相続において期限があるもののうち最も重要な、相続放棄・遺留分侵害額請求権の行使・相続税の申告について確認
ざっくりポイント
  • 相続放棄の期限について
  • 遺留分侵害額請求権の期限について
  • 相続税の申告の期限
目次

【Cross Talk】相続をしたけど期限を気にしておいた方がいい場合は?

先日父が亡くなりました。四十九日もすぎて相続の手続ききちんとしようかな?と思っていますが、相続に関する手続きにおいて期限があるもので気を付けておいたほうがいいものはありますか?

四十九日が過ぎているというのであれば、相続放棄する人がいるのであれば今すぐに取り掛かってください。 その他には遺留分侵害額請求権の行使・相続税の申告について気にしておきましょう。

期限のある相続手続きの中でも気を付けておくものは?

相続手続きの中にはいつまでにしなければならない、という期限のあるものがあります。 その中でも相続放棄・遺留分侵害額請求権の行使・相続税の申告は、期限を過ぎたときの影響が重大です。この3つの手続きの期限はいつまでなのか、期限を過ぎたらどうなるのか、期限を過ぎないためにはどうすれば良いのかは知っておくと良いでしょう。このページでは3つの手続きの期限についてお伝えいたします。

相続放棄の期限は?

知っておきたい相続問題のポイント
  • 相続放棄の期限は原則として相続開始を知ったときから3ヶ月以内に行う
  • 期限を過ぎそうなときは熟慮期間の伸長を、期限を過ぎても諦めないで専門家を利用して申述をしてみる

相続放棄の期限のついて教えてもらえますか?

相続放棄については、原則として相続の開始を知ったときから3ヶ月という期限があります。この期間はあくまで原則であって、事情によって期限を延長したり期限を過ぎても受け付けてもらえる場合もありますので、相続放棄の必要を感じた場合には諦めず弁護士に相談をしてほしいです。

まず、相続放棄の期限について知りましょう。

相続放棄とは?

相続放棄とは、相続人が相続をしないようにする手続きのことをいいます。 相続放棄をすることによって初めから相続人ではなかったものと取り扱われます(民法第939条)。 この制度を利用することによって、被相続人に借金があったとしても、相続人として借金を背負わなくてもよくなったり、借金がない場合でも相続人の間における遺産争いに巻き込まれなくなるといったことが期待されます。

相続放棄の期限

相続放棄は、自分が相続人になる相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内にするとされています(民法第915条)。 「相続の開始」は被相続人が死亡したときに開始するとされていますので(民法第882条)、被相続人が亡くなる際に立ち会っていたり、亡くなったと連絡を受けていた場合は、カウントは始まっていると考えるべきといえます。

ただ、債権者としては債権を回収しようとして相続放棄をされないために、3ヶ月を超えてから請求する場合もあります。3ヶ月を超えたとしても、3ヶ月以内に放棄をすることができなかった理由を十分に説明できれば家庭裁判所は相続放棄を受け付けてくれることがあります。

3ヶ月というと期間は充分にあるイメージを持つ方も多いのですが、借金の調査に時間がかかる、相続放棄の手続きに必要な戸籍の収集に時間がかかる、そもそも相続直後から手続きを考えない(相談者さまのように四十九日過ぎてから…という人も多い)、以上からあまり余裕のある期間とはいえないのが実際です。

相続放棄の期限に間に合いそうにない場合の対処法

被相続人の遺産を調査している間に、3ヶ月の期間が過ぎてしまいそうな場合には、期間の伸長という手続きがあります。 これを利用すれば手続きの期間を延ばすことできます。

相続放棄するかの判断方法

相続放棄をするかどうかをどうやって判断すれば良いのでしょうか。 まず借金があるかどうかについては、消費者金融・銀行などからの借り入れについては、信用情報機関に照会をすることで取得が可能です。

借金の額が多く、相続できない場合には相続放棄をする、という判断をして良いでしょう。 相続争いに巻き込まれたくない…という場合には、どのような争いなのかを判断する必要もあるので、弁護士に相談しながら放棄するかどうかを決めるのが良いでしょう。

限定承認も同様

相続放棄と同様に借金・債務を相続しないための制度として限定承認があります。限定承認をする場合も3ヶ月以内に行う必要があり、間に合わない場合には期間の伸長という手続きがあります。 ただし、限定承認は相続放棄に比べ相続人の負担が大きいので注意しましょう。 相続放棄をすべきか、限定承認をすべきかについては、相続人の数や関係、残したい遺産の有無にもよるので、弁護士に相談してみてください。

遺留分侵害額請求の期限は?

