遺産分割協議書の押印を拒否されたらどうする?
ざっくりポイント
  • 遺産分割協議書には相続人全員の押印が必要
  • 押印拒否の理由は協議内容への不満や相続人間の対立など
  • 話し合いが難しい場合は弁護士による代理交渉も可能
目次

【Cross Talk 】遺産分割協議書の押印を拒否されたらどうする?

遺産分割協議書への押印を拒否された場合、どうすれば良いのでしょうか。

相続人全員の同意がなければ協議は成立しないため、まずは話し合いによる解決を目指す必要があります。

それでも押印してもらえない場合もありますよね。

その場合は、家庭裁判所の調停や審判といった手続きを視野に入れましょう。

遺産分割協議書の押印を拒否されたらどうする?

冒頭導入説明

遺産分割協議書は、相続人全員で話し合った遺産の分け方を書面にまとめたものであり、相続手続きを進めるうえで重要な役割を果たします。もっとも、協議の内容に納得できない相続人がいる場合などに、遺産分割協議書への押印を拒否されることもあります。 遺産分割協議は相続人全員の同意によって成立するため、ひとりでも押印を拒否する相続人がいると相続手続きが進められないおそれがあります。 本記事では、遺産分割協議書への押印を拒否される主な理由と、押印が得られない場合の具体的な対処法について解説します。押印が拒否されたらどうすれば良いか心配な方は、ぜひ参考にしてください。

遺産分割協議書には実印での押印が必要

知っておきたい相続問題のポイント
  • 遺産分割協議書は遺産分割の内容を書面にまとめたもの
  • 認印でも遺産分割協議書の効力はあるが、信頼性の高い実印が推奨される

なぜ遺産分割協議書には実印での押印が必要なのでしょうか。

実印であれば、協議内容に同意したのが相続人本人であるという信頼性が高いからです。

そもそも遺産分割協議書は何のために作るのか、詳しく教えてください。

遺産分割協議とは

遺産分割協議とは、相続人全員で遺産の分け方について話し合うための手続きです。被相続人の遺産は、相続が発生した時点で相続人全員の共有状態となり、遺言書がなければ基本的には遺産分割協議で遺産の分け方を話し合います。そして、遺産分割協議が成立した際に協議の内容を書面にまとめたものが、遺産分割協議書です。

遺産分割に参加するのは、民法に定められた法定相続人です。具体的には、被相続人の配偶者に加え、子ども、直系尊属(父母・祖父母)、兄弟姉妹が相続順位に従って法定相続人となります。例えば、被相続人に子どもがいない場合は直系尊属、直系尊属が既に亡くなっていれば兄弟姉妹へと相続権が移ります。

また、代襲相続人や包括受遺者がいる場合は遺産分割協議に参加します。代襲相続人とは、本来の相続人が相続開始以前に死亡している場合などに、その方に代わって相続人となる方のことです。そして、包括受遺者とは、遺言によって遺産の全部または一定割合を受け取る方のことです。 なお、遺言によって特定の財産のみを受け取る特定受遺者は遺産分割協議の当事者にはなりません。
関連記事:遺産分割協議の進め方について解説

実印での押印が必要な理由

遺産分割協議書には相続人全員の押印が必要であり、この押印は認印でも効力はありますが、実印での押印が推奨されます。なぜなら、協議内容に同意したのが相続人本人であるとより確実に証明されるからです。

また、法務局への相続登記や相続税の申告で配偶者の税額軽減などを適用する場合、基本的には相続人全員の実印が押された遺産分割協議書と印鑑証明書の提出を求められます。そのため、認印で遺産分割協議書を作成してしまうと、のちの相続手続において再度作成を求められるなど手続の手間が生じる可能性があります。

このような手続き上の利便性もあり、遺産分割協議書には実印での押印が推奨されます。

遺産分割協議で押印拒否される理由

知っておきたい相続問題のポイント
  • 遺産分割協議の結果に納得がいかない相続人から押印を拒否される場合がある
  • 印鑑登録をしておらず、実印がない相続人もいる

遺産分割協議書への押印が拒否されることもあるのでしょうか。

はい、いくつかの理由によって押印を拒否される場合があります。

拒否された場合にどうすれば良いのか、詳しく教えてください。

遺産分割協議の内容に納得がいかない

遺産分割協議書への押印は、協議の内容に同意したという意思表示であるため、押印を拒否するということは遺産分割協議に納得がいっていない可能性があります。 例えば、協議の結果、法定相続分より少ない取り分になった相続人が不満を持っているということはよくあります。また、被相続人に対する介護などの寄与分が正当に評価されていないというのも、不満に繋がりやすいポイントです。 このような状況では、押印を拒否している相続人の言い分を聞いたうえで、改めて話し合いを行うことが解決に繋がります。遺産分割協議の成立には相続人全員の同意が必要なので、公平性のある相続の実現を目指すことが重要です。

