相続における悩み別にどのような解決方法があるか
ざっくりポイント
  • 自分の相続についての悩みと解決方法
  • 相続人となった場合の悩みと解決方法
  • 主に弁護士・税理士・行政書士などに相談をする
目次

【Cross Talk 】相続についての悩みはどうやって解決すればいいですか?

今、相続について悩んでいます。相談する相手を調べているとたくさんあって、誰に相談をして解決すればいいかわからないのですが…。

相続についてたくさん専門家がいるのは、一言に「相続の悩み」といっても、いろいろな種類があるからです。どのような悩みがあるかによって、誰に相談をしてどうやって解決すればいいか確認しましょう。

是非よろしくお願いします。

相続の悩み別に誰に相談してどうやって解決すればいいか確認しよう

相続について悩まれている方の多くは、専門家や相談に乗ってくれるところも多いため、誰に相談をすればいいのか、かえってよくわからないことがあります。 これは「相続の悩み」といっても、どう遺言書を書くのか、どうやって相続税対策をすればいいか、相続人となったけれども他の共同相続人との話し合いがまとまらないなど、様々な悩みがあり、それによってどの専門家に相談すればいいか異なるからです。このページでは相続の悩み別に、誰に相談してどのように解決すれば良いかについてお伝えいたします。

自分の相続対策についての悩み

知っておきたい相続問題のポイント
  • 相続人が揉めないようにするためには弁護士に相談して遺言書を作成
  • 節税対策については税理士に相談をする

自分の相続についての相談をする場合にはどうすればいいでしょうか?

争いにならないようにしたいのであれば弁護士に相談をして遺言書を作成しておくのが良いでしょう。相続税対策をしたい場合には税理士に相談するのが基本です。

まずは、自分の相続についての相談について確認しましょう。

相続人が揉めないようにしてほしい

自分が亡くなった後に相続人の間で揉めてほしくない、という悩みについては、弁護士に相談をして、遺言書を作成しておくのが基本です。 どのような遺産があるか、相続人相互の関係によって、相続が発生したときにどのようなリスクがあるかは、相続に関する案件を取り扱っている弁護士に相談をしましょう。 相続人が揉める原因としては、遺産分割協議がうまくいかないことが原因となることがあるので、遺言書を作成しておいて遺産分割協議をしなくても良いようにしておくのが望ましいでしょう。

遺産を相続人以外の人にも渡せるようにしたい

孫やお世話になった人など、相続人以外の人に遺産の一部を渡したいけれど、どうすればいいかわからないという悩みがある場合には、弁護士か行政書士に相談をして、おなじく遺言書を作成しましょう。 相続人以外の人に遺産を譲り渡す遺贈をするためには、遺言書を作成しておくことが不可欠です。 行政書士は、職務上遺言書の作成に関与することが可能ですが、財産の遺贈によって遺留分を侵害して、争いにならないかなど慎重に検討するためにも、弁護士に相談することをおすすめします。

税金をなるべくかからないようにしたい

相続に関する事前対策として、相続税や贈与税がかからないように、準備をしておくことがあります。 この場合には、相続税に詳しい税理士に相談をして、進めるようにしましょう。 不動産会社や保険会社が、相続税対策になる商品を販売していることがあるので、相続の相談に乗っていることがあります。 しかし、相続税や贈与税は総合的に考えないと、かえって損をすることがあるので、まずは税理士に相談をして、必要に応じてこういった会社を紹介してもらうことが望ましいといえます。

相続人となった人の悩み

知っておきたい相続問題のポイント
  • 相続手続きごとの専門家が誰なのか
  • 弁護士に相談する相続の悩み

相続人になった人の悩みは誰に相談することになるのでしょうか。

相続人となった人の悩み別に確認してみましょう。

自分が相続人となったときの相続の悩みがある場合についてみてみましょう。

相続手続きが面倒である

相続の手続きが面倒であるという悩みがある場合には、専門家への依頼を検討しましょう。 手続きについては弁護士・行政書士に依頼をすることが基本です。 不動産の相続登記については行政書士が行うことはできないので、司法書士に依頼をしましょう。 相続税申告については税理士に依頼をします。