知っておきたい相続問題のポイント
  • 遺留分侵害額については遺留分の侵害を知ってから1年
  • 内容証明等で時効を中断更新・完成猶予

遺留分侵害額請求はいつまでに行うのですか?

遺留分の侵害があることを知ってから1年以内が時効になっています。時効の制度は時効の完成猶予というものもあるので併せて知っておいてください。

遺留分侵害額請求権の期限について見てみましょう

遺留分侵害額請求とは?

「遺留分」というのは、相続において遺言書がある・生前贈与をしたような場合に、相続人に最低限認められている遺産に対する取り分のことをいいます。

例えば、遺言書で愛人に遺産の全部を相続させる、と記載されていて、その遺言書が有効であるとされる場合でも、その遺言書は遺留分を侵害して行われることになります。 そのため、遺留分を侵害された相続人は遺贈をうけた愛人に遺留分侵害額請求をすることになります。

遺留分侵害額請求の期限

この遺留分侵害額請求については、民法で遺留分の侵害を知ってから1年・相続開始のときから10年で時効になるとされています(民法第1048条)。

権利が時効にかかると、請求をしても時効を主張されて応じてもらえないことになります。 時効という制度は権利を行使していれば時効の完成を猶予してもらえることになるので、時効期間が迫っているような場合には権利行使を行います。

遺留分侵害額請求の行使方法

遺留分侵害額請求の行使の方法は法律で定められているものではありません。 そのため、電話・手紙・裁判をする…など任意の方法で行います。 ただ、時効との関係でいうと、請求をしたことが記録として残っていないと、裁判で不利にあることがあります。

そのため、時効の完成猶予をするための権利行使については、内容証明郵便といった記録が残る形によって請求する、裁判等の法的な手続きを利用する、といったことが必要になります。

遺留分侵害額請求の期限に間に合いそうにない場合の対処法

もし、1年の期間が迫っているような場合には、上述したとおり取り急ぎは内容証明を送付することによって法的には時効の完成猶予をすることができます。

内容証明は少し大きめの郵便局の窓口でしか取り扱っていないですし、記載方法・提出書類なども決められているので、郵便局のホームページで確認をするか、専門家に依頼するようにしましょう。

相続税の申告の期限は?

知っておきたい相続問題のポイント
  • 相続税の申告の期間は10ヶ月以内
  • 申告には時間がかかるので早めに行動をする

相続税の申告の期限を教えてもらえますか?

相続税の申告の期限は相続の開始を知ったときから10ヶ月以内となっています(相続税法27条)。

相続税法の期限についての基本事項を知っておきましょう。

相続税とは?

相続税とは、人の死亡によって遺産が移転する場合にかかる税金のことをいいます。 相続や遺贈によって遺産の移転をする場合に課税されるものです。 基礎控除額を超える場合には申告する必要があり、申告しない場合には延滞税・刑事罰といったものが用意されていますので注意が必要です。

相続税の申告の期限

相続税の申告の期限は相続の開始を知ったときから10ヶ月以内となっています(相続税法27条)。相続税の申告は相続人の義務であるため、申告書を作成して添付書類と一緒に税務署に申告する必要があります。

相続税申告に遺産分割が間に合いそうにない場合の対処法

相続税の申告については、どのような遺産があるか、相続税法との関係でどう評価するか、どのようにして申告書を書くか、どのような添付書類が必要か、など非常に難しい手続きになります。 そのため、期限に間に合わなくなるということは頻繁に起こりえます。

延長する制度もあるにはあるのですが、災害等利用できる場合は非常にまれです。 期限内に一旦申告して遺産分割協議が終了してから更正申告をすることが一般的です。期限が間に合わないと思われる場合には税理士へ相談・依頼をするのが良いでしょう。

相続税の発生の有無の計算方法

相続税は全ての相続に発生するわけではなく、基礎控除額を超える場合に発生・申告する義務が発生します。

相続税の基礎控除額は、「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」となっています。 相続人が、妻・子ども2人であるような場合には相続人は3人ですので、「3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円」です。

上記の例の場合、遺産が4,800万円を超えるかどうかを計算するのですが、資産の評価の方法は税法上の方法によりますので、ご自身で判断できない場合には税理士に相談するのが良いでしょう

まとめ

このページでは、期限がある相続手続きのうち、相続放棄・遺留分侵害額請求権の行使・相続税の申告についてお伝えしてきました。 期限が過ぎると、制度が使えない・お金がかかる・罰則がつく、といったものになるので、手続に不安がある場合には弁護士・税理士に相談するのが良いでしょう。

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この記事の監修者

弁護士 丸井 駿第二東京弁護士会
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