「母の離婚以降は交流なかった父の相続人に」「もうかかわるつもりはなかったのに」ステップファミリーに必ず起こる疎遠な血縁者との相続問題を解決に導きます。

目次

離婚・再婚で疎遠になった親の相続で起きること

離婚しても親子関係は続き、子は相続人になる

離婚をしても、親と子の関係が切れることはありません。
親権をどちらが取ったか、その後に交流があったかどうかにかかわらず、子は親の相続人であり続けます(民法第887条1項)。
何十年も会っていない父親が亡くなった場合でも、その子は相続人です。
逆に、離婚した元配偶者は相続人になりません。
配偶者としての相続権は婚姻関係を前提とするものだからです。
つまり、離婚後に疎遠になった親の相続では、「子は相続人だが元配偶者は相続人ではない」という関係になります。

再婚相手や異母・異父のきょうだいも相続人になりうる

親が再婚していた場合、その再婚相手も相続人になります。
再婚先で生まれた子も、当然に相続人です。
法定相続分は、次のように決まります(民法第900条)。

・配偶者と子が相続人……配偶者2分の1、子2分の1(子が複数なら人数で等分)

たとえば、父が亡くなり、再婚相手と、再婚先の子1人、前の婚姻の子1人が相続人であれば、再婚相手が2分の1、子がそれぞれ4分の1ずつです。
前の婚姻の子だからといって、取り分が減ることはありません。
一方、再婚相手の連れ子は、養子縁組をしていなければ相続人になりません。
同居して育てられていたとしても、法律上の親子関係がなければ相続権はないという点は、見落とされやすいところです。

ステップファミリーの相続でもめやすい理由

離婚した父母の間に子供がいる場合、離婚の際にどちらが親権を得るかどうかにかかわらず、子供は父母の推定相続人であり続けます。
離婚して父母が疎遠になった後に父母のいずれかが亡くなり、相続が発生した場合に、遺産の分割が問題になるケースが多いです。
父母が別な新たな配偶者と再婚して新しい家庭を築き、再婚により新たに子供が生まれた場合など、被相続人と相続人であるにもかかわらず、お互いの存在をほとんど認識していないケースもめずらしくありません。
このように相続人と被相続人の関係であるにもかかわらず、離婚や再婚を経てお互い疎遠なまま生活し、やがて遺産分割が問題になるケースが後を絶ちません。
ここでは、離婚や再婚によって疎遠となったステップファミリーにおける相続問題の解決のヒントについて、ご紹介します。

疎遠な親の相続で最初にすること(相続人調査)

出生から死亡までの戸籍を集めて相続人を確定する

親が亡くなった場合、まず相続人を確定させるために相続人調査を行います。
亡くなった親の出生から死亡にいたるまですべての戸籍謄本等をそろえ、途中で子供の出生や養子縁組、認知等を確認し、相続人を遺漏なくピックアップする必要があります。
離婚や再婚を経たステップファミリーの場合、まずこの相続人調査が煩雑なものとなります。

認知・養子縁組・異母や異父のきょうだいの確認

離婚によって家族が離ればなれとなり、別れた父母がそれぞれ再婚によって新しい家庭を営む場合、多くのケースで子供と、子供の親権を取らなかった方の親は疎遠となります。
疎遠になるだけでなく、親が再婚した先でも子供が生まれた場合、お互い交流がないところでそれぞれの家庭で子供が成長し、成人し、やがて子供も結婚して子供が生まれ、また新しい生活が始まります。
このように血縁者であるにもかかわらず、お互い面識のないまま、離婚した親が亡くなった際にはいずれの子供も相続人となります。
相続が発生した時点で子供がすでに亡くなっており、子供の子供、すなわち孫の代まで代襲が発生するケースもあります。
しかし自分が存在を認識できない血縁者が含まれると、その分揃えなければいけない戸籍謄本が増え、戸籍謄本の取り寄せるために問い合せる、(遠隔地も含めた)本籍地市役所等の数も増えていき、それだけ日数も要することになります。
戸籍謄本等の揃え方や読み方などは、お近くの市役所等の市民課窓口でも教えてもらうことができますが、実際に各地の役所に請求するのは相続人の方ご自身になり、そこで思わぬ労力を取られることになります。

