遺留分減殺請求をする方法とは?
ざっくりポイント
  • 遺留分減殺請求とは?
  • 遺留分減殺請求と遺留分侵害額請求の違いとは?
  • 遺留分侵害額請求の方法とは?
目次

【Cross Talk 】遺留分減殺請求とは何ですか?

遺産相続に関して遺留分減殺請求とはどのようなものなのでしょうか?

遺留分減殺請求とは、遺留分を侵害された相続人が財産を取り戻すために行う請求のことです。

遺留分減殺請求について、詳しく教えてください。

遺留分減殺請求とは遺留分を侵害された相続人が財産を取り戻すための請求

遺産相続をする場合には、遺留分減殺請求に注意しなければなりません。この遺留分減殺請求とは、遺留分を侵害された相続人が、その侵害された分の財産を取り戻すために行う請求のことを指します。それでは、遺留分とはどのようなもので、遺留分減殺請求ができる相続人は誰なのでしょうか。また、遺留分減殺請求と遺留分侵害額請求は何が違うのでしょうか。この記事では、これらの疑問点について、弁護士が詳しく解説していきます。

遺留分減殺請求とは?

知っておきたい相続問題のポイント
  • 遺留分とは?
  • 遺留分減殺請求とは?

遺留分減殺請求とは、どのようなものなのでしょうか?

ここでは、遺留分の意味や請求権者など遺留分減殺請求の概要について解説していきます。

遺留分とは?

遺留分とは、配偶者や子ども、直系尊属など一部の相続人に認められた、相続での最低限の取り分を指します。 民法において、被相続人(亡くなった方)は、遺言や生前贈与によって自由に財産を処分することが可能です。しかし、これによって特定の相続人が全く遺産を受け取れない状況になると、その相続人の生活設計や経済的基盤が脅かされる可能性があります。 そこで、民法は、亡くなった方の意思と相続人の生活保障のバランスを保つために「遺留分」という制度を設けています。遺留分は、兄弟姉妹を除く相続人に認められるもので、具体的な割合は以下の通りです。

  • 配偶者のみ又は配偶者と子供が相続人の場合:遺産の1/2
  • 直系尊属のみが相続人の場合:遺産の1/3
  • 遺留分減殺請求とは?

    遺留分減殺請求とは、相続人が遺留分に満たない遺産しか受け取れなかった場合に、遺産を多く受け取った相続人又は受遺者に対して不足分を請求する手続きです。遺言や生前贈与によって遺留分が侵害された場合、請求することで最低限度の遺産を確保できます。

    ただし、この制度は旧民法におけるもので、2019年7月1日以降は「遺留分侵害額請求」と名称が改められました。現在では、遺留分侵害額に相当する金銭を請求する仕組みとなっています。前述の通り、兄弟姉妹には遺留分が認められていません。したがって、遺留分減殺請求が可能な相続人は、「配偶者」、「子どもおよびその代襲相続人」、「直系尊属(父母、祖父母など)」の兄弟姉妹を除く法定相続人です。

    以上の通り、遺留分および遺留分減殺請求(遺留分侵害額請求)は、相続人の生活保障を目的に設けられた重要な制度です。これにより、相続人の権利が守られ、被相続人の意思との調和が図られています。

    遺留分侵害額請求の改正について

    知っておきたい相続問題のポイント
    • 遺留分侵害額請求はどのように改正されたのか?

    現行法では、遺留分減殺請求はないのでしょうか?

    民法改正により、遺留分減殺請求は「遺留分侵害額請求」に改められました。

    民法改正により遺留分減殺請求は、遺留分侵害額請求と改められ、2018年の民法改正により、約40年ぶりに相続法が大きく見直されました。この改正において、「遺留分減殺請求」は廃止となり、新たに「遺留分侵害額請求」が導入されています。 この変更は2019年7月1日から施行され、遺留分に関する制度が大きく進化しました。 前述の通り、遺留分は兄弟姉妹を除く法定相続人の最低限の取り分を保障する制度です。しかし、旧制度では、遺留分減殺請求によって遺留分の確保を図っていましたが、この方法にはいくつかの問題がありました。そのため、改正後の新制度では「金銭的な解決」を重視する遺留分侵害額請求が採用され、以下のようなメリットが生じました。

  • 財産の共有状態を回避できる
  • 事業承継の円滑化
  • 生前贈与に関する法的安定性の向上
  • 旧民法における遺留分減殺請求と、改正法における遺留分侵害額請求の具体的な違いについては、以下で詳しく解説します。

    遺留分減殺請求と遺留分侵害額請求の違いとは?

    知っておきたい相続問題のポイント
    • 遺留分減殺請求と遺留分侵害額請求の違いとは?

    改正前の遺留分減殺請求と改正後の侵害額請求は何が違いのでしょうか?