実印登録をしていない

押印を拒否する理由としては、そもそも印鑑登録を受けておらず、実印がないという可能性があります。実印とは、市区町村の役場に届け出て印鑑登録を受けた印鑑のことです。 この場合の解決策としては、その相続人の住所地のある市区町村の役場へ行き、印鑑登録を受けることです。手続きの際は、登録印と本人確認書類(運転免許証・パスポート・個人番号カード等)を持参すれば、基本的には当日に登録が完了します。 なお、実印ではない通常の認印などで遺産分割協議書を作成することは可能です。ただし、通常の認印は他人が勝手に押印することもできるため推奨されません。遺産分割協議書には、できるだけ実印での押印ができるよう相続人同士で話し合っておくことが重要です。

他の相続人と対立している

遺産分割協議において、相続人同士の意見が一致せず、対立が生じることは少なくありません。 例えば、不動産を売却して現金で分けたいと考える相続人と、実家としてそのまま所有し続けたいと考える相続人との間で意見が分かれる場合などです。また、被相続人の生前に特定の相続人が多額の援助を受けていると、それを特別受益として考慮すべきかどうかを巡って主張が対立することなどもあります。 このように相続人間で意見がまとまらない場合は、弁護士や司法書士などの専門家に依頼して合意形成を図るという解決方法もあります。 それでも協議による解決が難しい場合、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることで、中立的な立場から分割方法について話し合いを進められます。

遺産分割協議で押印拒否された場合の対処法

知っておきたい相続問題のポイント
  • 遺産分割協議で交渉して押印してもらう
  • 調停調書や審判書があれば相続人の押印は不要

押印拒否されたら、どうすれば良いでしょうか。

話し合いで解決するか、裁判所を通じて解決することが可能です。

どのような方法で解決するのか、詳しく教えてください。

弁護士に依頼して遺産分割協議を代理してもらう

弁護士は依頼者に代わって遺産分割協議に参加し、他の相続人と交渉を行うことができます。相続問題に強い弁護士であれば、揉めやすいポイントを熟知しており、事案に応じた解決策の提案ができるので、納得がいかない相続人を説得して押印してもらえる可能性もあるでしょう。 また、相続人同士では感情的になりがちな場面でも、第三者である弁護士が介入すれば冷静な話し合いができるという効果も期待できます。

家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てる

遺産分割協議で相続人全員の合意に至らない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることもできます。調停では、裁判所の関与のもとで調停委員が間に入り、当事者それぞれの事情や希望を聞き取りながら折り合いがつく地点を探ります。調停は相続人だけで直接話し合うよりも感情的な衝突を避けやすく、争点を明確にして進められるのがメリットです。 話し合いの結果、まとまった内容を書面にしたものが調停調書です。 もっとも、調停も協議と同じように合意による解決を目指す手続きであり、ひとりでも納得しない相続人がいれば調停は成立しません。 なお、調停は当事者だけでも進められますが、特別受益や寄与分、遺留分侵害額請求といった法的な主張をきちんと組み立てたい場合には、弁護士へ依頼した方がより適切な権利主張ができます。

調停が不成立だと遺産分割審判へ移行する

調停でも遺産の分け方について合意できなければ、裁判官が遺産の分け方を決める遺産分割審判へと進みます。審判では、裁判所が客観的な立場から解決方法を示し、審判書を作成します。協議や調停とは違い、反対している相続人がいたとしても、審判による強制力が相続人全員に及びます。 なお、遺産分割の事案では訴訟という手続きはとらず、遺産分割調停を申し立てる、または調停を経ずに遺産分割審判を申し立てるという手続きが取られます。訴訟と審判の手続きは似ていますが、審判は家庭内の実情に沿った柔軟な審理と判断が重視され、非公開で口頭弁論もありません。 このように、実印を押すことを拒否している相続人がいるとしても、調停調書や審判書が作成されれば相続人の実印を求める必要はなくなります。

まとめ

押印を拒否された場合、まずは相続人間での話し合いを重ねることが基本となります。当事者間での解決が難しいときは、弁護士を代理人として交渉を進める方法や、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てるといった解決方法があります。 調停でも合意に至らなかった場合には、遺産分割審判へと移行し、裁判所が遺産の分け方を判断することになります。調停調書や審判書が作成されれば、相続人全員の押印がなくても法的に有効な遺産分割の内容として取り扱われるため、相続手続きを進めることが可能です。 このように、遺産分割協議書への押印を拒否された場合でも、適切な手続きを踏むことで遺産分割を進めることができます。状況に応じて専門家や裁判所を活用し、円滑な相続手続きの実現を目指しましょう。

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この記事の監修者

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弁護士 岩壁 美莉第二東京弁護士会 / 東京第二弁護士会 司法修習委員会委員
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