容をスタート地点として話し合いを行うことが出来ます。
どんなに不公平と思われる内容の遺言書だとしても、「遺留分」という法律上認められた最低限の取り分があります。
その遺留分を満たすべく、誰が誰に金銭を請求するかという具体的な数字をともなった協議をスタートできます。
たとえ不公平な内容でも遺言書があった場合の方が、遺言書がまったくない場合よりも、協議の対象となる遺産の範囲が定まっている分、遺産の評価額といった具体的なテーマで協議を行いやすいです。
怒りの感情のその先にある解決への道
不公平な内容の遺言書が作成された経緯に対し、怒りの感情が湧いてくるのは仕方ありません。
しかし実際にお客様の利益を実現するためには、その一歩先へと状況を進め、お客様の主張について法的な正当性で肉付けをして、巧みにお客様の利益の実現を図る必要があります。
そして怒りの感情の先にある解決の道へと状況を動かすのが、弁護士の役割です。
適切な解決方法を提案するのが弁護士の役目
お客様にとって不本意な遺言書が出てきた場合でも、それが公正証書遺言であれ自筆証書遺言であれ、現物を確認し、実際に書かれている内容を元に議論を進めることが重要です。
遺言書等、何らかの書面がある場合、現物を確認して、お客様の利益を実現するためにどのような主張や交渉をすればよいのか適切な作戦を立てるところから、弁護士を活用するのが得策です。
お手元に、遺言書やその写しなど、現物の証拠がそろえばそろうほど弁護士もお客様に有利になるような作戦を立てやすくなります。
過去に当事務所で解決に導いた事件からも、具体的な証拠がそろえばそろうほどお客様の利益の実現に向かって状況が変わっていくことが明らかです。
いかなる遺言書が出てこようとも、まずは冷静に入手可能な証拠を集めつつ、適切な作戦を立てることが、解決に向けての第一歩です。
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遺産の範囲が明らかでない場合は要注意
遺言書や遺産分割協議書に「その他一切の財産」など、具体的でない書き方で遺産の分割が指定されている場合にも注意が必要です。
たとえば「その他一切の財産」と書かれていたら、その内容を兄弟姉妹全員が正確に認識しているのかどうかが重要です。
仮に、特定の兄弟姉妹だけが把握しているような、遺産を隠匿するような状態があると、後でたいへん揉める原因になります。
そのような事態を避けるためにも、遺産を漏らすことなく捕捉するために、しっかりと財産調査を行う必要があります。
当事務所の弁護士たちも、過去に扱ってきた多くの遺産分割問題を通じて、財産を効率的かつ的確に調査するためのポイントによく通じています。
弁護士は、相手方兄弟姉妹と交渉するだけではなく、交渉の材料をそろえるための調査にも長けていると認識していただくと、弁護士をより効果的に活用していただけます。
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不公平な内容の遺言書と弁護士
弁護士は、ただ法律に詳しいだけの専門家ではありません。
不公平な内容の遺言書が出てきた場合、どのように自分の利益を主張して実現していくのかについて交渉のシナリオづくりをし、実際に話し合いに介入する実行力があります。
実際の交渉の場となる家裁における調停の使い方や流れにもよく通じています。
家裁における手続きは意外と難しくはありませんし、難しいところがあればそこは弁護士が万全のサポートを行います。
不公平な内容の遺言書が出てきた直後の怒りと孤独感から解放され、弁護士という味方が現れることで、自分が具体的に何をすればいいのか見えるようになります。
家裁での調停の手続きや弁護士の存在も身近なものとして感じていただき、お客様の利益実現のために積極的に活用していただくのがベストです。
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なぜ弁護士が介入すると納得がいかない状況を動かせるのか?