相続人の間で話し合いが前に進まない

相続をする際には遺言書がなければ遺産分割協議を行います。 遺産分割協議は話し合いですので、相続人の間で話し合いが前に進まない…ということがあります。 このような場合には、裁判所での手続き?と思われるかもしれませんが、相続人の間での話し合いが進んでいない原因が、当事者間の感情的な対立にあるような場合があります。 この場合、弁護士を介して面と向かって交渉することにより、話し合いがまとまるようなこともあるので、弁護士に依頼して、代理をしてもらうことも検討しましょう。

遺留分の侵害がある場合

遺言書や生前贈与があり、法定相続分よりも少ない相続しかできないことがあります。 この場合に、遺留分を侵害している場合には、受遺者・受贈者に対して遺留分侵害額請求をすることが可能です。 遺留分侵害額請求をしたい場合には、相手との交渉が必要となるので、弁護士に依頼することになります。 相手との交渉もしくは法的な手段によって、遺留分侵害額請求をして解決をします。

借金ばかり相続した

相続というと不動産や現金・自動車などのプラスの財産だけではありません。 借金・商売上の債務など、マイナスの財産も相続の対象となります。 借金ばかり相続したような場合には、相続放棄・限定承認という方法があります。 裁判所に申述をおこなってするので、弁護士に依頼することが多いです。

相続争いに巻き込まれたくない

これから相続に関する手続きを行うものの、相続争いに巻き込まれたくない、という場合があります。 この場合には、相続をどのような方針で行うかによって、手続きを選びましょう。 相続人として相続にかかわりたくない、というのであれば、相続放棄をすることで相続人ではなくなるので、相続争いに巻き込まれなくなります。 相続をしたいけれども、相続争いで他の相続人と交渉をするのが面倒だ、というのであれば、遺産分割協議などの代理を弁護士に依頼してみましょう。

遺産相続でよくあるトラブル

知っておきたい相続問題のポイント
  • 遺産相続でよくあるトラブルについて

遺産相続でよくあるトラブルとしてはどのようなものがありますか?

遺産分割でよくあるトラブルの事例をみてみましょう。

遺産相続でよくあるトラブルとしては次のものが挙げられます。

遺産分割の割合に関するトラブル

よくあるトラブルとして、遺産分割の割合に関するトラブルが挙げられます。
遺産分割についていわゆる現物分割を行うような場合に、相続するものの価値次第では法定相続分とはかなり違う相続になることもあります。
現金・預金が潤沢でその差を調整することができるような場合であればトラブルにはなりにくいですが、現金・預金に乏しく法定相続分からはかけ離れた遺産分割案を提示されることで、不満に思う相続人との間でトラブルが発生することがあります。

不動産の分割に関するトラブル

遺産相続では、不動産の分割に関するトラブルも挙げられます。
相続をする際に不動産をどのように分割するかで、法定相続分割合から大きくかけ離れた相続となることがあります。
これを是正するために代償分割という分割方法があるのですが、代償金が払えない場合には、法定相続分からはかけ離れた現物分割をするか、相続人間で不公平にならないように共有分割・換価分割をするか、などの選択肢が挙げられますが、意見が合わずにトラブルが発生することがあります。
また、分割した不動産の利用や管理についてトラブルになることもあります。

相続人の一人が遺産を独占するトラブル

相続人の一人が遺産を独占するというトラブルも挙げられます。
現在では家族のうち法定相続人となる人全員が相続権を有していますが、戦前は家督を継いだ方にしか相続権が認められていませんでした。
そのため、相続の際には古い価値観である方もいて、跡取りが一人で相続することを強要しようとする場合があり、トラブルになることがあります。

相続人が多すぎてトラブルになる

代襲相続が発生するなどして、多数の人間が相続人となることがあり、トラブルになる場合もあります。
遺産分割においては相続人全員で合意しなければならず、相続人がそれぞれに強硬な主張をする結果、トラブルとなってしまうのです。

特別受益や寄与分の計算を巡るトラブル

特別受益や寄与分の計算を巡るトラブルになることも多いです。
遺産分割の際に、生前贈与や介護をしていたなど、相続人の間で平等な取り扱いをすることがかえって不公平となるような事情がある場合に、特別受益・寄与分といった民法の制度によって調整をすることがあります。
特に寄与分の計算は複雑である上に当事者で合意に至るのが難しく、トラブルになることがあります。