財産調査もあわせて行う

また、相続人調査の他にも遺産の全容を把握する財産調査もまた、相続問題の解決のためには欠かせないステップです。
たとえば両親の離婚によって母親に引き取られた子供と、離婚後、再婚せずに独身のまま亡くなった父がいた場合、身寄りのない父親の財産をどのように扱うかについて、子供たちが主導して決めなければならないケースもあります。
相続人を確定させるだけならともかく、長年にわたって交流のなかった父親の遺産の全容を調査するというのは、現実の生活においては相当労力を要することです。

突然「相続の連絡」が来たときの対応

すぐに押印や署名をしない

何十年も連絡のなかった相手から、突然「相続の件で」と手紙が届くことがあります。
遺産分割協議書が同封されていて、署名と実印の押印を求められることも少なくありません。
このとき、内容を確認しないまま押印することは避けてください。
遺産分割協議書に実印を押すと、その内容で合意したことになります。
後から「よく分かっていなかった」と主張しても、覆すのは容易ではありません。
とくに「相続分がないことを確認する」「一切の権利を放棄する」といった文言が入っている場合は注意が必要です。
急かされても、いったん持ち帰って確認する時間をもらいましょう。

まず連絡者の立場と相続財産を確認する

確認していただきたいのは、大きく2つです。
1つは、連絡してきた人が誰で、自分とどういう関係にあるのかということです。
戸籍を取り寄せれば、相続人が誰で、自分の法定相続分がどれだけかを確かめられます。
もう1つは、遺産にどのような財産があり、いくらあるのかということです。
提示された遺産の一覧が財産のすべてとは限りません。
不動産の登記事項証明書や預貯金の残高証明書といった、裏づけとなる資料を見せてもらいましょう。
遺言書があるかどうか、借金がないかどうかも、あわせて確認します。

期限のある手続きがあるので早めに対応する

内容を確認する時間は必要ですが、放置してよいわけではありません。
相続には期限のある手続きがあるためです。

・相続放棄・限定承認……自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月(民法第915条1項)
・相続税の申告・納付……相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月(相続税法第27条1項)
・相続登記の申請……所有権を取得したことを知った日から3年(不動産登記法第76条の2)

とくに、借金がある可能性がある場合には、3か月の期間に注意が必要です。
財産の調査に時間がかかる場合には、家庭裁判所に申し立てて期間を延ばしてもらう方法もあります(民法第915条1項ただし書)。

疎遠な相続人への連絡方法

連絡が必須である理由

相続人調査によって相続人を確定させて終わりではありません。
遺言があれば遺言に従って遺産の分割が行われ、遺言がなければすべての相続人による遺産分割協議によって遺産の分割が行われます。
遺言があったとしても、疎遠となった相続人の遺留分については、離婚や再婚、没交渉であることとは関係なく、法的な権利として留保され続けます。
とはいえ、まったく交流のない、しかもしばしば感情的に複雑な思いも沸き起こることが多い元配偶者側の血縁者とファーストコンタクトを取ること自体、たいへん気の引けるものです。
話し合うと言っても、同じ場所に集まって協議する必要はなく、書面のやり取りだけでも協議は進められますが、その連絡を取り合うこと自体がとてもわずらわしく感じられるのは、無理もありません。

手紙で伝える内容

最初の連絡は、電話や訪問ではなく手紙が適しています。
相手に考える時間を持ってもらえますし、こちらの説明も正確に伝わるためです。
手紙には、少なくとも次のことを書きます。

・自分が誰で、被相続人とどういう関係か
・被相続人がいつ亡くなったか
・相手が相続人であること、そのことを戸籍で確認したこと
・分かっている範囲の遺産の内容(資料の写しを添えると丁寧です)
・こちらの連絡先と、返事をいただきたい期限の目安

突然の連絡になることへのお詫びを一言添えるだけでも、受け取る側の印象は変わります。

トラブルになりやすい連絡の避け方

最初の連絡の仕方で、その後の話し合いの進みやすさが決まってしまうことがあります。
次のような進め方は、相手の不信感を招きやすいといえます。

・遺産の内容を示さずに、いきなり協議書への押印だけを求める
・「相続分はない」「放棄してほしい」と結論だけを伝える
・短い期限を切って回答を迫る
・過去の経緯や感情的な事情を長く書き連ねる