不公平さを感じさせる遺言書が出てきてしまった場合、感情的には納得がいかないかもしれません。
率直に言って、何をするにも手に付かなくなるぐらい、この遺言書を親に書かせたと思われる兄弟姉妹に対して腹立たしくなることもあるということです。
不公平な遺言書はそれぐらいお客様のメンタルに影響のあるものであり、言い尽くせない腹立たしさや、やるせなさも、まったく道理のある話です。
過去にさかのぼり、生前の親と自分の関係や、自分と兄弟姉妹の関係が思い起こされることもしばしばあります。
当事務所にご相談いただくお客様の中には、子供の頃から自分が兄弟姉妹の中でいかに不公平な扱いを受けてきたかについて切々と語る方もいらっしゃいます。
しかも遺言書を書いた(書くように誘導されたかもしれない)親はもういないという状況に、やり場のない感情がこみ上げてくるのはむしろ当然のことです。
しかしお客様ご自身の利益を実現するためには、そのような状態から一歩前に進み、ご自身の利益を法的に主張していく必要があります。
とはいっても親が亡くなった今、兄弟姉妹と交渉するのは自分しかいません。
しかも法律的な根拠をもって相手方の兄弟姉妹に主張するのは簡単なことではありません。
親の遺した遺言書だけで話を終わらせないというのは、一人で立ち向かっていくにしてはあまりにも過大なストレスです。
その簡単ではない部分を力強くサポートするのが、まさに弁護士の役割です。
感情どうしがぶつかり合いがちな難しい状況に弁護士が介入し、法的な協議に持ち込むことで、解決に向けて状況を前進させることが出来ます。
弁護士は機械的に法律論を展開して主張をするわけではありません。
兄弟姉妹間の微妙な感情の機微も感じながら、対立が激化しがちな場を収め、話し合いを前へ進めるというのも弁護士の大事な役目です。
一口に解決と言っても、その方法はいろいろな枠組みが考えられます。(遺留分侵害額請求・遺産分割協議への介入・遺言無効確認等)
どのような枠組みが最もお客様の利益にかなっており、実現可能性が高いのか、その枠組みを適切にご提案できるのが弁護士です。
実際の相続の現場は、テレビの法律バラエティ番組のように一問一答で正解が導けるような状況ではなく、事態はもっと複雑です。
弁護士はご家族の状況を踏まえて、粘り強く解決に向けて取り組み、したたかに現実の利益の実現を図っていきます。
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自分に不利な遺言書が出てきたらまずはご相談を
一見自分が不利に思える遺言書が出てきた場合でも、法律と交渉のプロである弁護士に相談するのが、遠回りに見えて実は早道です。
(1)不利な遺言書が出てきたら、遺言書の現物を確認して作戦を立てる
(2)不利な遺言書も、自分の利益実現のための機会ととらえる
このように、不利な遺言書が出てきてもそれで終わりではなく、むしろそこが話し合いのスタート地点と考えることで、解決への道が見えてきます。
そして実際に、兄弟姉妹間の遺産分割でお困りのお客様から、当事務所には日々多くのご相談が寄せられています。
なお、時間が経てば経つほど、遺言書どおりにどんどん遺産分割が進められてしまう点にはご注意ください。
すると財産が相続人の間で散逸してしまい、本来お客様が法律上の規定で受け取れるはずの分(遺留分)を取り戻すまでに余分に時間がかかってしまうというリスクが発生します。
遺留分を取り戻す「遺留分侵害額請求」を行うには、相続の発生すなわち被相続人の方(親)が亡くなられてから1年以内という期限が設けられています。
不公平な遺言書が出てきた、そんなときにネガティブな感情が湧き上がってしばらく何も手に付かなくなるのは、いったんは仕方ありません。
しかし肝心なのはその次の行動です。
(1)可能であれば遺言書の現物または写しを手に入れる
(2)お客様が把握している親の財産を紙に書いて整理してみる
(3)生前の親と兄弟姉妹の間でのやり取りや、兄弟姉妹とお客様のやり取りや関係性などを時系列に紙に書いて整理してみる
(4)生前の親と兄弟姉妹の間での財産のやり取りがあれば、分かる範囲で紙に書いて整理してみる
上記のうち、可能なことだけでも着手していただいてからご相談いただけると、お客様の頭の中でもよりいっそう状況が整理され、弁護士にご相談いただいた際にも次に向けての的確な作戦を立てやすくなります。
