「遺産分割調停とは?」「どんな流れで進むの?」とお考えではないでしょうか。
遺産分割調停は、相続人同士で話し合いがまとまらない場合に家庭裁判所で行う手続きで、申立てから成立まで1年以内に終わるケースが約半数です。本記事では、遺産分割調停の流れ・期間・費用・弁護士に依頼するメリットまで弁護士が解説します。

- 遺産分割調停の内容
- 遺産分割調停の流れ
- 遺産分割調停の注意点
【Cross Talk】遺産分割調停ってどのような手続?
2か月前に父が亡くなり相続が発生しました。長男である兄が遺産を預かるので印鑑証明を送ってこいという主張をして、話し合いに応じる気がないようで、遺産分割の話し合いができないのです。遺産分割調停を利用しようと思っています。
確かに遺産分割協議は無理そうなので、遺産分割調停を利用する場面ですね。手続は弁護士に依頼するほうが有利に進むのはご存知ですか?
相続が発生して遺言がないような場合に、相続人が複数居る場合には法律の相続分に従った相続が発生します。実際にどのように遺産を分割するかについてはまず相続人の協議によって行いますが(遺産分割協議)、合意ができない場合には法的な手続を利用します。法的手続というと裁判(訴訟)をイメージする方も多いと思うのですが、まず遺産分割調停という手続を経ることになっています。このページでは遺産分割調停についてお伝えします。
遺産分割調停とは?

- 遺産分割調停の概要
遺産分割調停とはどのような手続なのでしょうか。
遺産分割協議ができない場合に、調停委員が間に入って合意を目指す法的な手続です。
まず遺産分割調停がどのようなものであるか概要を知りましょう。遺産分割調停とは、遺産分割についての調停手続です。調停というのは、裁判官1名・専門知識を持つ民間人2名が調停委員となって、当事者の間に入って、当事者の言い分を聞きながら解決を図るものです。
遺産分割はまず協議によって行うのですが、常に協議によって全員が納得のいく形になるわけではありません。合意ができない場合には法的な手続を利用することになるのですが、遺産分割については調停手続きを利用することになっています。
遺産分割をめぐる家庭裁判所の事件数は年々増加傾向にあり、最新の司法統計(令和6年度)によると、家庭裁判所に持ち込まれた遺産分割事件は15,379件に達しています。20年前と比べておよそ1.7倍に増加しており、相続トラブルは身近な問題となっています。
また、令和5年度の司法統計では、遺産分割事件で終局を迎えた事件における当事者数は2名が最多で4,005件、次いで3名・4名と続き、当事者2〜4名のケースが全体の約7割を占めます。相続人が少人数であっても、遺産分割では争いが起こり得るというのが実情です。
遺産分割調停において弁護士に依頼することは、調停成立率にも大きく影響します。司法統計によれば、弁護士が関与する案件のほうが、関与しない案件と比べて調停成立率が高い傾向が示されています。
遺産分割調停の手続の流れ

- 遺産分割調停の手続の流れを確認する
遺産分割調停はどのような流れで行うのでしょうか?
遺産分割協議の終了から、遺産分割調停の終わりまでを確認しましょう。
遺産分割協議までの手続の流れ
遺産分割調停はいきなり申立てても良いのですが、遺産分割で当初から揉めているケースでもない限り通常は遺産分割協議を行います。協議の方法について法律で定められたものはありませんので、対面・電話やメール・SNSでのやりとりによるものなど方法は問いません。ここで合意ができなかった場合に遺産分割調停の申立てを行います。
遺産分割調停の申立て
遺産分割調停の申立は申立書と添付書類を提出することによって行います。遺産分割調停の申立書については、裁判所のホームページで手に入れることができますし、裁判所でもらうことも可能です。申立書には添付書類と一緒に提出をします。添付書類については、裁判所のホームページに細かく記載されています。
遺産分割調停
申立てが受理されると裁判所から期日呼び出し状が当事者に届きます。当事者は決められた期日に裁判所に出頭し、調停委員が当事者から個別に言い分を確認します。その上で、調停委員としての解決案を調停案として当事者に提示をします。
遺産分割調停の成立不成立
調停委員が示した解決案を受け入れる場合には調停が成立することになり、調停案のとおりに遺産分割がされることになります。受け入れない場合には、調停は不成立となり審判に進むことになります。
遺産分割審判への移行
遺産分割調停が不成立で終わった場合、家事事件手続法第272条第4項により、自動的に遺産分割審判の手続に移行します。改めて申立てをする必要はありません。
審判では、当事者の合意を目指す調停とは異なり、裁判官が双方の主張と証拠に基づいて遺産分割の方法を決定します。判断の基準となるのは原則として法定相続分ですが、特別受益や寄与分が認められれば、それらを考慮した具体的相続分で分割されます。
審判の結果は法的拘束力を持ち、家事事件手続法第75条に基づき「執行力のある債務名義と同一の効力」を有するため、相続人が従わない場合は強制執行も可能です。なお、審判内容に不服がある場合は、審判書を受け取ってから2週間以内に「即時抗告」をすることで高等裁判所に再審理を求められます。
遺産分割調停を行う上での留意点