相手にとっては、こちらもまた「知らない人」です。
事実を淡々と、必要な情報を添えて伝えることが、結局は近道になります。

弁護士を通じて連絡する方法

自分で連絡することにためらいがある場合は、弁護士を通じて連絡することもできます。
代理人からの連絡であれば、感情的なやりとりを避けやすく、説明も法的に整理された形で伝わります。
相手が返事をくれない場合や、話が進まない場合の対応も、そのまま任せることができます。
一方で、弁護士名の書面が届くと身構えてしまう方もいますので、事案によっては、まずご本人からお手紙を出していただくようご提案することもあります。

遺産分割協議の進め方

連絡後に遺産分割協議を行う流れ

離婚や再婚によって疎遠になった血縁者同士の話し合いになったとしても、遺言書通りの遺産分割に対して異を唱える方がいなかったり、遺言書がなくても法定相続分にしたがって分割することに争いがない等、すんなり決着がつく場合はまだよいのです。
しかしそうでない場合は、協議の進行自体が困難をきわめることになります。
離婚後に母親に引き取られた子と、父親の再婚後の家族のように、長年交流のなかった血縁者同士が、お互いの言い分を主張し合って、遺産の分割方法について合意を得るというのは、遺産の数字上の操作で済む話ではなく、数十年単位の感情的なわだかまりが再び呼び起こされかねない、非常に難しい話し合いとなります。

まとまらない場合の調停・審判

話し合いでまとまらない場合には、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てます。
調停は、調停委員が当事者双方から交互に事情を聞き、合意を目指す手続きです。
相手方と顔を合わせずに進められるため、感情的な対立がある場合にはかえって進めやすいことがあります。
申立先は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所か、当事者が合意で定める家庭裁判所です。
相手方が複数いる場合は、そのうちの1人の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てることができます。
調停でも合意に至らないときは、自動的に審判の手続きに移り、家庭裁判所が分け方を決めます。

関わりたくない場合の選択肢(相続放棄)

相続放棄の期限は3か月

「疎遠だった親の相続に関わりたくない」というお気持ちを持たれる方は少なくありません。
その場合の選択肢が相続放棄です。
相続放棄をすると、初めから相続人とならなかったものとみなされます(民法第939条)。
プラスの財産も借金も、いっさい引き継ぎません。
遺産分割協議に参加する必要もなくなります。
期限は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月です(民法第915条1項)。
疎遠な親の相続では、亡くなったことを何年も後に知ることがありますが、その場合の起算点は「知った時」ですので、まだ間に合うことがあります。

家庭裁判所への申述と次順位の相続人への影響

相続放棄は、相続人どうしの話し合いで決めるものではありません。
被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申述をして、受理される必要があります。
遺産分割協議書に「何も相続しない」と書いて署名することは、法律上の相続放棄ではありません。
この場合、借金があれば債権者から請求を受ける可能性が残ります。
また、相続放棄をすると、相続権が次の順位の人に移ります。
子が全員放棄すれば親や祖父母へ、その方々もいなければ兄弟姉妹へと移っていきます。
借金を理由に放棄する場合には、次順位になる方に事情を伝えておかないと、思わぬ迷惑をかけることになります。
なお、相続財産を処分してしまうと、単純承認をしたものとみなされて放棄ができなくなることがあります(民法第921条1号)。

遺産分割で進める場合との違い

遺産にプラスの財産が多い場合は、相続放棄をすると受け取れるはずの財産まで手放すことになります。
関わる手間を避けたいだけであれば、弁護士に代理を依頼して、遺産分割で解決するという方法もあります。
この場合、相手方とのやりとりはすべて代理人が行いますので、直接連絡を取る必要はありません。
どちらを選ぶかは、遺産の内容と借金の有無を確かめてから判断されることをおすすめします。

疎遠な親の相続を弁護士に依頼するメリット・当事務所の対応

相続人調査・財産調査を代わりに行える

当事務所は、30名以上の所属弁護士と、弁護士をサポートする法律事務の専門職(パラリーガル)を多数抱えています。
相続人調査にあたり、弁護士は、依頼者の方に代わって各地の市役所等に戸籍謄本を請求することが戸籍法によって認められています。
昭和時代のある時期と平成期において、各地で市町村合併が急速に行われ、亡くなった方の出生時の戸籍が、現在どの市町村に属するのかを調べるだけでも苦労する例もめずらしくありません。
そのような煩雑な相続人調査や財産調査を迅速かつ正確に行うにあたって、事務手続きを専門に行うパラリーガルを多数抱えている当事務所のマンパワーにより、お客様の労力とストレスを大きく軽減できます。

