
- 寄与分は被相続人の財産の維持や増加に特別な貢献をした相続人の取り分を増やせる制度
- 寄与分の主張は他の相続人とのトラブルにもなりやすい
- 寄与分を認めてもらうには法的要件の理解と客観的な証拠の整理が重要
【Cross Talk 】寄与分を主張するには?
母の介護を何年も続けてきたので、兄と同じ相続分というのが納得できません。
それはよくある相談ですね。そのような貢献は寄与分として評価されることがあります。
どんなときに寄与分が認められるのでしょうか。
具体的な要件について、詳しくみていきましょう。
相続の場面では、長年にわたって親の介護を続けてきた方や家業を支えてきた方が、「自分の貢献が正当に評価されていない」と感じることがあります。そこで、寄与分の主張によって他の相続人から反感を買い、相続トラブルになることも少なくありません。 このような対立を避け、円滑な相続を実現するためには、寄与分に関する正しい法的知識を身に付けることが重要です。 本記事では、寄与分の基本的な考え方から認められるための要件、主張の流れ、注意点までを体系的に解説します。自分の貢献を正当に評価してもらいたい方や、相続人同士の話し合いを公平に進めたい方にとって役に立つ内容なので、ぜひ参考にしてください。
寄与分とは?

- 寄与分とは、相続人が被相続人の財産維持・増加に特別な貢献をした場合に相続分を増やせる制度
- 介護や家業の手伝い、金銭的援助などが寄与分の対象となる
- 寄与分の主張は相続人間でトラブルの原因になりやすい
寄与分とはなんでしょうか。
被相続人の財産維持や増加に特別な貢献をした相続人の相続分を増やす制度です。
例えば、長男が長年にわたって父親の介護を行い、その結果として施設入所費用などの支出をおさえることができた場合、長男には寄与分が認められる可能性があります。また、家業を手伝って事業を大きくした場合や、被相続人に金銭的な援助を行った場合なども、寄与分の対象となり得ます。
もっとも、寄与分の主張は相続人間でのトラブルの原因となることが少なくありません。「自分が一番介護をした」「自分の方が貢献した」といった主張が対立し、遺産分割協議が難航することも多いです。そのため、寄与分を主張する際は客観的な証拠を揃えたうえで、他の相続人に対して丁寧に説明することが重要です。関連記事:寄与分とは?親の介護をしたら相続分が増える?認めれられるために必要な条件とは?
寄与分が認められるための要件

- 寄与分が認められるのは、法定相続人による特別な貢献があった場合
- 単なる扶助や一時的な援助ではなく、無償で継続的に財産維持に寄与したことが必要
寄与分は、どんなときに認められるんでしょうか。
単に家族を助けただけではなく、法定相続人が無償で特別な貢献をして、被相続人の財産を維持・増加させた場合に認められます。
では、どんな行為がその「特別な貢献」にあたるのか、詳しい要件を教えてください。
行為者が相続人である
寄与分を主張できるのは、民法で定められた法定相続人に限られます。法定相続人とは、被相続人が亡くなった際、法律上当然に相続権を取得する方のことです。 民法では、法定相続人の範囲と順位を次のように定めています。被相続人の相続財産を維持・増加している
寄与分が認められるためには、行為が被相続人の財産の維持または増加に結びついている必要があり、実際に財産面でプラスの効果をもたらしているかどうかで判断がされています。 例えば、以下のようなものがあげられます。寄与行為が「特別の寄与」である
寄与分が認められるためには、通常の関係において期待される範囲を超えた寄与が必要です。そもそも、民法では親族間や夫婦間において互いに助け合う義務(親族間の扶助義務・夫婦の協力扶助義務)が定められています。そのため、同居して身の回りの世話をしたり、病院への送り迎えをしたりといった一定程度の援助であれば、家族として当然の行為とみなされ、寄与分としては評価されません。
一方で、被相続人を10年間毎日介護した、生活費を全額負担していた、被相続人の事業を長期間無報酬で手伝っていたといったように、通常の扶助義務を大きく上回る貢献をした場合、特別の寄与として認められる可能性があります。 このように、寄与分として認められるには家族としての助け合いの範囲を超え、第三者に依頼すれば相応の費用が発生するようなレベルの貢献であったかどうかが判断の基準となります。寄与行為に対しての対価を受けていない
寄与分として認められるためには、行為が無償またはそれに近いものである必要があります。報酬を受け取っていた場合、行為に対する対価を得ていると考えられるため、寄与分は原則として認められません。もっとも、実際にはまったくの無報酬で貢献することは少なく、実務上は「無償に近い」といえるかどうかで判断されます。例えば、被相続人が第三者を雇った場合と比べて明らかに低い報酬で長年働いていたり、名目的な謝礼しか受け取っていなかったような場合、寄与分が認められる可能性があります。
一方で、被相続人から給与や報酬を受け取っていた場合や、報酬に相当するような生前贈与を受けていた場合、不動産を譲り受けていた場合などは寄与分が認められません。このように、寄与分が成立するかどうかは、行為が実質的に無償といえるかどうかが判断の基準となります。寄与行為が継続的に行われた
寄与分として認められるためには、行為が一時的なものではなく一定の期間にわたって継続的に行われている必要があります。短期間の手伝いや単発の援助では、財産の維持や増加に寄与したとまではいえません。 例えば以下のような場合です。寄与分を主張する方法

