目次

はじめに

・自分の死後、家族に迷惑をかけたくない
・遺産をめぐるトラブルを防ぎたい
そんな思いから、終活の一環として遺言書の作成を検討する中高年の方も少なくないでしょう。
しかし、遺言書は誰でも自由に書けるものではなく、年齢や判断能力など一定の要件を満たす必要があります。
本記事では、遺言が可能な年齢や遺言能力の考え方、高齢者が注意すべきポイントなど、円満な相続につなげるために知っておきたい基礎知識をわかりやすく解説します。

遺言は何歳からできる

遺言は15歳から行うことができる旨が民法で規定されています。

第九百六十一条 十五歳に達した者は、遺言をすることができる。
引用元:e-Gov|法令検索

一般的な契約などの法律行為を単独で行うためには成年に達していることが必要ですが、遺言については15歳で単独で行うことができ、法定代理人の同意も必要ありません。
なお、法定代理人(親・未成年後見人)が代理で遺言をすることはできません。

生前贈与・死因贈与は成年になってから

終活という広い観点から考えると生前贈与・死因贈与という手段もありますが、生前贈与・死因贈与を単独でできるのは成年してからになります。
生前贈与・死因贈与は法律上、贈与契約にあたるため、法定代理人の同意が必要となるからです。
2022年4月1日から成年となる年齢は18歳に改正されています

第四条 年齢十八歳をもって、成年とする。
引用元:e-Gov|法令検索

遺言は何歳までできる?

遺言を行うことができる年齢についての上限はありません。
100歳であっても遺言を行うことは可能です。
ただし、高齢になるに従って判断能力が落ちてしまいます。
遺言を残すには、自分の遺産について適切に処分するための判断能力(遺言能力)が必要であるとされています。
高齢になって判断能力が落ちてしまった場合、遺言能力がないとされて遺言が無効になる可能性があります。
そういう意味では、判断能力が落ちる前までには遺言をしておく必要があるでしょう。

成年被後見人の遺言には医師の立ち会いが必要

成年被後見人となった場合でも、遺言をすること自体は可能となっています。
ただし、この場合に医師2人以上の立会いのもと、事理弁識能力に問題がなかったことを遺言書に付記して署名・押印をすることが必要です。

第九百七十三条 成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時において遺言をするには、医師二人以上の立会いがなければならない。
2 遺言に立ち会った医師は、遺言者が遺言をする時において精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態になかった旨を遺言書に付記して、これに署名し、印を押さなければならない。ただし、秘密証書による遺言にあっては、その封紙にその旨の記載をし、署名し、印を押さなければならない。
引用元:e-Gov|法令検索

このときでも、遺言能力があることが前提となるので、遺言能力がなければ医師が立ち会ったとしても遺言は無効となります。
成年被後見人となる場合の典型的な例として、認知症・精神疾患を患った場合があります。
認知症検査の長谷川式認知スケールで20点以下となった場合には認知症と判断されることがあります。
長谷川式認知スケールが10点以下となった場合には遺言能力がないとして無効とされることが多いですが、10点を超える場合でも場合によっては遺言能力がないと判断されているケースがあります。
認知症を患ってから遺言ができないわけではないですが、非常に難しいです。
認知症の状態でどうしても遺言を残したい場合には、弁護士に相談するとよいでしょう。

高齢者が遺言をする場合に公正証書遺言で遺言をする

遺言には、「自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言」の3つがあります。
どの遺言をする場合でも年齢の上限はありません。
しかし、自筆証書遺言・秘密証書遺言については自身で作る必要があるため、高齢になってから行うと、遺言能力があったのかということを争うケースが公正証書遺言に比べて多いです。
公正証書遺言は、法律・手続の専門家である公証人が、本人と遺言の内容を確認しながら作成するものであり、公証人が作成したものであれば遺言をすることができる状態であったのだろうという信頼があるためです。
なお、公正証書遺言がされていた場合でも、遺言能力が無かった場合には無効になります。
ただ、明らかに遺言能力がない場合には公証人は遺言書を作成しません。
高齢者が遺言をする際に、できるだけ争いは起こしたくないのであれば、費用はかかっても公正証書遺言を作成することをおすすめします。

さいごに

年齢に関する要件だけでいえば、15歳以上であればだれでもすることができる、というのが結論です。
ただし、高齢になることで遺言能力との関係で遺言ができなくなるという点も考慮しておく必要があります。
遺言をすることができるかどうか、不安がある場合には弁護士に相談することをおすすめします。

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