どのような方が相続税の納税義務者に該当するかを解説
ざっくりポイント
  • 相続税の納税義務者とは、相続税を納付する義務を負う方のこと
  • 納税義務者は2種類あり、無制限納税義務者と納税義務者がある
  • 相続税には連帯納付義務があり、相続人や受贈者などが対象となる
目次

【Cross Talk 】相続税の納税義務者とはどのような方のこと?

税務署から、私は相続税の納税義務者だと言われたのですが、相続税の納税義務者とはどのような人のことですか?

相続税の納税義務者とは、文字通り相続税を納める義務を負った方のことです。相続税の納税義務者は一定の例外を除いて、相続税を納付しなければなりません。

相続税の納税義務者は、原則として相続税を納めなくてはならないんですね。納税しなくても良い場合があれば、教えてください!

納税義務者に該当する方や納税しなくても良い場合を解説

相続税の納税義務者に該当する場合は、原則として相続税を納めなくてはなりません。 相続税の納税義務者に該当する場合の典型例は、相続や遺贈によって被相続人の財産を取得する場合です。 ただし、納税義務者であっても相続税を納める必要がない場合もあります。 そこで今回は、相続税の納税義務者について解説いたします。

相続税の納税義務者とは?

知っておきたい相続問題のポイント
  • 納税義務者とは租税を納める義務を負う方のことをいう
  • 相続税の納税義務者は相続税法で定められている

相続税の納税義務者とはどのような方のことをいうのですか?

相続税の納税義務者とは、相続税を納める義務を負う方のことです。相続税の納税義務者は相続税法という法律で定められています。

相続税の納税義務者とは、相続税を納める義務を負う方のことです。
憲法で「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う」(憲法30条)、「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする」(憲法84条)と定められており、相続税についても相続税法で納税義務者が定められています。

納税義務者の種類

知っておきたい相続問題のポイント
  • 納税義務者は大きく2種類あり、無制限納税義務者と制限納税義務者がある
  • 無制限納税義務者と制限納税義務者の違いは、日本国外の財産も相続税の課税対象になるか

納税義務者の種類について教えてください。

納税義務者の種類としては、大きく無制限納税義務者と制限納税義務者の2種類があります。主な違いは、日本国外の財産も相続税の課税対象になるかどうかです。

無制限納税義務者

無制限納税義務者とは、相続や遺贈によって財産を取得した方のうち、日本国内にある財産と国外にある財産のどちらについても、相続税の納税義務を負う方のことです。
まず、相続や遺贈によって財産を取得した時点で、日本国内に住所を有する場合は、原則として無制限納税義務者に該当します(居住無制限納税義務者)。

次に、財産を取得した時点で日本国内に住所を有しない場合でも、一定の条件に該当する場合は、無制限納税義務者にあたる場合があります(非居住無制限納税義務者)。
例えば、相続開始前の10年以内に、日本国内に住所を有していたことがある場合などです。 なお、無制限納税義務者に該当するのは日本国籍の場合に限りません。外国籍であっても一定の条件を満たす場合は、相続税の納税義務者に該当することがあります。

制限納税義務者

制限納税義務者とは、相続または遺贈により日本国内にある財産を取得した個人で、その財産を取得した時において、(1)日本国内に住所を有する方(居住無制限納税義務者を除く)、または(2)日本国内に住所を有しない方(非居住無制限納税義務者を除く)のことをいいます。

無制限納税義務者との違いは、日本国外の財産について、相続税の課税対象になるかどうかです。無制限納税義務者は国外の財産も課税対象となりますが、制限納税義務者の場合は、国外の財産は課税対象にはなりません。

相続税の納税義務者は誰が該当する?

知っておきたい相続問題のポイント
  • 相続人は相続税の納税義務者に該当する
  • 相続人ではなくても遺贈や死因贈与で財産を取得した方は納税義務者に該当する

相続税の納税義務者に該当するのはどのような方ですか?

亡くなった方の相続人は相続税の納税義務者に該当します。また、相続人ではない方でも、遺言によって遺贈を受けたり、亡くなった方と生前に結んだ死因贈与の契約によって財産を取得したりした人も、相続税の納税義務者に該当します。

相続人

まず、亡くなった方{被相続人}の相続人は相続税の納税義務者に該当します。相続人の範囲は民法で定められており、大きく分けると配偶者相続人と血族相続人の2種類があります。

配偶者とは法律婚における夫または妻のことで、被相続人に配偶者がいる場合、配偶者は常に相続人になります。血族相続人は、被相続人の血縁関係のある親族人のことで、次の通り第1~第3まで順位が定められており、先順位の相続人がいない場合に相続人になります。

・第1順位:子どもまたはその直系卑属
・第2順位:父母、祖父母などの直系尊属
・第3順位:兄弟姉妹またはその子ども

受遺者

遺言によって人に財産を譲ることを遺贈といいます。
相続人ではなくても遺贈によって財産を取得した方(受遺者)は、相続税の納税義務者に該当するとされています。
受遺者には、特定の財産を譲り受ける特定受遺者と、相続財産の一定割合を遺贈される包括受遺者の2種類がありますが、いずれも相続税の納税義務者となります。

