
- 再転相続とは?
- 再転相続で相続放棄をするためには?
- 再転相続が発生した場合の注意点とは?
【Cross Talk】再転相続とはどのようなものですか?
再転相続とはどのような場合を指すのでしょうか?
再転相続とは、相続放棄をする前にさらに相続が発生する場合を指します。
再転相続について、詳しく教えてください。
ご家族の不幸が重なることがあります。特に、相続人が相続放棄をしない間に亡くなってしまった場合には、再転相続の問題が発生します。それでは、再転相続とはどのようなもので、数次相続や代襲相続との違いは何なのでしょうか?また、再転相続が発生した場合に相続放棄をするためにはどうすればいいのでしょうか?
この記事では、このような疑問点について、弁護士が解説していきます。
再転相続とは?

- 再転相続とは?
- 再転相続の一次相続・二次相続とは?
再転相続とはどのようなものなのでしょうか?
ここでは、再転相続の意義について解説していきます。
再転相続とは?
「再転相続」とは、一次相続の相続人が相続の承認または放棄の判断(熟慮期間内)をする前に死亡し、さらに二次相続が発生することを指します。わかりやすく言うと、「1回目の相続の相続放棄をしていない間に2回目の相続が発生した状態」です。
相続が発生すると、相続人は「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3ヶ月以内に、単純承認、限定承認、相続放棄のいずれかを選択する必要があります(民法第915条1項)。この期間を熟慮期間と呼び、再転相続は、この熟慮期間中に相続人が亡くなり、次の相続が発生することで起こります。
例えば、祖父が亡くなり、相続人である父が相続の承認・放棄を決定する前に亡くなり、さらに相続人である子どもが相続する場合などです。この場合、祖父の相続が一次相続、父の相続が二次相続となります。
再転相続における「一次相続」・「二次相続」
再転相続は、時間的に連続して発生する2つの相続、すなわち「一次相続」と「二次相続」によって構成されます。
「一次相続」は、最初に発生する相続です。この相続では、被相続人(最初に亡くなった方)の財産が、法定相続人に承継されます。
一次相続の相続人は、相続開始を知った時から3ヶ月以内に、相続の承認・放棄を決定する必要があります。そして、一次相続の相続財産は、二次相続の開始時に、二次相続の被相続人(一次相続の相続人)の財産の一部となります。
次に、「二次相続」は、一次相続の相続人が熟慮期間内に死亡した場合に発生する相続です。二次相続では、一次相続の相続人の財産(一次相続によって承継した財産を含む)が、さらに次の相続人に承継されます。
二次相続の相続人は、一次相続の相続人が有していた「相続の承認・放棄の権利」も承継します。つまり、二次相続の相続人は、一次相続と二次相続の両方について、相続の承認・放棄を決定できる立場にあります。
このように、一次相続と二次相続が短期間に連続して発生すると、相続関係が複雑化し、相続人の特定や遺産分割協議が困難になることがあります。相続人は、一次相続と二次相続の両方の手続きを行う必要があり、相続財産の調査や評価、遺産分割協議などが複雑になる可能性があるので注意が必要です。
再転相続と数次相続・代襲相続との違い

- 再転相続と数次相続の違いとは?
- 再転相続と代襲相続の違いとは?
再転相続と数次相続・代襲相続はどこが違うのでしょうか?
ここでは、再転相続と数次相続、代襲相続の違いについて解説していきます。
再転相続と似た言葉に、「数次相続」や「代襲相続」がありますが、それぞれは異なる概念です。ここでは、再転相続と数次相続、代襲相続の違いについて解説していきます。
まず、「数次相続」とは、相続が連続して発生することを広く指し、一次相続の遺産分割協議が終了する前に二次相続が発生する場合が該当します。つまり、相続手続き中に次の相続が発生することをいいます。これに対して、「再転相続」は、一次相続の熟慮期間内に二次相続が発生する点で、数次相続とは異なります。
次に、「代襲相続」とは、相続人が被相続人よりも先に死亡していた場合に、その子どもが相続することをいいます。代襲相続は、相続が連続して発生するわけではないため、再転相続とは異なります。
再転相続で相続放棄するためには