    ここでは、遺留分減殺請求と遺留分侵害額請求の違いについて解説していきます。

    遺留分減殺請求と遺留分侵害額請求の違いはどこにあるのでしょうか。

    旧民法の遺留分減殺請求は、遺留分減殺請求を行うことで遺留分を侵害するような生前贈与の効力が無効となるため、侵害された遺留分に相当する遺産の権利(所有権等)を取得できるという制度です。例えば、不動産に対して遺留分減殺請求を行った場合、請求者はその不動産の一部の権利を取得し、結果として請求者と侵害者の間でその不動産が共有状態になるなどです。しかし、この共有状態は以下のような問題を引き起こすことがありました。

  • 不動産が共有状態になることで、相続人の間で関係が悪化している場合、財産管理が困難になる
  • 不動産の処分に共有者全員の同意が必要になるなど、その不動産の利用や処分が制限される。
  • 共有状態を解消するためには、別途共有物分割請求が必要になる
  • 上記に対して、新制度では、遺留分侵害「額」請求によって、遺留分を侵害された相続人は、侵害された遺留分相当額の「金銭」を請求する権利を持つことになります。これにより、遺産が共有状態になることを回避し、紛争を抑えることが可能となりました。以下は具体的な変更点です。

  • 請求の対象が「金銭」に限定される
  • 共有状態を防ぎ、財産の処分が容易になる
  • 生前贈与に関しても期間が制限され、法的安定性が向上(相続人に対する生前贈与は相続開始の10年前までが対象)
  • 遺留分減殺請求と遺留分侵害額請求の最大の違いは、「財産(権利)」を対象とするか、「金銭」を対象とするかです。民法改正により、相続におけるトラブルの軽減や手続きの簡略化が実現したため、遺留分侵害額請求は現代の相続事情に適した制度といえるでしょう。

    遺留分減殺請求の方法について

    知っておきたい相続問題のポイント
    • 遺留分減殺請求をするための方法とは?

    遺留分減殺請求をするためには、どのような方法があるのでしょうか?

    ここでは、遺留分減殺請求(現行における遺留分侵害額請求)をするための手続きの流れについて解説していきます。

    2019年7月1日以降に開始した相続において、遺留分を侵害された場合、相続人は「遺留分侵害額請求」を行うことができます。この遺留分侵害額請求は以下のような流れで行うことになります。

    遺留分侵害額の計算

    まず、遺留分侵害額を算出します。この計算は以下の式を用いて行います。

    遺留分侵害額 = 遺留分額 − (遺留分権利者が取得した遺贈や生前贈与の額+遺留分権利者が承継する予定の遺産額)+遺留分権利者が承継する債務額 遺留分額 = 基礎財産額 × 遺留分割合

    基礎財産は、相続財産、遺贈された財産、相続開始前10年間の生前贈与財産(相続人以外に贈与された場合は1年間分のみ)を合算し、そこから相続債務を差し引いた金額です。遺留分割合は、通常、法定相続分の2分の1ですが、相続人が直系尊属(父母や祖父母等)のみの場合は3分の1となります。

    請求相手の特定

    遺留分侵害額請求の対象者は、遺留分を超える基礎財産を取得した方です。遺贈を受けた方が贈与を受けた方よりも優先されます。受遺者や受贈者が複数いる場合は、取得額に応じて按分して請求します。

    請求書の送付

    遺留分侵害額を請求するためには、相手方に内容証明郵便で請求書を送付します。 この請求書には金額や請求内容を記載し、返答があれば金額や支払い方法について協議を行います。合意に達した場合は、その内容を文書で明確にし、支払いを実行します。 特に遺留分侵害額請求権は、遺留分が侵害されているとわかってから1年以内に請求しないと時効で消滅してしまいます。そのため、請求する場合には記録に残るよう、内容証明郵便などの方法で送るとよいでしょう。

    調停の申立て

    話し合いで合意に至らない場合、家庭裁判所に「遺留分侵害額請求の調停」を申立てます。調停では、調停委員が仲介し、相続人の間で合意に達することを目指します。

    訴訟の提起

    調停が不成立の場合、地方裁判所に訴訟を提起します(請求額が140万円以下の場合は簡易裁判所も選択可能です)。訴訟では、遺留分侵害額請求の正当性を証明する必要があります。裁判所が請求を認めた場合、相手方に支払いを命じる判決が下されます。

    まとめ

    遺留分減殺請求とは、相続人が遺留分に満たない遺産しか受け取れなかった場合に、遺産を多く受け取った相続人に対して不足分を請求する手続きです。 この遺留分減殺請求は、民法改正により遺留分侵害額請求と改められ、これまでよりも使いやすい制度となりました。 しかし、遺留分の計算や相続人への請求については、専門的な知識が必要となるため、少しでも不明点がある場合には、弁護士に相談したうえでアドバイスやサポートを受けるようにしてください。 当事務所には、遺留分減殺請求(遺留分侵害額請求)を含む相続トラブルの解決実績のある弁護士が在籍しているため、お気軽にお問い合わせください。

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