死因贈与の受贈者

死因贈与とは、贈与者(財産を贈る方)と受贈者(財産を受け取る方)との間で締結する、贈与者の死亡によって効力が発生する贈与契約をいいます。
契約時ではなく贈与者の死亡時に受贈者に財産が移転する点で、相続や遺贈に類似しているため、死因贈与の受贈者も相続税の納税義務者とされています。

関連記事:死因贈与とは?遺贈との違いやメリット・デメリットをわかりやすく解説

納税義務者でも相続税を納めなくても良い場合

知っておきたい相続問題のポイント
  • 納税義務者であっても相続税を納めなくて良い場合がある
  • 相続税の基礎控除を下回る場合や、各種控除によって相続税がかからない場合などがある

納税義務者であっても相続税を納めなくて良い場合はありますか?

納税義務者であっても相続税を納めなくて良い場合として、相続税の基礎控除を下回る場合や、未成年者控除などによって相続税がかからない場合などがあります。

相続税には基礎控除(3000万円 + 法定相続人の数×600万円)が設定されており、相続した遺産の総額が基礎控除の額を下回る場合、相続税は課税されません。
例えば、相続した遺産の総額が3000万円であり、基礎控除の額が3600万円の場合は、総額が基礎控除を下回るので、相続税を納めなくて良い場合にあたります。
相続税には未成年者控除や障害者控除などの各種控除がありますが、控除によって相続税が0円になる場合も、納付の必要がない場合のひとつです。
なお、小規模宅地等の特例によって相続税がかからなくなる場合もありますが、特例を使う場合、相続税の申告自体は必要なので注意しましょう。

相続税の連帯納付義務

知っておきたい相続問題のポイント
  • 相続税には連帯納付義務がある
  • 連帯納付義務の対象は相続人や受贈者である

相続税の連帯納付義務とは、どのような義務なのでしょうか?

相続税の連帯納付義務とは、同じ被相続人から遺産を譲り受けた相続人や受贈者が、連帯して相続税を納付しなければならない義務のことです。

相続税の連帯納付義務とは、各相続人が連帯して相続税を納付しなければならない義務であり、連帯納付義務を負うのは、同じ被相続人から相続または遺贈によって財産を取得した全ての方が対象です。

つまり、ある被相続人から遺産を相続した相続人や、遺贈によって財産を譲り受けた受贈者は、面識があるかどうかに関係なく連帯して責任を負う必要があります。例えば、被相続人である父が亡くなって、配偶者と長男が遺産を相続し、甥が遺贈を受けた場合は、配偶者・長男・甥の3人に連帯納付義務があります。

連帯納付義務によって相続税を負担しなければならない具体例としては、他の相続人が遺産を使い切って相続税を納付できない場合や、失踪して税務署と連絡が取れなくなった場合などです。

令和3年に納税義務者の定義が変更

知っておきたい相続問題のポイント
  • 令和3年の法改正で相続税の納税義務が変更された
  • 就労系の資格で日本に居住する外国人が日本滞在中に死亡した場合、日本国内の財産にのみ課税されることになった

最近、相続税の納税義務が変更されたと聞いたのですが、具体的にどのように変わったのですか?

日本国内に居住する外国人が日本に滞在中に死亡した場合に相続税の課税対象になる財産に変更が加えられました。従来は滞在期間が10年を超えると国外の財産も課税の対象になったのですが、就労系の在留資格で日本国内に居住する外国人については、居住期間を問わず国外の財産には課税しないこととあらためられたのです。

従来、外国人が日本に滞在中に死亡した場合、滞在期間が10年以下の場合は日本国内の財産のみ相続税の課税対象とされ、滞在期間が10年を超える場合は日本国内の財産のみならず国外の財産も相続税の課税の対象とされていました。
このような制度は、母国等で財産を築いた優秀な外国人が長期にわたって日本国内に滞在して活躍することを阻害する要因になりかねません。
そこで、高度外国人材等の受け入れを促進するため、令和3年の法改正によって、入管法別表第一の在留資格で日本国内に居住する外国人は、居住期間を問わず、日本国内の財産のみを課税の対象とし、国外の財産には課税しないこととされました。

入管法別表第一は、高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療などの就労系の在留資格です。
これに対し、別表第二の永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者は、令和3年改正の対象には含まれません。

まとめ

相続税の納税義務者とは、相続税を納付する義務を負う方のことであり、相続人や受贈者などがいます。 納税義務者でも相続税を納めなくても良い場合としては、基礎控除を下回る場合や、各種控除によって相続税がかからない場合などがあります。 相続人や受贈者は、他の相続人が相続税を納付できない場合などに、相続税の連帯納付義務があるので注意しましょう。 相続税の納税についてトラブルが発生した場合は、相続問題に詳しい専門家へ相談することをおすすめします。

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