- 再転相続で相続放棄をする方法とは?
- 再転相続で相続放棄ができない場合とは?
再転相続で相続放棄をする場合、どうすればいいのでしょうか?
ここでは、再転相続で相続放棄をする方法について解説していきます。
再転相続で相続放棄をする方法
再転相続が発生した場合、最終的な相続人である二次相続人は、一次相続と二次相続の両方について、相続放棄をするかどうかを選択する必要があります。
この選択において、両方の相続を放棄することは可能であり、二次相続のみを承認し、一次相続を放棄することもできます。
しかし、二次相続を放棄した場合、一次相続の相続人としての地位も失われるため、一次相続のみを承認することはできません。つまり、二次相続を放棄すると、自動的に一次相続の相続権も失われるため、注意が必要です。
再転相続で相続放棄できない場合は?
再転相続における相続放棄は無制限に認められているわけではありません。相続放棄には熟慮期間という期限があるため、原則として「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月」以内に相続放棄の申述を家庭裁判所にしなければなりません。
再転相続の場合、熟慮期間の起算点が問題となります。 まず、二次相続については、「二次被相続人の死亡を知ったとき」が起算点になります。一方、一次相続の起算点については、判例により、「一次相続の相続人となったことを知ってから3ヶ月」以内に相続放棄できると判断されました。
したがって、二次相続の熟慮期間が過ぎていても、一次相続の熟慮期間内であれば、相続放棄が認められる可能性があります。ただし、相続放棄を検討する場合は、複雑な相続関係になる可能性があるため、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
再転相続が発生した場合の相続手続きの注意点

- 再転相続が発生した場合の注意点
- 再転相続の悩みは弁護士に相談する
再転相続では、どのような点に気を付ける必要がありますか?
ここでは、再転相続が発生した場合の相続手続きの注意点を解説していきます。
再転相続における遺産分割協議の進め方
再転相続が発生した場合、遺産分割協議は一次相続と二次相続のそれぞれについて行うのが原則です。
ただし、相続人が両方の相続で共通している場合は、まとめて協議することも可能です。
遺産分割協議書を作成する際は、一次相続の相続人を「相続人兼被相続人」と表記するなど、相続関係を明確に記載することが重要です。また、相続人全員の署名と押印が必要となるため、注意が必要です。
相続登記の方法
不動産を相続する場合、相続登記が必要となります。再転相続では、原則として一次相続と二次相続の2回分の登記手続きが必要ですが、一定の要件を満たす場合には中間省略登記が可能です。
中間省略登記とは、一次相続の登記を省略し、最終的な相続人の名義で登記する方法です。中間省略登記が認められるのは、一次相続の相続人が1人の場合や、複数の相続人がいても結果的に単独相続となる場合です。中間省略登記を行うことで、登記手続きの手間や費用を削減できます。
早めに弁護士に相談する
再転相続は、相続関係が複雑になりやすく、遺産分割協議や相続手続きが難航する可能性があります。
相続手続きに不安がある場合や、相続人の間で意見が対立している場合は、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談すれば、相続人の確定、遺産分割協議書の作成、相続登記の手続きなど、相続に関する様々な問題についてアドバイスやサポートを受けられます。
まとめ
再転相続とは、一次相続の相続人が相続の承認または放棄の判断(熟慮期間内)をする前に死亡し、さらに二次相続が発生することを指します。
再転相続が発生した場合には、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」に相続放棄をするか、承認するかを選択しなければなりません。また、遺産分割協議や相続登記の方法にも、再転相続に特有の注意点があります。
再転相続が発生して、相続手続きにお悩みの方は、弁護士に相談するようにしてください。当事務所には相続問題に強い弁護士が在籍しておりますので、お気軽にご相談ください。


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