寄与分の相場・計算式とは?
ざっくりポイント
  • 寄与分の相場とは?
  • 寄与分がもらえる条件とは?
  • 寄与分の計算式とは?
目次

【Cross Talk】寄与分の相場はいくらですか?

もらえる寄与分の相場はどのくらいなのでしょうか?

寄与分は、個々の事情によって計算方法が異なります。

寄与分の相場・計算方法について、詳しく教えてください。

寄与分は、タイプによって計算方法が異なる

亡くなった方の介護や家業に貢献した場合には、寄与分を請求できる可能性があります。それでは、寄与分がもらえるのはどのような場合で、もらえる寄与分の相場はどのくらいなのでしょうか?この記事では、寄与分とは何か、寄与分が認められるための条件、そして具体的な計算方法の目安について、弁護士が解説していきます。

1. 寄与分の相場は?いくらが目安?

知っておきたい相続問題のポイント
  • 寄与分の相場は?
  • 寄与分が認められる人とは?

寄与分の相場はいくらくらいでしょうか?

寄与分は、相続人の貢献度によって大きく異なります。

寄与分とは

寄与分とは、亡くなった方(被相続人)の財産が、ある特定の相続人の特別な貢献によって維持されたり、増加したりした場合に、その相続人が他の相続人よりも多くの遺産を受け取れるようにする制度です。
たとえば、「被相続人の家業を無償で手伝っていた」、「仕事を辞めて被相続人の介護に専念した」などが該当します。これは、被相続人の財産形成や維持に貢献した相続人と、そうでない相続人との間の公平を図ることを目的としています。

関連記事:寄与分とは?親の介護をしたら相続分が増える?認めれられるために必要な条件とは?

寄与分の相場


寄与分を「いくらもらえるのか」端的に教えて欲しいという方もいらっしゃるかもしれません。しかし、結論からお伝えすると、寄与分には明確な「相場」や「上限」というものがありません。なぜなら、寄与分の金額は、被相続人への貢献度合いによって大きく異なるからです。
民法には、「寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、寄与分を定める」と規定されており(第904条の2第2項)、非常に多岐にわたる要素が考慮されます。そのため、一概に「〇百万円」といった金額を提示することは困難です。
過去の裁判例では、数百万円から1,000万円程度が認められることもありますが、あくまで個別の事例の結果であり、全てに当てはまるわけではありません。

寄与分をもらえる人


寄与分を主張できるのは、原則として「相続人」に限られます。
民法第904条の2第1項で、共同相続人の中に被相続人の財産の維持または増加に特別の寄与をした方がいる場合に、その方の相続分に寄与分を加えることが認められています。
相続人の範囲や順位については、以下の通りです。
  • 配偶者:常に相続人になる
  • 第一順位:子またはその代襲相続人(孫やひ孫など)
  • 第二順位:直系尊属(父母や祖父母など)
  • 第三順位:兄弟姉妹またはその代襲相続人(甥姪など)
一方で、相続権を持たない内縁の妻や、長男の妻(嫁)などは、たとえ被相続人の介護に尽力したとしても、原則として寄与分を直接主張することはできません。しかし、2019年の民法改正により、こういった相続人以外の親族でも、一定の要件を満たせば「特別寄与料」として金銭の支払いを相続人に請求できる制度(民法1050条)が新設されたため、相続人ではない親族の貢献も考慮されます。

2. 寄与分がもらえる条件

知っておきたい相続問題のポイント
  • 寄与分が認められる要件とは?
  • 特別の寄与が必要

寄与分が認められるのはどのような場合ですか?

ここでは、寄与分が認められる要件について解説していきます。

被相続人の財産が維持・増加したこと

寄与分が認められるための大前提として、相続人の貢献が被相続人の財産の維持または増加に経済的な影響を与えたことが挙げられます。具体的には、相続人の行為によって被相続人の財産が減少するのを防いだり、負債が増えるのを阻止したり、あるいは実際に財産が増加したり、負債が減少したりした場合に寄与分が考慮されます。
例えば、家業に無償で従事することで売上向上に貢献したり、寝たきりの被相続人を自宅で介護することで施設入居費用や介護士雇用の費用を大幅に削減したりする場合が該当します。単に被相続人を精神的に支えたというだけでは、経済的な貢献とはみなされず、寄与分は認められません。
重要なのは、その貢献と財産の維持・増加の間に因果関係があることです。例えば、家業の農業を手伝ったとしても、天候不順で収穫量が激減し、結果的に売上が伸びなかったという場合には、貢献があったとしても財産の増加には繋がらなかったと判断され、寄与分が認められない可能性があります。

通常期待される程度を超えた特別の寄与があること

寄与分を主張するためには、相続人の貢献が「特別の寄与」である必要があります。これは、被相続人と相続人の間の関係性(夫婦、親子など)において、通常期待される範囲を超える貢献でなければならない、という考え方です。
例えば、夫婦間には互いに協力し扶助する義務(民法第752条)があり、親族間には互いに助け合う義務(同法第730条)や扶養義務(同法第877条)があります。そのため、単に配偶者が家事を行うことや、子どもが親と同居して身の回りの世話をする程度の行為は、これらの法律上の義務の範囲内とみなされ、原則として特別の寄与には該当しません。
特別の寄与と認められるには、以下のような要素が考慮されます。
  • 貢献に対する相当な対価を受け取っていないこと(無償性)
  • 一時的ではなく長期間にわたって貢献していたこと(継続性)
  • 片手間ではなく、その行為に専念、あるいはかなりの負担があったこと(専従性)
関連記事:相続人以外にも寄与分は認められる?特別寄与料が認められる条件や決め方

3. 寄与分の計算方法

知っておきたい相続問題のポイント
  • 寄与分の計算方法とは?
  • 5つのタイプ別の計算方法とは?

