未成年者が遺言書を作成することができる年齢について解説
ざっくりポイント
  • 未成年者でも15歳以上から単独で遺言書を作成することができる
  • 未成年者が遺言書を作成する場合弁護士に相談するのが無難
  • 遺言書の方式は公正証書遺言で行うべき
目次

【Cross Talk 】未成年者は何歳から遺言書を作成することができるの?

私は未成年者ですが、理由があって遺言書を作成しておこうと考えています。未成年者は何歳から遺言書を作成することができますか?

民法の成人年齢は18歳ですが、例外として、未成年者でも15歳から単独で遺言書を作成することができます。

未成年者でも一定の年齢以上なら遺言書の作成ができるんですね。未成年者が遺言書を作成する場合の注意点があれば教えてください!

未成年者の遺言制度の概要や注意点について解説いたします。

遺言書を作成するとできるのは、遺産の分割方法の指定などです。未成年者でも、一定以上の年齢であれば遺言書の作成できます。 ただし、未成年者が遺言書を作成する場合は、せっかくの遺言書が無効にならないように注意しなければなりません そこで今回は、未成年者が遺言書を作成できる年齢や、未成年者が遺言書を作成する場合の注意点について解説いたします。

未成年者の遺言書について

知っておきたい相続問題のポイント
  • 未成年者が法律行為をするには親権者の同意を要するのが原則
  • 遺言書の場合は例外として15歳以上から単独で可能

未成年者の遺言書について教えてください。

未成年者でも15歳以上から単独で遺言書を作成することができます。未成年者の遺言は、未成年取消権によって取り消せきません。

未成年者の法律行為についての原則

未成年者が法律行為をする場合は原則として、法定代理人(親権者)の同意を得なければなりません(民法第5条)。 同意を得ないで未成年者がした法律行為は、取り消すことができます。これを未成年者取消権といいます。 例えば、未成年者が親の同意を得ずに英会話学校に通う契約をした場合、原則として契約を取り消すことが可能です。

未成年者の遺言書についての例外

未成年者が遺言書を作成した場合は、親権者の同意を得ていなくてもも、未成年者取消権によって取り消せません。 未成年者取消権が規定されている民法第5条について、遺言の場合には適用されないと定められているからです(民法第962条)。 例えば、親の同意を得ずに未成年者が遺言書を作成したところ、遺言書の内容が気にいらないからといって、親が取り消すことはできません。

15歳未満は代理をしても遺言書は作成できない

15歳未満の場合は遺言書を作成することができず、代理によっても認められません。 法律によって、遺言書が作成できるのは15歳以上なので、15歳未満の場合は遺言書を作成することができないのです。

もし15歳未満の人が遺言書を作成したとしても、遺言書としての効力は認められません。 父・母・長男・次男の家族において、14歳の長男が遺言書を作成した場合で考えてみましょう。 長男が100万円の預貯金を有しており、「預貯金100万円の全てを弟(次男)に遺贈する」という遺言書を作成したとします。

もし長男が亡くなって相続が発生したとしても、長男は15歳未満なので、長男が作成した遺言書には法的な効力が認められません。 よって、長男が亡くなって相続が発生したとしても、弟である次男が遺言書によって100万円を取得することはできません。

もし長男が亡くなって相続が発生した場合、被相続人の父母と兄弟姉妹とでは、父母が優先して法定相続人になります。 その結果、長男の100万円の預貯金は、父と母がそれぞれ50万円ずつ相続し、次男は相続できません。

15歳以上の場合には親権者に代理してもらう必要はない

15歳以上の場合は親権者に代理をしてもらう必要はなく、単独で遺言書を作成できます。 民法の規定により、15歳以上の場合は遺言能力が認められているからです(民法第961条)。 民法が定める成年年齢は18歳ですが(民法第4条)、遺言書の場合は例外として、15歳以上であれば未成年者でも単独で遺言書を作成することができます。 遺言書を作成することができる年齢が18歳よりも低い理由は、遺言書の効果は本人が亡くなった後に生じるので、通常よりも未成年者を保護する必要性が低いと考えられるからです。

未成年者の遺言書に利益相反は問題にならない

未成年者の遺言書については、原則として利益相反行為は問題になりません。

親権者と未成年者との間の利益相反行為とは、ある法律行為の外形からみて、親権者の利益になるものの、未成年者にとっては不利益になる行為のことです。 親権者と未成年者の利益が相反関係にあることから、利益相反行為と呼ばれます。 親権者は未成年者にかわって法律行為をする権限があるのが原則ですが、利益相反行為に該当する場合は、親権者は未成年者を代理することができません。

例えば、親権者と未成年者がともに相続人である場合の遺産分割協議は、利益相反行為にあたります。親権者が自分の利益を優先して、未成年者にとって不利な内容で協議をしてしまう可能性があるからです。 利益相反行為に該当する場合は、家庭裁判所に申立てて、特別代理人(親権者にかわって、未成年者のために法律行為をする者)を選任してもらう必要があります。 しかし、未成年者の遺言は、原則として利益相反行為にあたらないので、特別代理人を選任する必要はありません。

未成年者の遺言書の注意点

知っておきたい相続問題のポイント
  • 未成年者が遺言書を作成する場合は弁護士に相談するのが無難
  • 遺言書の方式は公正証書遺言で行うべき

未成年者が遺言書を作成する場合の注意点を教えてください。

未成年者が遺言書を作成する場合は法的なトラブルを防止するために、弁護士に相談して行うのが無難でしょう。遺言書の方式としては、信頼性の高い公正証書遺言がおすすめです。

弁護士に相談しながら行うのが無難

未成年者が遺言書を作成する場合、弁護士に相談しながら行うのが無難です。 民法は遺言書の方式を厳密に定めており、方式を満たさない場合は遺言書の効力が認められません(民法第960条)。 未成年者が自分だけで遺言書を作成する場合、方式を満たさない遺言書を作成してしまう可能性が高いので、せっかく遺言書を作成しても無効になる危険性があります。 弁護士に相談しながら作成すれば、遺言書の方式をきちんと満たした遺言書を作成できるので、遺言書が無効になるリスクを回避できます。

できれば公正証書遺言で行う

民法が定める基本的な遺言書の方式としては、自筆証書遺言・秘密証書遺言・公正証書遺言の3種類があります。 未成年者が遺言書をする場合、なるべく公正証書遺言によることをおすすめします。 公正証書遺言とは、公証役場の特別な公務員である公証人によって作成される遺言書の方式です。 公正証書遺言を作成するには、公証役場に支払う手数料などの費用がかかりますが、公証人の関与によって法的に不備のない遺言書を作成できるのが大きなメリットです。 また、公正証書遺言は原本が公証役場で保管されるので、遺言書の紛失や改ざんの心配がありません。

まとめ

民法が定める成年年齢は18歳ですが、遺言書の場合は例外として、15歳以上であれば単独で遺言書を作成することができます。 未成年者が遺言書を作成するにあたって親権者の同意は不要であり、未成年者取消権も認められません。 未成年者が遺言書を作成する場合は、せっかくの遺言書が無効にならないように、弁護士に相談しながら行うことをおすすめします。

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この記事の監修者

弁護士 今成 文紀東京弁護士会 / 一般社団法人日本マンション学会 会員
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