- 遺産分割調停は1〜2年以内に成立することが多い
- 事前に争点を整理しておくことで調停期間を短縮できる
- 調停で合意できない場合は裁判所が判断する遺産分割審判へ移行する
【Cross Talk 】遺産分割調停にかかる時間は?
遺産分割調停はどれくらい時間がかかるのでしょうか。
内容や争点によって差はありますが、一般的には1~2年程度の場合が多いです。
遺産分割調停の流れについて、詳しく知りたいです。
遺産分割について相続人同士で話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所で「遺産分割調停」を行うことになります。もっとも、調停と聞くと「どのくらい時間がかかるのか」「何をする手続なのか」「途中で終わらなかったらどうなるのか」といった点が分からず、不安を感じる方も少なくありません。 遺産分割調停は、協議の延長線上にある話し合いの手続ですが、一定の流れと特徴があります。また、進め方次第で期間に差が出やすいのも実情です。 この記事では、遺産分割調停にかかる期間の目安を統計データから整理したうえで、調停の全体像、手続の流れ、早く終わらせるために押さえておきたいポイント、調停で解決しなかった場合の対応までを、順を追って解説します。調停を検討している方が全体像を把握し、先の見通しを立てるための参考になれば幸いです。
遺産分割調停の期間はどのくらい?

- 調停が成立する事件の多くは1〜2年以内に集中している
- 事案の内容によって期間には幅が生じる
遺産分割調停を申立てると、どのくらい時間がかかるのでしょうか。
一般的には1~2年以内に終わる場合が多いとされています。
家庭裁判所が公表している「令和6年司法統計」によれば、遺産分割調停が成立した総数6,776件の審理期間は以下の通りです。
遺産分割調停の全体の流れ

- 遺産分割調停は、書類の準備、申立て、期日の通知、調停期日の実施、合意成立という順で進む
- 多くの事件では一度で終わらず、複数回の調停期日を重ねて合意を目指す
遺産分割調停はどのような流れで進むのでしょうか。
遺産分割調停の流れについて説明しましょう。
| 手続きに必要な書類 | 申立書(所定の金額の収入印紙及び郵便切手が必要) |
|---|---|
| 相続関係を示す書類 | ・相続人全員の戸籍謄本 ・被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍(除籍・改製原戸籍を含む) ・相続人全員の戸籍の附票または住民票 ・被相続人の戸籍の附票または住民票の除票 |
| 遺産の内容を示す書類 | ・不動産がある場合:登記事項証明書(登記簿謄本)、固定資産評価証明書 ・預貯金がある場合:残高証明書または通帳の写し ・株式・投資信託・保険など:残高や内容が確認できる書類 ・自動車がある場合:登録事項証明書または車検証の写し |
| 事情に応じて必要となる書類 | ・遺言書(作成されている場合) ・遺産分割協議書(過去に協議を行っている場合、合意に至らなかったものも含む) ・相続分の譲渡や相続放棄がある場合の証明書類 |
家庭裁判所に遺産分割調停を申立てる
必要書類が揃ったら、家庭裁判所に遺産分割調停を申立てます。申立ては相続人のうち1人または複数人が、他の相続人全員を相手方として行います。 申立先となる家庭裁判所は、原則として相手方となる相続人のうち1人の住所地を管轄する家庭裁判所ですが、相続人全員が合意している場合には別の家庭裁判所を選ぶことも可能です。 申立ては窓口への申請か郵送で行い、申立て時に家庭裁判所へ申立書と必要書類を提出します。申立書には裁判所が指定する収入印紙や郵便切手を用意しますが、金額や内訳は相続人の人数や事案によって異なるため、事前に申立先の家庭裁判所の案内に従って確認するのがおすすめです。家庭裁判所から調停期日の通知が届く
遺産分割調停の申立てが受理されると、家庭裁判所で調停委員会が編成され、初回の調停期日が調整されます。その後、申立人と相手方の双方に対して調停期日通知書が郵送されます。 通知書には初回の調停期日の日付・開始時刻、調停が行われる家庭裁判所、待合室などの案内が記載されています。申立てから通知書が届くまでの期間は、おおむね2週間前後が一般的です。 期日が指定された後、やむを得ない事情がある場合には裁判所に連絡して日程変更を相談することも可能ですが、無断で欠席すると不利に扱われるおそれがあります。 通知書が届いた段階で当日の出席予定や提出を求められている書類の内容を確認し、次の調停期日に向けた準備を進めることになります。調停期日が開かれる
調停期日当日は指定された家庭裁判所に出向き、通知書に記載された待合室で待機します。 調停は、裁判官1名と調停委員2名で構成される調停委員会のもとで進められますが、実際のやり取りは調停委員が中心となって行われます。申立人と相手方が同席して話し合うのではなく、交互に調停室へ呼ばれ、それぞれが個別に事情や主張を伝える形式です。 1回の調停期日の所要時間は、おおむね2時間程度が目安とされ、個別の聞き取りは1人あたり20〜30分程度行われるのが一般的です。初回の調停では、遺産の内容や相続人の関係、争点の整理が中心となり、すぐに結論が出ることは多くありません。 調停委員は、提出されている資料や当事者の説明をもとに、どこに争点があるのか、どの点を次回までに整理すべきかを確認します。そのうえで、次回期日までに追加で提出すべき資料や検討事項が示され、期日の終わりに次回の調停日が指定されます。 このように、調停期日は一度で終わるものではなく、話し合いを積み重ねながら段階的に合意を目指していく場として位置づけられています。合意に至れば調停が成立
調停期日を重ね、相続人全員の意見がまとまった場合には遺産分割調停は成立します。合意内容は家庭裁判所で整理され、調停調書として作成されます。 調停調書には遺産の分け方や各相続人の取得内容が具体的に記載され、預貯金の名義変更や不動産の相続登記などの手続きも調停調書をもとに進めます。 調停が成立した時点で遺産分割に関する争いは終了し、合意内容に沿って相続手続きが進行します。遺産分割調停を早く終わらせるためのポイント

