
- 自筆証書遺言と秘密証書遺言はルーズリーフでも作成できる
- 遺言書をルーズリーフで作成した場合、偽物と疑われたり破棄されたりなどのリスクがある
- 遺言書を作成するには専用のキットや和紙を使用するのがおすすめ
【Cross Talk】遺言書をルーズリーフで作成しても大丈夫?
遺言書を作成しなければなりませんが、面倒なので、ルーズリーフを使おうと思います。大丈夫ですか?
遺言書の方式のうち、いくつかはルーズリーフで作成することも法的には可能です。ただし、本物かどうか疑われたり、遺言書と気づかずに破棄されたりなどのリスクがありますよ。
遺言書をルーズリーフで作成することはできますが、リスクがあるのですね。ルーズリーフで作成できる遺言書の種類についても教えてください。
遺言書の種類のうち、いくつかはルーズリーフで作成することも法的には可能です。
しかし、本物の遺言書かどうかを疑われたり、遺言書と気づかずに破棄されたりなどのリスクがあります。
そこで今回は、遺言書をルーズリーフで作成する場合について解説します。
遺言書をルーズリーフで作成した場合の効力

- 自筆証書遺言と秘密証書遺言はルーズリーフでも作成できる
- 公正証書遺言は公証人が作成するのでルーズリーフは使わない
遺言書を作成しようと思うのですが。ルーズリーフを使っても大丈夫ですか?
自筆証書遺言と秘密証書遺言を作成する場合は、ルーズリーフで作成しても遺言書としての効力が認められます。公正証書遺言を作成する場合は、公証人が作成するので、ルーズリーフは使いません。
自筆証書遺言の場合
自筆証書遺言を作成する場合、ルーズリーフに記載することは法的に可能です。
自筆証書遺言は、遺言者(遺言をする人)が遺言書の全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押して作成する方式です。
自筆証書遺言に限りませんが、正式な遺言書として認められるためには、民法が定める所定の要式を満たさなければなりません。
法が定める要式を満たさない場合、遺言書と題する書面を作成しても、遺言としての効果が認められません。
しかし、自筆証書遺言に使用する用紙については特に制限がないので、所定の要式をきちんと満たしていれば、ルーズリーフを使用しても正式な遺言書として認められます。
ルーズリーフだけでなく、ノートの切れ端やチラシの裏に記載したとしても、要式さえ満たしていれば、法的には自筆証書遺言として認められるのです。
公正証書遺言は公証人が作成しルーズリーフは使わない
公正証書遺言は公証人が作成するので、ルーズリーフを使いません。
公正証書遺言とは、公証役場の特別な公務員である、公証人の関与のもとで遺言書を作成する方式です。
自筆証書遺言の場合、遺言書は遺言者自身が自筆しなければなりませんが、公正証書遺言の場合は、遺言者は遺言書の内容を口頭で伝えるだけで足ります。
公正証書遺言自体は公証人が作成するので、遺言者は遺言書用の用紙を用意する必要はありません。
公正証書遺言に使用する用紙が法律で決まっているわけではありませんが、公証役場が用意した用紙を使用するので、ルーズリーフは使いません。
秘密証書遺言の場合
秘密証書遺言を作成する場合、ルーズリーフを使用することは法的に可能です。
秘密証書遺言とは、遺言書の内容を他人に知られることなく、遺言書を作成する方式です。
秘密証書遺言を作成するには公証役場で手続きをしなければなりませんが、遺言書を作成するのは公証人ではなく、遺言者自身です。
自筆証書遺言と同様に、遺言書に使用する用紙は特に制限がないので、ルーズリーフを使用して遺言書を作成することもできます。
遺言書をルーズリーフで作成した場合のリスク