行方不明・面識の無い相続人に関するトラブル

相続人が行方不明になっていたり、面識の無い相続人がいたりする場合もトラブルに発展しやすいでしょう。
行方不明になっている相続人や、面識の無い相続人がいる場合、戸籍と戸籍の附票を取り寄せて相手と遺産分割交渉をする必要があります。
疎遠となっているような場合には、遺産分割交渉を上手くまとまらないことも多く、トラブルになることがあります。
また、行方不明になっている相続人がいるような場合には、相続財産清算人の選任が必要になるなど、面倒な手続きが必要となることもあります。

遺言書に関するトラブル

遺言書に関するトラブルもよく発生します。
遺言書が無効となってしまうような場合もあれば、相続人が遺言書の無効を主張したり、遺言書の内容に不服を訴えてトラブルになったりすることがあります。

遺留分に関するトラブル

遺留分に関するトラブルもよく発生します。
生前贈与・遺贈で、兄弟姉妹以外の法定相続人の遺留分を侵害した場合には、遺留分侵害額請求の対象となります。
遺留分減殺請求を起こされることに納得がいかない、主張している金額がおかしい、お金を一括で支払えない、といった場合にトラブルになることがあります。

相続税に関するトラブル

手続きを自分で行おうとして10ヵ月の期限に間に合わない、適切に申告書を作成できない、添付書類がわからない、といった手続き面でのトラブルの可能性があります。
また、遺産分割がうまくいかず、控除や特例の利用ができない、といった相続税申告に向けた準備でトラブルとなることがあります。
トラブルにならなくても、実はもっと相続税を安くする制度があるので、その利用をしなかったので損をするようなことも考えられます。

相続の悩みを解決してくれる専門家

知っておきたい相続問題のポイント
  • 相続の悩みを解決してくれる専門家
  • 弁護士・税理士など

相続の悩みを解決してくれる専門家にはどのような方がいますか?

トラブルについては弁護士が、相続税については税理士が、そのほかにも手続きを代行してくれる司法書士・行政書士や、銀行・FPなどがいます。

相続の悩みを解決してくれる専門家には次のような方がいます。

弁護士

弁護士は法律問題全般を取り扱います。
特に調停・審判・裁判や、遺産分割交渉を代理人として行うことは、弁護士法72条によって弁護士しか行うことができません。
相続税や準確定申告などの税金に関する問題以外で悩みがある場合には、弁護士に相談するのが良いでしょう。

税理士

相続税の申告・納税や、準確定申告といった手続きは、税理士に相談をします。
また、相続税対策のためのコンサルティングを受けることもできます。
税理士として登録していると、後述する行政書士としても登録することができ、税金の問題以外にも対応している税理士もいます。

司法書士

相続財産に不動産がある場合、相続登記を行う必要があり、その相談は司法書士に行います。
司法書士は法務局に提出する書類を業務内容としており、相続登記を行うことができます。
その他にも、裁判所に提出する書類についても業務内容としているので、相続放棄・限定承認を行うことができます。

行政書士

裁判所での手続き・法務局での手続き以外の手続きについては、行政書士に相談をしましょう。
行政書士は、官公署への提出書類や、権利義務に関する書類の作成を業務としておこなっています。
そのため、役所への手続きや、遺産分割協議書や遺言書の作成を行っています。

銀行や金融機関

銀行や信託銀行のような金融機関でも相談をすることができます。
相続に関する基本的なサポートやニーズに併せて専門家を紹介してもらえるほか、信託銀行では資産運用・遺言信託・遺産整理業務といった業務もおこなっています。

ファイナンシャルプランナー

ファイナンシャルプランナーにも相続の相談を行うことができます。
お金についての専門家であるファイナンシャルプランナーには、資産の運用や相続税対策のコンサルティングをしてもらいましょう。

不動産会社・保険会社

相続・相続税対策のために、不動産の取り扱いを行ったり、不動産投資を行ったり、生命保険を活用することがあります。
このような場合には不動産会社・保険会社に相談してみると良いでしょう。

まとめ

このページでは、相続の悩み別にどのような専門家に相談をすればいいか、その解決方法などについてお伝えしました。 単純に「相続」といっても様々なシチュエーションがあります。 専門家は横にも広いネットワークを持っているので、まずは弁護士に相談をしてみてください。

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この記事の監修者

弁護士 境野 秀昭第二東京弁護士会
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