- 遺産分割調停の留意点について
遺産分割調停をする場合にはどのような留意点がありますか?
いくつかポイントがありますので順番にお話しします。
相続人の確定の有無
遺産分割調停を利用するにあたって、相続人全員がきちんと協議に参加しているかを前提として確認する必要があります。行方不明の人がいる場合には不在者財産管理人の選任や失踪宣告といったものを先に利用する必要があります。また、相続人の中に判断能力が十分でない人がいる場合には、成年後見人の選任が必要となります。未成年者の保護者や成年後見人が相続人に居る場合には、遺産分割にあたって利益相反となりますので、特別代理人の選任が必要です。これら相続人に関する前提となる手続が済んでいるかは確認しましょう。
遺言書や遺産分割協議書の有無
遺言書がある場合には遺言書の内容に沿って遺産分割がされますので、自分の持分について争う場合には遺産分割ではなく遺留分侵害額請求によります。また、すでに何らかの形で遺産分割協議書が作成されたような場合には、遺産分割協議はされておらず、作成された遺産分割協議書が無効であることを先に民事訴訟で確定する必要があります。
遺産の範囲の確定の有無
遺産分割をするにあたっては遺産を確定させなければなりません。遺産について他人が権利を主張しているような場合には、遺産確認の訴えによって、対象財産は他人が権利を主張できるものではなく遺産に属することを確定しなければなりません。
特別受益・寄与分の主張準備
遺産分割調停では、法定相続分とは異なる割合を求めるための重要な主張として、特別受益と寄与分があります。
特別受益とは、被相続人から生前贈与や遺贈を受けた相続人がいる場合に、その利益を考慮して具体的相続分を計算する制度です(民法903条)。住宅資金の援助、開業資金の提供、高額な学費の負担などが典型例です。特別受益を主張する側は、贈与の事実と金額を客観的な証拠で示す必要があります。
寄与分とは、被相続人の財産の維持や増加に特別の貢献をした相続人に、その貢献に応じた財産を上乗せして取得させる制度です(民法904条の2)。家業への無償従事、介護による療養看護、被相続人への財産的給付などが認められやすい類型です。
いずれも主張する側に立証責任があり、預金通帳・領収書・介護記録・日記など、客観的な証拠の準備が結果を大きく左右します。調停に臨む前に弁護士と相談し、どの事実をどの証拠で立証するかを整理しておくことが、有利な調停成立につながります。
遺産分割調停を弁護士に依頼するメリット

- 遺産分割調停を弁護士に依頼するメリットについて知る
遺産分割調停は弁護士に依頼すべきでしょうか?
確かに弁護士費用はかかるのですが、弁護士に依頼するメリットは法律的なサポート以上のものがあります。
調停期日において弁護士が調停委員に交渉してくれる
調停の期日では弁護士が調停委員と話し合いをしてくれます。調停委員との交渉については、法律ではどのような主張が最大限可能なのか、調停委員の提案においてはどの程度の譲歩を求められているのかの知識が不可欠です。その知識が無く主張をすると、法律上主張できないものについて主張をしてしまう、譲歩する必要のないものまで譲歩してしまう、ということが発生してしまい、調停委員に「無理なことを言う人」「どんどん譲歩をしてくれる人」という印象を持たれる可能性があります。こういったことを防ぐために弁護士に依頼することは有益です。
遺産分割調停申立ての準備を任せることができる
調停の申立てにあたっては申立書を作成するとともに、添付書類の収集などの手続が必要となります。申立書の記載内容に相続に関する知識が必要なのは当然ですが、添付書類の収集には実は戸籍の見方・効率的な集め方に関する知識が不可欠です。場合によっては10通以上の戸籍の収集が必要になるのですが、弁護士に依頼をすればこのような準備も任せることができます。
相続人との交渉を弁護士が行ってくれる
遺産分割調停をしながら一方で相続人と交渉をすること自体は可能です。実は今まで交渉で上手くいかない原因が、相続人同士で遺産に関する請求について冷静に交渉ができなかった場合も珍しくありません。法律上どのような形での決着が可能なのか、どのような形での決着が望ましいか、ということが分かっていても、近しい親族で争いになってしまった場合にはそれ以上の感情的な対立で交渉が進まない場合もよくあります。弁護士が相手と話し合いをする、相手方の弁護士と話し合いをすることによって、冷静に解決方法を見出すことができるというメリットがあります。
遺産分割調停の期間

