目次

はじめに

都市部で暮らす方にとって、田舎の山林は使い道がないうえ、管理や維持費、税金の負担が重くのしかかります。
しかし、不要な相続を処分するためには、正しい知識が必要です。
本記事では、不要な山を相続したくない場合の具体的な対処法として、「相続放棄」「国への返還(国庫帰属)」「売却」などの選択肢をわかりやすく解説します。

不要な山を相続したくない場合の対処方法

山を相続したくない場合には、相続放棄・売却・寄付という3つの選択肢があります。
・相続放棄をする
・国庫に帰属させる
・売却をする
詳しくみていきましょう。

相続放棄をする

遺産を受け継ぎたくない場合は、相続を放棄するという選択肢があります。
被相続人が亡くなったことを知った日から、3カ月以内に家庭裁判所で手続きを行うことで相続を放棄できます。
相続放棄をした相続人は、はじめから相続人ではなかったとみなされ、被相続人の遺産すべてを受け継ぐことができなくなります。
そのため、山以外に不動産や現預金などの遺産があって遺産全体としてはプラスになる場合や、どうしても相続したい財産がある場合には避けたほうがよいでしょう。
遺産が山のみの場合には相続放棄を選ぶ方が多いです。
もっとも、相続人全員が相続放棄を行った場合には、最後に相続放棄をした方に管理義務は残りますので、この場合には相続財産管理人を選任して山の管理義務を引き継ぐことを検討する必要があります。

第九百四十条 相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。
引用元:民法 | e-Gov 法令検索

国庫に帰属させる

相続によって取得した土地で一定の条件を満たしている場合は、相続土地国庫帰属制度により国庫に帰属させることができます。
国が引き取ることができない要件は、以下になります。

1.却下要件(申請の段階で直ちに却下となる土地)
A 建物がある土地
B 担保権や使用収益権が設定されている土地
C 他人の利用が予定されている土地
D 特定有害物質により土壌汚染されている土地
E 境界が明らかでない土地・所有権の存否や帰属、範囲について争いがある土地

2.不承認要件(審査の段階で該当すると判断された場合に不承認となる土地)
A 一定の勾配・高さの崖があって、かつ、管理に過分な費用・労力がかかる土地
B 土地の管理・処分を阻害する有体物が地上にある土地
C 土地の管理・処分のために、除去しなければいけない有体物が地下にある土地
D 隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ管理・処分ができない土地
E その他、通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力がかかる土地
引用元:法務省:相続土地国庫帰属制度において引き取ることができない土地の要件

この制度に申請ができる人は、相続または遺贈によって土地を取得した方に限定されています。
相続土地国庫帰属制度は、2023年4月27日より開始された新しい制度ですので、全国の法務局または地方法務局にて一度相談してみるとよいでしょう。

売却をする

相続した土地を売却するには、以下のような方法があります。
①不動産会社に仲介または買取りを依頼する
②個人間売買サイトを利用する
不動産会社に依頼する方法には、仲介と直接買い取ってもらう方法がありますが、仲介のメリットは買取りより売却価格が高いことです。
しかし、約3~6カ月程度の期間がかかることが多く、なかなか買い手が見つからない場合にはさらに時間がかかってしまいます。
一方で、買取りは約1~2カ月程度で売却できることが多いですが、売却価格が仲介より3割程度下がってしまう傾向があります。
近年、キャンプによる個人の利用といった個人で山を購入する方も増えているため、個人間売買サイトを利用すると売却できることがあります。
しかし、不動産売買は専門知識が必要ですので、個人間での取引はトラブルになるリスクがあるでしょう。

いらない山を相続する場合に考慮すべきこと

不要な山を相続する際に考慮すべきことが2つあります。
・不要な財産であっても相続の対象になる
・不要な山を所有している場合のリスク
それぞれ詳しく解説します。

不要な財産であっても相続の対象になる

相続は、被相続人の残した遺産の全てが対象となります。
たとえ不要な遺産であっても、相続開始から3カ月以内に相続放棄・限定承認の手続きを取らなかった場合には自動的に相続することになります。
不要な遺産のほかにも、借金やローンなど負の遺産も相続の対象となるので、入念に遺産の調査しておくことが大事です。

不要な山を所有している場合のリスク

不動産の所有者には、維持・管理の義務があります。
山の管理には専門知識や専用の機械、技術が必要となります。
そのため、業者に委託する方が多いですが、委託費用がかかってしまいます。
さらに近隣の住民や産廃業者にゴミを不法投棄されるというリスクもあります。
そのほか、土砂崩れといった災害などのリスクもありますので、不要な場合は早めに手放すことをおすすめします。

まとめ

不要な山を相続する事で税金や管理費用の負担、さまざまなリスクが生じます。 相続について詳しく知りたい方は弁護士へ相談することをおすすめします。

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