寄与分はどのように計算すればいいのでしょうか?

ここでは、具体的な寄与分額を算出する計算方法について解説していきます。

家事従事型の場合

家事従事型は、相続人が被相続人の家業に無償、またはそれに近い形で従事し、財産の維持・増加に貢献した場合に適用されます。家事従事型の寄与分は、以下の計算式で算定されます。
  • 本来得られたはずの年間給与額 × (1 - 生活費控除割合) × 寄与年数
「本来得られたはずの年間給与額」とは、被相続人の事業内容や規模、同業種・同年齢の平均賃金(賃金センサスなどを参考にします)を基に算出されます。
「生活費控除割合」とは、相続人が被相続人から生活費や住居費などの援助を受けていた場合、その分を寄与分から差し引く割合です。同居している場合などによく適用されます。
「寄与年数」は、被相続人の事業に従事した期間を指します。

金銭等出資型の場合

金銭等出資型は、相続人が被相続人の財産に対して、金銭や不動産などの財産を直接提供した場合に適用されます。以下のように、出資の形態によって計算方法が異なります。
  • 金銭を贈与した場合:贈与額 × 貨幣価値変動率 × 裁量的割合
「貨幣価値変動率」は、贈与した時点の金銭的価値を相続開始時点の価値に換算するものです。
  • 不動産を贈与した場合:相続開始時の不動産評価額×裁量的割合
  • 不動産取得のための資金を出資した場合:相続開始時の不動産評価額 × (出資額 ÷ 取得時の不動産価格) × 裁量的割合
相続開始時の不動産の評価額を基準に、出資した割合と裁量的割合を考慮して算出されます。
  • 不動産を無償で貸していた場合:相続開始時の賃料相当額×使用年数×裁量的割合
裁量的割合とは、個々の事案における具体的事情に応じて寄与料を調整するために裁判所が用いる割合です。寄与した相続人(寄与相続人)と被相続人の関係性、寄与の種類・内容、理由・経緯などの一切の事情を考慮して、どの範囲まで寄与分として認めるかを判断します。

療養看護型の場合

療養看護型は、相続人が寝たきりの被相続人を自宅で介護するなど、特別な療養看護によって被相続人の財産の減少を防いだ場合に適用されます。計算式は以下の通りです。
  • 療養看護の報酬相当額(日当) × 看護日数 × 裁量的割合
「療養看護の報酬相当額(日当)」とは、もし介護を第三者に依頼した場合に支払うべき費用に相当します。介護保険の介護報酬基準額や、付添介護人の日当などを参考に、被相続人の要介護度に応じて算出されます。
「看護日数」は、療養看護を行った期間を日数でカウントします。
「裁量的割合」は、親族関係や介護の負担の程度、他の相続人の関与状況などを考慮し、通常5~9割程度の範囲で調整されることが多いです。

扶養型の場合

扶養型は、身体的または経済的に支援が必要な被相続人の生活を、通常期待される範囲を超えて面倒を見た場合に適用されます。計算式は、以下の通りです。
  • 負担した扶養料 × 扶養期間 × (1 - 寄与相続人の法定相続分割合)
「負担した扶養料」とは、被相続人への仕送り額や、同居による家賃・生活費の負担額などが該当します。
「扶養期間」は、被相続人を扶養した期間です。そして、「(1 - 寄与相続人の法定相続分割合)」は、親族間の扶養義務を考慮し、寄与者自身の法定相続分に相当する部分を差し引くための割合です。

財産管理型の場合

財産管理型は、相続人が被相続人の賃貸不動産の管理や、不動産の売却手続きなど、財産の維持・管理に特別な貢献をした場合に適用されます。計算式は以下の通りです。
  • 第三者に委任した場合の報酬額 × 裁量的割合
「第三者に委任した場合の報酬額」とは、もし相続人ではなく、不動産管理会社や不動産仲介業者などの第三者に業務を委託した場合に発生する管理委託料や仲介手数料などを参考に算出されます。
「裁量的割合」は、管理の具体的な内容、労力、被相続人との関係性などを総合的に判断して調整されます。

まとめ

寄与分は、被相続人の財産の維持・増加に特別な貢献をした相続人が、法定相続分以上の遺産を受け取れる制度です。明確な「相場」はなく、貢献の内容や期間、被相続人との関係性など、様々な要素を総合的に考慮して金額が決定されます。
寄与のタイプによって計算方法の目安がありますが、いずれも個別の事情に応じた調整が必要です。
寄与分の主張は証拠をしっかり揃える必要があり、計算も複雑になる場合も多いため、専門家である弁護士に相談することをおすすめします。
当事務所には相続問題に詳しい弁護士が在籍しておりますので、お悩みの方はぜひお気軽にお問い合わせください。

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この記事の監修者

弁護士 西村 夏奈第一東京弁護士会
依頼者・関係者の皆様との対話を大切にし、日々研鑽を重ね、経験から得た知恵も活かして、最善の結果に向け奔走いたします。

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