
- 預貯金は遺産分割の対象?
- 預貯金を遺産分割する方法とは?
- 預貯金を相続するための手続きの流れは?
【Cross Talk】預貯金を相続するにはどうすればいいのでしょうか?
預貯金を相続するにはどうすればいいのでしょうか?
相続人全員で遺産分割協議を行い、どのように分割するかを合意する必要があります。
預貯金の遺産分割について、詳しく教えてください。
亡くなられた方の預貯金は相続財産として最も一般的な財産です。しかし、預貯金の遺産分割には特有のルールがあり、適切に手続きを進めなければトラブルに発展する可能性もあります。
かつては遺産分割の対象外とされていた預貯金も、現在は他の財産と同様に相続人全員での協議が必要とされています。
この記事では、そんな預貯金の遺産分割について、分割の方法や具体的な手続きの流れ、必要な書類などについて、弁護士が解説していきます。
相続財産に預貯金がある場合に理解しておくべきポイント

- 預貯金も遺産分割の対象となる
- 名義人が亡くなると預金口座は凍結される
被相続人の預貯金も遺産分割の対象なのでしょうか?
ここでは、相続財産に預貯金がある場合の取り扱いについて解説していきます。
預貯金も遺産分割の対象
かつては、預貯金は「可分債権」とみなされ、遺産分割協議を行わなくても各相続人が自身の法定相続分に応じて金融機関に払い戻しを請求できるとされていました。しかし、この解釈では、特定の相続人が一方的に預貯金を引き出してしまうことで、遺産全体の公平な分割が難しくなったり、生前の援助(特別受益)が考慮されにくくなったりするなど、様々な問題が生じていました。
そこで、平成28年(2016年)の最高裁判所の決定により判例が変更され、預貯金も不動産などと同様に遺産分割の対象となることが明確にされました。
これにより、預貯金も相続人全員で話し合い(遺産分割協議)を行い、誰がどのくらい相続するかを決める必要があります。
名義人が亡くなると預貯金口座は凍結される
被相続人が亡くなり、その事実を金融機関に伝えると、故人名義の預貯金口座は凍結されます。
口座が凍結されると、キャッシュカードや通帳を使った引き出し・入金はもちろん、他の口座からの振込、公共料金やクレジットカードの支払い、株式の配当金や家賃の受け取りなど、一切の取引ができなくなります。
相続手続きが完了し、預貯金を相続する方が確定するまでは、この凍結状態は解除されません。
相続人同士のトラブルを未然に防ぎ、公平な遺産分割を進めるためにも、金融機関は相続人が確定し所定の手続きが行われるまで、故人の口座を凍結するのです。
したがって、相続発生後は速やかに金融機関に連絡し、適切な手続きを進めることが重要となります。
預貯金の遺産分割の方法

- 預貯金の遺産分割の方法とは?
- 現物分割、現金分割、代償分割の方法がある
預貯金を遺産分割するには、どのような方法がありますか?
ここでは、預貯金の遺産分割方法について解説していきます。
預金口座ごと相続する
被相続人が複数の金融機関に預貯金口座を持っていた場合、それぞれの口座ごとに特定の相続人が単独で相続するのも一つの方法です。例えば、A銀行の口座は配偶者が、B銀行の口座は長男が、C銀行の口座は長女が相続するといった形です。
この方法のメリットは、各相続人が割り当てられた口座について、それぞれ金融機関で手続きを進められる点にあります。しかし、各口座の残高が異なる場合、相続人間の取り分に不公平が生じる可能性があります。このような不公平を解消するためには、預貯金以外の他の相続財産で調整したり、後述の「代償分割」を検討したりする必要があるでしょう。
払い戻し後に現金を分割する
被相続人の全ての預貯金口座を解約し、払い戻された現金を相続人全員で話し合い、合意した割合で分割します。
この方法の大きなメリットは、相続財産全体としての現金を一元的に管理し、各相続人の法定相続分や遺産分割協議で合意した取り分に基づいて公平に分配しやすい点です。例えば、被相続人の預貯金が合計1,000万円あり、相続人が配偶者と子ども1人の場合、それぞれ500万円ずつ現金を分配するといった形です。
金融機関によっては、解約時にそれぞれの相続人名義の口座へ直接振り込み対応してくれる場合もありますが、対応していない場合は代表相続人の口座に一括で振り込まれた後、代表相続人から他の相続人へ送金する形になります。
代償分割する
代償分割とは、特定の相続人が遺産の一部または全部を単独で取得する代わりに、他の相続人に対して、その相続分に見合う金銭(代償金)を支払って清算する方法です。この方法は、不動産のように物理的に分割が難しい財産を相続する際によく用いられますが、預貯金を含む場合にも有効な選択肢となり得ます。
代償分割は、相続人間の公平性を保ちつつ、特定の財産を特定の相続人が引き継ぎたい場合に有効な手段です。ただし、代償金の金額や支払方法など、事前に相続人全員での合意形成が不可欠であり、複雑なケースでは専門家である弁護士に相談することをおすすめします。
預貯金がある場合の相続手続きの流れ