疎遠な相手への連絡・交渉を代理できる

遺産分割について他の相続人との交渉を代理することができるのは、弁護士に限られます(弁護士法第72条)。
最初の連絡から、遺産の内容の開示を求めるやりとり、分け方の交渉まで、代理人として対応します。
相手方が財産の内容を明かさない場合には、弁護士会を通じて金融機関などに照会をかける方法もあります(弁護士法第23条の2)。
話し合いがまとまらず調停・審判に進んだ場合も、同じ弁護士がそのまま対応できます。

複雑な感情に配慮して協議を進められる

相続人を全員把握した後は、相続人同士連絡を取り合い、遺産分割についてどうするか協議する必要があります。
そのためのファーストコンタクトすら億劫に感じられるお客様も多いですが、そこも含めて、ステップファミリーの相続事件について経験を積んでいる当事務所の弁護士におまかせいただくのがスムーズです。
当事務所の弁護士は、疎遠だった相互のご家族の歴史や、相続人同士の複雑な心情やご事情についても配慮したうえで、遺産分割協議をサポートします。
お客様に寄り添いながら事態を打開するのに必要なのは、法律の知識や交渉のテクニックだけではありません。
「疎遠な血縁者と話し合うのも億劫だ」
「昔の感情的ないさかいを思い出したくない」
そのように感じられたときこそが、まさにご相談いただくタイミングです。

税理士法人との連携で相続税まで対応できる

遺産分割がまとまると、次に相続税の申告が必要になることがあります。
当事務所はグループの税理士法人と連携しており、遺産分割の解決から相続税の申告まで、窓口を分けずに対応することができます。
遺言・相続に関する初回のご相談は無料でお受けしています(ご依頼いただく場合には、別途弁護士費用と実費が発生します)。

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よくある質問

もらえます。
離婚や別居によって親子関係が切れることはなく、交流がなかったことを理由に相続分が減ることもありません。
遺言書で他の相続人にすべてを相続させるとされていた場合でも、兄弟姉妹以外の相続人には遺留分がありますので、金銭の請求ができます(民法第1042条1項)。
ただし、遺留分侵害額請求には、相続の開始と侵害を知った時から1年という期間の制限があります(民法第1048条)。
連絡を無視しても、相続人でなくなるわけではありません。
話し合いが進まなければ、相手方は家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てます。
調停に出席しないままでいると、審判に移り、家庭裁判所が分け方を決めることになります。
その結果、自分の言い分がまったく反映されないまま結論が出てしまうことがあります。
関わりたくない場合でも、放置ではなく、相続放棄か代理人を立てるかを選ぶほうが安全です。
戸籍の附票を取り寄せれば、住民票上の住所を調べることができます。
多くの場合、これで所在は判明します。
住民票上の住所にも住んでおらず、本当に所在が分からない場合には、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てる方法があります(民法第25条1項)。
この場合、管理人が家庭裁判所の許可を得て遺産分割協議に参加することになります(民法第28条)。
遺産に借金が多い場合は相続放棄、プラスの財産が多い場合は遺産分割を選ぶのが基本です。
判断のためには、まず遺産の内容を確かめる必要があります。
ただし、相続放棄には3か月という期間の制限がありますので、調査に時間がかかりそうであれば、期間の伸長を申し立てておくと安心です。

まとめ

このページでは、離婚や再婚を経て疎遠になった親の相続についてお伝えしました。
疎遠であっても子は相続人であり続け、遺産分割には相続人全員の関与が必要です。
まずは戸籍で相続人を確定し、遺産の内容を確かめたうえで、遺産分割で進めるか相続放棄をするかを判断することになります。
突然の連絡に戸惑われている方も、連絡を取ることをためらわれている方も、どちらの立場からのご相談にも対応しています。
当事務所では、遺言・相続に関する初回のご相談を無料でお受けしています(ご依頼いただく場合には、別途弁護士費用と実費が発生します)。

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