- 遺言書をルーズリーフで作成した場合、偽物と疑われたり破棄されたりなどのリスクがある
- 遺言書を作成するには専用のキットや和紙を使用するのがおすすめ
遺言書をルーズリーフで作成した場合、どのようなリスクがありますか?
本物かどうか疑われたり、遺言書と気づかずに破棄されたりなどのリスクがあるので、専用のキットや和紙を使用するのがおすすめです。
本物かどうか疑われる
遺言書をルーズリーフで作成した場合、本物の遺言書なのかどうかを疑われるリスクがあります。
自筆証書遺言や秘密証書遺言を作成する場合、遺言書として使用する素材に制限はないので、ルーズリーフを用いて遺言書を作成することもできます。
しかし、遺言書は一般に専用キットや高級な和紙などが使われることが多いため、ルーズリーフを使った場合、本物の遺言書ではなく、下書きや偽物だと疑われる可能性が高いのです。
遺言書が偽物であると疑われた場合、遺言書の内容に不満がある相続人などから、偽物だから遺言書は無効だと主張される可能性が高くなります。
遺言書が偽物だと主張された場合、遺言書の有効性をめぐって相続人の間で争いになり、相続の手続きがスムーズに進まなくなることがあります。
遺言書と気づかず破棄される
遺言書をルーズリーフで作成すると、遺言書と気づかずに破棄されてしまう可能性があります。
ルーズリーフで作成した場合、文面をよく読めば遺言書であると分かるかもしれませんが、見た目では遺言書であると気づきにくい場合が少なくありません。
ルーズリーフで作成された遺言書を発見した人が、もし遺言書だと気づかずに捨ててしまった場合、回収できなければ遺言書が存在しないのと同じ状態になります。
もし、遺言書を破棄されたことに遺言者が気づけば、遺言書を新しく作り直すことが可能です。
しかし、遺言書を破棄されたことに気づかないまま遺言者が亡くなってしまった場合は、もはや遺言書は存在しないので、相続人が遺産分割協議をして、遺産をどのように分配するかを決めなければなりません。
遺言書が誤って破棄されてしまうと、せっかく遺言書を作成したにもかかわらず、遺言書が存在しないのと同じ状態になるので、遺産分割に手間がかかります。
また、遺産をどのように分配するかを巡って、相続人の間で争いになってしまう可能性もあるのです。
自筆証書遺言書のキットや高級な和紙などを使うのがおすすめ
遺言書を作成する場合、遺言書作成用の専用キットや、高級な和紙などを使用するのがおすすめです。
自筆証書遺言や秘密証書遺言に使用する用紙に制限はないので、ルーズリーフやチラシの裏などを使用することも法的には可能です。
しかし、ルーズリーフなどを使用して遺言書を作成した場合、偽物だと疑われたり、遺言書と気づかずに破棄されたりなどのリスクが高くなります。
また、ルーズリーフなどの耐久性の低い用紙を使用した場合、経年劣化によって、書かれた文章が判別できなくなってしまう可能性もあります。
遺言書を作成する場合は、上記のようなリスクを回避するために、専用キットや高級な和紙を使うのがおすすめです。
遺言書の専用キットは、遺言書の原本の用紙・下書きの用紙・封筒などがセットになった市販の商品で、遺言書を作成しやすいのがメリットです。
高級な和紙は耐久性が高いので、年月の経過による劣化を防止しやすいのがメリットです。また、遺言書としてふさわしい風格も備えています。
まとめ
遺言書の種類のうち自筆証書遺言と秘密証書遺言は、ルーズリーフで作成することも可能です。
公正証書遺言は公証人が作成するので、ルーズリーフは使用されません。
遺言書をルーズリーフで作成した場合、本物かどうかを疑われたり、遺言書と気づかずに破棄されたりなどのリスクがあります。
遺言書を作成する場合は、リスクを回避するために、専用キットや高級な和紙を使用するのがおすすめです。
<参照>
1遺言書をルーズリーフで作成した場合の効力
3)秘密証書遺言の場合
https://nishimiya-office.com/entry42.html
2遺言書をルーズリーフで作成した場合のリスク
3)自筆証書遺言書のキットや高級な和紙などを使うのがお勧め
https://www.kokuyo-st.co.jp/stationery/life-event/will/


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