相続人以外の方が遺産分割協議に参加するケースを解説
ざっくりポイント
  • 遺産分割協議に相続人以外が参加するケースがある
  • 包括遺贈の受遺者、遺言執行者、特別寄与者が遺産分割に関与する可能性がある
  • 相続人が包括遺贈の受遺者等に遺留分を侵害された時には、侵害額請求の申立てができる
目次

【Cross Talk 】相続人以外が遺産分割協議に参加することはありますか?

先日父が亡くなりました。民法で定められた相続人は母と私ですが、遺言書には生前毎日のように世話や介護をしてくれた父の従兄弟に財産を相続させることが書かれています。従兄弟も遺産分割協議に参加するのでしょうか?

被相続人が亡くなった後、生前書いた遺言書によって遺産を無償で譲る事を遺贈と呼び、今回のように遺贈の相手は民法で定められた相続人ではないケースがあります。遺贈には包括遺贈と特定遺贈があり、包括遺贈の受遺者は遺産分割協議に参加できます。

遺贈にも種類があるのですね。詳しく教えてください!

包括遺贈の受遺者や遺言執行者、特別寄与者は遺産分割協議に参加できる

相続人以外で遺産分割に関与できる方は、3つのパターンに分けられます。 遺言がある場合の包括遺贈の受遺者、遺言執行者として家庭裁判所に認められた者、生前被相続人の財産の維持や増加に寄与した特別寄与者です。 まずは遺贈の受遺者から見ていきましょう。

遺言書がある場合の受遺者

知っておきたい相続問題のポイント
  • 遺贈には特定遺贈と包括遺贈があり、包括遺贈の受遺者は遺産分割協議に参加できる
  • 受遺者に遺留分を侵害された相続人は、家庭裁判所に遺留分侵害額請求の申立てができる

遺言書に指定されている受遺者も遺産分割に関与できるのでしょうか?

特定遺贈の受遺者は関与できませんが、包括遺贈の受遺者は相続人と同じ権利を持ち遺産分割に参加できます。

遺贈がある場合

遺贈には特定遺贈と包括遺贈があります。 遺贈は民法985条「遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。」に従い遺言者が亡くなった時(遺言の効力発生)から効力が生じます。「相続と同一の経済的効果がある」とみなされるため相続税の課税対象となり、放棄ができる点も相続と同様です。

特定遺贈

財産を特定する遺贈、例えば遺言書で「所在地○番○号の不動産」「金融資産のうち○○株式会社の株式を100株」などと指定されているものを特定遺贈と呼びます。 「全財産の1/3」といった割合で示されているものは包括遺贈であり特定遺贈ではありません。 特定遺贈の受遺者は、特定された財産を取得することは可能ですが特定の財産以外は取得できません。 遺贈対象はあくまで「特定されている財産のみ」で債務も継承せず、遺言書に記されていない債務も承継することはありません。 遺言書で指定された受遺者が特定遺贈を放棄する場合、期間に制限はなく遺贈義務者や遺言執行人に対して遺贈の意思を告げる事で放棄が可能となります。

受遺者は遺産分割協議に参加する義務や権利はありません。 特定遺贈が行われる財産は受遺者に所有権が移るため、原則遺産分割協議の対象外となります。

包括遺贈

財産の全部または一部を包括的に遺贈するもので、「全財産の○割」といった一定の割合を示す遺贈を指します。 包括受遺者は相続人と同じ権利を持ち(民法990条)、債務を含めた遺産を共有することになります。 包括遺贈には全財産を遺贈する「全部包括遺贈」と「相続財産の1/○を遺贈する」といった「割合的包括遺贈」があります。

全部包括遺贈の場合には、遺産分割協議にも参加する義務・権利を持ちますが、協議を行う必要がないため、遺言書通りに相続するケースでは遺産分割協議は行われません。 割合的包括遺贈の受遺者は相続人と同じ立場で遺産分割協議に参加する事になります。

ただし相続人とは以下の4点の違いがあります。
・遺留分がない
・法人も包括受遺者となる
・代襲相続はない
・放棄があった場合には相続分は変化しない
放棄は相続開始から3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きを行う事で可能となります。

遺贈が遺留分を侵害する場合

遺言書によって指定された相続分を「指定相続分」と呼び、民法で定められた法定相続分より優先されます。法定相続分は、遺言書がなく遺産分割協議で話がまとまらない場合に考えるべき遺産の取り分で、基本的には被相続人の意向を記した遺言書が尊重されます。 しかし遺言書による指定相続分より優先されるものが存在します。

「遺留分」という遺族に定められた最低限の取り分です。 遺留分は被相続人(亡くなった方)の配偶者、子ども・孫などの直系卑属、父母などの直系尊属にあり、原則として法定相続分の1/2となります。

相続人の構成 配偶者 子ども(直系卑属) 父母(直系尊属)
配偶者と子ども 1/2※1/4 1/2※1/4 -
配偶者と父母 2/3※1/3 - 1/3※1/6
配偶者のみ 全て※1/2 - -
子どものみ - 全て※1/2 -
父母のみ - - 全て※1/3
兄妹姉妹とその代襲相続人(甥・姪)に遺留分はありません。 遺贈の内容が遺留分を侵害しており、受遺者が話し合いに応じない時は、家庭裁判所に「遺留分侵害額の請求調停」を申立て侵害された遺留分の額を受遺者に請求する事ができます。

相続において相続人以外の人が遺産分割に関与する場合

知っておきたい相続問題のポイント
  • 被相続人の親族で財産の維持または増加に関して貢献した者は、特別寄与者として遺産分割に関わる事がある
  • 遺言を執行する「遺言執行者」も遺産分割に関与する

包括遺贈の受遺者と相続人以外の方が遺産分割に関与することはありますか?

被相続人の特別寄与者、遺言執行者が関与することがあります。

相続分の指定を遺言でされた

上記の通り包括遺贈の受遺者は相続人と同等とみなされ、遺産分割協議に参加する事が可能です。 包括遺贈の受遺者は被相続人に債務・借金などがある場合、マイナスの財産も受け継ぐことになります。 例えば、基本的にマイナスの財産は共同相続人や包括受遺者が法定相続分または包括遺贈の割合に応じて負担すると国税庁のホームページに記されています。

特別の寄与をした方

相続人ではない被相続人の親族で、被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をした者を特別寄与者と呼び、遺産分割においてその寄与に応じた金銭(特別寄与料)を請求することができます。 特別の寄与の有無や特別寄与料に関して相続人と意見が合わない場合には家庭裁判所で話し合う手続き(特別の寄与に関する処分調停)を行います。

遺言執行者

遺言執行者は遺言書の内容を実現する者で、財産目録の作成や遺言内容の実行などを行います。 遺言執行者は遺言書の内容を実行する権利・義務があるため(民法1002条)、遺言書と異なる相続・遺贈を行う場合には遺言執行者の同意を得る必要があります。

遺言執行者は基本的に未成年者と破産者以外は誰でも就任できますが、相続人・受遺者など利害関係がある方が遺言執行者になるとトラブルに発展する可能性があります。 そのため弁護士といった第三者の専門家に依頼する事例が多いです。 遺言執行者は被相続人が遺言書で一人または複数人を指定しますが、指定されていない時または遺言執行者が亡くなった時には相続人・受遺者などの利害関係者が家庭裁判所に選任を申立てる事が出来ます。

まとめ

このページでは、相続人以外の方が遺産分割に関わるケースについてお伝えしました。 トラブルが起こりそうな時、遺言執行者に専門家を選任したい場合には早めに弁護士に相談することをおすすめします。

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