- 預貯金の相続手続きの流れとは?
- 遺言書がない場合は遺産分割協議を行う
預貯金を相続するためには、どのような手続きが必要ですか?
ここでは、預貯金を相続するまでの流れについて解説していきます。
預貯金口座の調査をする
相続手続きの最初のステップは、被相続人がどのような財産を持っていたかを正確に把握することです。特に預貯金に関しては、故人が利用していた通帳やキャッシュカード、郵便物、あるいは生前のメモなどから、利用していた金融機関の手がかりを探します。
手がかりが見つかったら、それぞれの金融機関に連絡し、故人が名義人であった口座の有無を確認し、残高証明書の発行を依頼します。この際、金融機関からは、被相続人の戸籍謄本など、相続人であることを証明する書類の提出を求められることがあります。預貯金だけでなく、不動産や有価証券など、他の相続財産についても同様に調査を進め、財産目録を作成して全容を把握しましょう。
相続人全員で遺産分割協議をする
相続財産の全容が明らかになったら、次に相続人全員で遺産分割協議を行います。
預貯金については、前述の「預金口座ごと相続する」、「払い戻し後に現金を分割する」、「代償分割する」といった方法の中から、相続人の数や預貯金の総額、他の相続財産の種類などを考慮して最適な分割方法を決定します。
遺言書がある場合は、原則として遺言書の内容が優先されますが、遺言がない場合や遺言の内容とは異なる分割をするためには、相続人全員で遺産分割協議をする必要があります。
遺産分割協議書の作成
遺産分割協議で相続人全員の合意が得られたら、その内容を明確に記した遺産分割協議書を作成します。この書類は、金融機関での預貯金払い戻しや名義変更手続きにおいて原則として必要となる重要な書類です。
遺産分割協議書には、どの相続人がどの預貯金口座を、あるいはどのくらいの金額を取得するのかを具体的に記載します。相続人全員が内容を確認し、署名・捺印(実印)することで正式な書類となります。金融機関によっては、遺産分割協議書の代わりに、金融機関所定の書式に相続人全員が記入・押印することで手続きを進められる場合もありますが、後のトラブルを防ぐためにも、遺産分割協議書としてきちんと作成することをおすすめします。
金融機関で手続きを行う
遺産分割協議書が完成したら、金融機関での預貯金の相続手続きを行います。この段階で、凍結されている故人名義の預貯金口座を解約し、実際に預貯金を各相続人の手元に移すことになります。
事前に金融機関のウェブサイトを確認するか、窓口に問い合わせて、必要な書類を正確に把握し準備しましょう。書類に不備がなければ、通常は書類提出から数週間程度で指定の口座へ預貯金が振り込まれるか、名義変更が完了します。
預貯金を相続する際に必要な書類

- 預貯金を相続する際に必要な書類は?
- 遺産分割協議書や関係者の戸籍謄本が必要になる
預貯金を相続する際には、どのような書類を準備する必要がありますか?
ここでは、預貯金を相続する際の必要書類について解説していきます。
預貯金の相続手続きを金融機関で行う際、様々な書類の提出が求められます。金融機関によって多少異なりますが、一般的に必要となる主な書類は以下の通りです。
- 各金融機関の届出書:金融機関所定の、相続に関する手続きの申請書です。窓口で取得するか、ウェブサイトからダウンロードできます。
- 遺産分割協議書:相続人全員が合意した遺産分割の内容を記した書類です。相続人全員の署名と実印での押印が必要です。
- 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本:故人の一生涯の身分関係を証明し、法定相続人を特定するために必要です。除籍謄本や改製原戸籍謄本も含まれることがあります。
- 相続人全員の戸籍謄本:相続人全員が現在の戸籍に記載されていることを証明し、法定相続人であることを確認するために提出します。
- 相続人全員の印鑑登録証明書:遺産分割協議書に押印された実印が本人のものであることを証明します。
- 本人確認書類:手続きを行う相続人の運転免許証やマイナンバーカードなどです。
まとめ
預貯金は遺産分割の対象となります。預貯金の分割方法には、口座ごとの相続、払い戻し後の現金分割、そして他の財産との調整を図る代償分割などがあります。どの方法を選択するかは、相続人の状況や財産の種類によって異なります。
預貯金を相続するためには、複数のステップを踏む必要がありますが、これらの手続きを円滑に進めるためには、正確な情報把握と適切な書類準備が不可欠です。
相続問題は複雑になりがちで、特に預貯金に関する取り扱いは誤解も生じやすいものです。当事務所には相続問題に詳しい弁護士が在籍しておりますので、お困りの際はお気軽にお問い合わせください。

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無料
この記事の監修者
- 第二東京弁護士会
- 身近な人を失った悲しみが癒える間もなく、仕事や家事、育児等をこなしながら、複雑な相続手続きを進めるのはとても大変です。ご依頼者様のストレスを少しでも軽くできるよう精一杯お手伝いさせていただきます。
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