- 遺産分割調停が終わるにはどの程度の期間が必要か
遺産分割調停はどれくらいの期間で終わるのですか?
1年以内に終わる案件が全体の半数です。
遺産分割調停はどれくらいの期間で終了するのでしょうか。具体的な事例でどのくらいの期間がかかるかは、争いになっている遺産分割次第になってしまうのですが、司法統計による統計によると1年以内に終了するのが半数くらいとなっています。遺産分割調停は期日で進行することになりますが、期日は約1ヶ月ごとに進行するのが通常です(大型連休や夏季冬季休業は除く)。そのため、3回の期日で終了する場合には3ヶ月程度から4ヶ月程度はかかるということになります。半数以上の調停が5回までに終結しており、長くても10回程度の期日までに終わっていますので、1年以内に半数以上の手続が終了しているというデータになっています。
遺産分割調停の費用

- 遺産分割調停にはどの程度の費用がかかるのか
遺産分割調停はどれくらいの費用がかかりますか?
手続自体に必要な費用と、弁護士に依頼する場合の費用について確認しましょう。
遺産分割調停自体にかかる費用
遺産分割調停自体には、申立書に貼付する収入印紙と、裁判所に納める切手を購入する必要があります。遺産分割調停の申立てには被相続人1人につき1,200円分の収入印紙が必要になります。連絡をするための切手を購入して裁判所に納める必要があるのですが、これについては申立てをする裁判所によって異なります。たとえば、さいたま家庭裁判所に申立てを行う場合には、100円切手を10枚・84円切手を20枚・10円切手を30枚必要とされています。添付書類の収集に必要な戸籍謄本・住民票の除票などは市区町村役場によって、また取得する書類によって300円~750円など値段が異なります。
弁護士に依頼する場合の費用
弁護士費用については弁護士によって異なるので一律の値段というわけではありません。しかし、弁護士会が報酬について決めていた旧報酬規程を基準にしている事務所が多く、相場の参考になります。
| 経済的利益の額 | 着手金 | 成功報酬 |
|---|---|---|
| 300万円 | 8% | 16% |
| 300万円を超え3,000万円以下の部分について | 5%+9万円 | 10%+18万円 |
| 3,000万円を超え3億円以下の部分について | 3%+69万円 | 6%+138万円 |
| 3億円を超える部分について | 2%+369万円 | 4%+738万円 |
計算が非常に複雑なのですが、たとえば遺産分割で2,000万円の分割を受けたい場合には、着手金(300万円×8%)+(1,700万円×5%+9万円)=118万円、成功報酬(300万円×16%)+(1,700万円×10%+18万円)=236万円となります。
なお、東京新宿法律事務所においては
着手金は22万円(税込み)(交渉から調停に移行した場合は、交渉の着手金を控除します)
また、経済的利益が3,000万円以下の場合、報酬金は手続きで得た利益の17.6%(税込み)となっています。
まとめ
このページでは遺産分割調停についてお伝えしてきました。遺産分割の協議が整わなかった場合に利用する手続なのですが、手続自体が複雑なものになります。弁護士に相談しながらすすめていくことをお勧めします。

- 遺産相続でトラブルを起こしたくない
- 誰が、どの財産を、どれくらい相続するかわかっていない
- 遺産分割で損をしないように話し合いを進めたい
- 他の相続人と仲が悪いため話し合いをしたくない(できない)
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