- 寄与分の主張は遺産分割協議の中で行う
- 協議で合意が得られなければ、家庭裁判所での調停や審判を申立てる
- 協議の段階で合意できれば柔軟な対応が可能だが、調停・審判では法的判断が優先される
寄与分を主張したい場合、どんな手続を取れば良いのでしょうか。
遺産分割協議、調停、審判の流れで決めていくのが一般的です。
協議で決まらないと、最終的には裁判所が判断するんですね。
遺産分割協議で寄与分を主張する
遺産分割協議とは、被相続人の財産をどのように分けるかを話し合いによって決める手続きです。法的拘束力のある裁判上の手続きではないので、あくまで当事者同士の合意に基づいて内容を決定します。寄与分を反映させたい場合、この協議の場で自ら「寄与分がある」と主張して、他の相続人全員の同意を得る必要があります。協議の段階で合意が得られれば、裁判所を通さずに柔軟な内容で寄与分を反映できるため、調停を行う必要はありません。
ただし、寄与分が認められれば他の相続人の取り分が減ることになるため、反発を受けやすい点には注意が必要です。協議を円滑に進めるためには、介護記録や送金記録などの客観的な資料を示し、どのような貢献をしたのかを具体的に説明することが重要です。関連記事:遺産分割協議のやり直しはできる?期限はある?
調停を申立てる
寄与分を主張しても遺産分割協議で合意が得られなかった場合には、家庭裁判所に「調停」を申立てることになります。調停とは、相続人同士の話し合いでは解決できない場合に、第三者を交えて公正な場で協議を行う手続です。 調停では、裁判官と2名の調停委員が中立的な立場から相続人の意見を整理し、合意を促します。寄与分の有無は通常「遺産分割調停」の中で扱われますが、寄与分の点だけを集中的に話し合う「寄与分を定める処分調停」を申立てることも可能です。調停を申立てた場合、寄与分を裏付ける証拠や資料を提出して、被相続人への貢献内容を明確に説明することが重要です。介護や事業への関与、金銭的支援など、どのような形で財産の維持や増加に寄与したのかを、客観的に示すことで合意を得やすくなります。
話し合いがまとまり、寄与分を含めた遺産分割内容について合意が成立した場合、裁判所が「調停調書」を作成します。調停調書は判決と同様の法的効力を持ち、当事者が従わない場合には強制執行の対象にもなります。審判を申立てる
調停でも合意に至らなかった場合、家庭裁判所による「審判」の手続きに移行します。 審判では相続人それぞれの主張や提出された資料をもとに、裁判所が寄与分の有無や割合、金額を判断します。協議や調停とは異なり、柔軟な合意形成はなされにくく、法律や判例に基づいた厳格な判断が行われるのが審判の特徴です。 審判の結果は「審判書」として交付され、記載内容には法的拘束力が生じます。もし審判所の内容に不服がある場合、「即時抗告」という不服申立ての手続によって上級裁判所で再度審理を求めることが可能です。寄与分を認めてもらうためのポイント・注意点

- 寄与分を主張する際は、他の相続人の権利関係に注意する
- 2023年の法改正により、相続開始から10年を過ぎると原則として主張できない
寄与分を主張するときに、特に気をつけるべきことはありますか。
まずは証拠をしっかり揃えること、そして相続開始から10年以内に請求することが大切です。
他の相続人との関係にも注意が必要そうですね。
はい。寄与分は他の相続分に影響するため、早めの準備と丁寧な説明が重要になります。
また、寄与分そのものに時効はありませんが、2023年の民法改正により、相続開始から10年を過ぎると原則として主張が認められなくなりました。したがって、被相続人の死亡から10年以内に請求しなければなりません。
さらに、寄与分が大きい場合には、他の相続人の遺留分との関係にも注意が必要です。寄与分は実質的な貢献を評価する制度であり、遺留分とは性質が異なりますが、寄与分の割合が過大になると相続人間の不公平感を招くおそれがあります。 寄与分を主張する際は、証拠と手続の時期、他の相続人の権利とのバランスを意識することが大切です。まとめ
寄与分は、家族の中で特に大きな貢献をした相続人の努力を法律の枠組みの中で正当に評価するための制度です。相続の現場では、寄与分をめぐって主観的な争いになりがちなので、前に記録を残し、客観的な根拠で示すことがトラブル防止の第一歩となります。 寄与分は、他の相続人の取り分にも影響する繊細な問題です。感情的な主張ではなく、冷静に制度の趣旨を理解したうえで、公正な相続を実現するための仕組みとして活用しましょう。 寄与分の主張を考える段階になったら早めに専門家へ相談し、証拠整理と話し合いの準備を進めていくことが円満な解決への近道となります。

- 相続対策は何から手をつけたらよいのかわからない
- 相続について相談できる相手がいない
- 相続人同士で揉めないようにスムーズに手続きしたい
- 相続の手続きを行う時間がない
無料
この記事の監修者
最新の投稿
- 2026.05.22相続全般寄与分を主張するには?請求方法や認めてもらうための要件や注意点などについて解説
- 2026.05.13相続全般連絡拒否など非協力的な相続人がいる場合の対応方法!スムーズな手続きのポイント
- 2026.05.13成年後見家族は成年後見人になれる?なれる場合の注意点
- 2026.05.13相続手続き代行遺留分侵害額請求を1年以内にしなければならない理由と実務での処理