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兄弟姉妹から遺産について書かれた書面が届いたら要注意
気をつけたいのは、正式な遺言はないけれど親が生前にこう言っていたとか、遺言書ではないけれどメモやノートをつけていた等と主張し、地元で親と一緒に同居していた兄弟姉妹の方が、遺産分割について書かれているらしい書面を送ってきた場合です。
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東京新宿法律事務所の弁護士たちの取り組み
兄弟姉妹での遺産分割のご相談に対応する当事務所の弁護士の取り組みをご紹介します。
ただ法律に詳しいだけではない当事務所の弁護士のノウハウを、ぜひご活用下さい。
1.法律と交渉のプロフェッショナルとして
当事務所の弁護士は、過去に多くの相続問題に関わってきました。
お客様に不利な遺言書が遺されていた場合にも、ご相談者の利益を主張し、交渉してきた経験が豊富です。
このように多くの相続事件を解決に導いてきた経験の中で培われた、解決のための引き出しを数多く持っています。
例えば、遺言書の内容を確認し、財産の調査によって遺産の全容をつかんで遺産の隠匿がないか等を調査する能力があります。
家庭裁判所での調停になれば、少しでも調停を有利に進めるノウハウを活用します。
ご家族ご兄弟間との交渉を行う場合、相手の心理状況に適切に配慮しつつ介入します。
私たち東京新宿法律事務所の弁護士は、ただ法律に詳しいからプロフェッショナルなのではありません。
法律の専門知識とこれまでの経験から得たノウハウを実際の事件の中で駆使して、解決に導くところに、私たちの本質的な価値があります。
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2.お客様の人生への敬意と想像力
当事務所の弁護士は、お客様のこれまでの歴史を尊重し、ご家族の状況やお互いの関係をよく洞察し、心情的なレベルでご相談者の理解者として寄り添います。
「不公平な遺言書が出てきた!」
そんなときに湧き上がるネガティブな感情にも寄り添い、お客様の兄弟姉妹への複雑な思いの丈を理解し、お客様目線での「ちゃんと自分の話を聞いてもらっている」という安心感を何よりも大事にしています。
(この姿勢は、電話面談やオンラインビデオ面談でも変わることはありません)
お客様に寄り添いながら事態を打開するために必要なのは、法律の知識や交渉のテクニックだけではありません。
納得のいかない遺言書が出てきたときの心の機微へのまなざしがあってこそ、事態を動かすことができると私たちは考えています。
そして何より大事なのは、お客様のお気持ちにしっかり寄り添い、信頼していただくために必要な、お客様の人生に対する敬意と想像力です。
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3.相続問題の本当の解決と平穏な日常
当事務所の弁護士は、不利な遺言書がある状態において、お客様の財産的な利益を実現するだけではありません。
相続人どうしの複雑な心情やご事情、相続問題の解決後のご家族の関係にも配慮したうえで、お客様をサポートいたします。
相続問題の解決とは、お客様が得るべき遺産相当額を受け取ることだけではなく、お客様の心を安らかにし、平穏な日を取り戻すことを意味します。
そのために力を尽くして取り組むのが、私たち東京新宿法律事務所の弁護士です。
年老いた親が亡くなった後に自分にとって不利な遺言書が出てきたとき、どのように対処していいのか分からない、あるいは遺言書の内容や作成の経緯に納得がいかないという場合は、ぜひ当事務所までご相談ください。
お客様やご兄弟姉妹の皆さまのこれまでの経緯や現状、そして今のお客様の率直なお気持ちを、ぜひお聞かせください。
兄弟姉妹の方との関係を考えると、交渉のテーブルにつくのも難しい…そう思ったときが、ご相談いただくためのベストなタイミングです。
お客様が不公平な遺言書に由来する悩みや怒り、ストレスから解放された状態で過ごせる日を取り戻すために、やさしく丁寧に、そして力強くサポートさせていただきます。
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