- 調停は資料の準備と争点の整理でスムーズに進行できる
- 争点が散らばるほど期日が増えて時間が消費されやすい
調停を長引かせないために意識すべきことはありますか?
いくつかのポイントがあるので、順番に整理していきましょう。
事前に遺産内容や資料を整理しておく
遺産分割調停を短期間で進めるためには、調停が始まる前の段階で相続関係と遺産の内容をできる限り整理しておくことが重要です。 調停の初期段階では、相続人や遺言書の有無、遺産の範囲・評価などが順に確認されます。これらに関する資料が揃っていない場合、その確認作業で期日が消費され、調停回数が増える原因になるので注意しましょう。 相続人を確定するための戸籍、遺産の範囲を示す登記事項証明書や預貯金の残高証明書、不動産がある場合の評価資料などは、調停の早い段階で提出できる状態にしておくことがポイントです。どの資料で裏付けるのかは、当事者側が整理して示さなければなりません。 事前に遺産目録と資料を整えておくことで、各期日で審理に十分な時間を割け、結果として調停期間の短縮につながります。相続人同士で争点を整理しておく
遺産分割調停では、主張すべき点や提出すべき資料を適切な順序で整理できるかどうかが、進行速度に大きく影響します。整理が不十分なまま調停を進めると争点が錯綜し、同じ確認や説明が繰り返される原因になります。 相続問題に精通した弁護士に相談することで、相続関係や遺産の範囲、争点の所在をあらかじめ整理したうえで調停に臨むことが可能です。必要な資料の取捨選択や主張の組み立てが明確になるため、各期日での審理が効率的に進められます。弁護士などの専門家に相談する
遺産分割調停では特別受益や寄与分、遺産の範囲・評価など、法的な整理と資料提出が前提となる論点が多くあります。これらを当事者だけで整理しきれない場合、各期日で確認や補足が繰り返され、調停回数が増える原因になるので注意しましょう。 相続分や主張の構成、提出すべき資料の範囲を初期段階で整理できれば争点が明確になって、調停委員の判断も進みやすくなります。結果として期日ごとの審理が積み上がり、調停全体の進行が安定します。 相続分野の実務に通じた弁護士に相談することで主張と資料の整理を一体で進めることができ、不要な期日を重ねるリスクを抑えられます。 関連記事:遺産分割調停を弁護士に依頼する場合の費用について解説調停で解決しない場合はどうなる?

- 遺産分割調停で合意に至らない場合、手続は審判へ移行する
- 審判では合意形成は行われず、裁判所が提出資料をもとに判断を示す
調停で話し合いがまとまらなかった場合、その後はどうなるのでしょうか。
遺産分割審判に移り、裁判所が分け方を判断することになります。
遺産分割審判について、詳しく教えてください。
調停で合意できない場合は審判に進む
遺産分割調停では、相続人全員の合意が得られなければ手続は成立しません。調停の場で意見がまとまらない場合、話し合いはそこで終わって遺産分割審判へと進みます。 審判に移行した後も、期日は目安として1〜2か月に1回のペースで開かれます。事件の内容や争点の数によって幅はありますが、審判に要する期間は1〜2年程度が中心であり、事案によっては3年以上かかることもあります。 このように、調停で合意に至らない場合でも手続が打ち切られるわけではなく、裁判所の判断によって遺産分割を決める段階へ進むことになります。調停と審判の違い
遺産分割調停は、相続人同士の合意を目指す手続です。調停委員が間に入り、当事者それぞれの主張や事情を整理しながら話し合いによる解決を支援します。そして、合意に至った場合はその内容が調停調書としてまとめられます。 これに対し、遺産分割審判では話し合いによる合意形成は行われず、提出された資料や主張を踏まえて裁判官が遺産分割の内容を判断します。結論は裁判所の判断として示され、当事者の合意の有無に左右されない点が調停との大きな違いです。まとめ
調停を円滑に進めるためには、事前に相続関係や遺産内容を整理し、必要な資料を揃えておくことが重要です。また、どの点で意見が対立しているのかを明確にしておくことで、各期日での話し合いが積み上がりやすくなります。 調停で合意に至らない場合は遺産分割審判へ移行し、裁判所が提出資料をもとに分割方法を判断します。調停と審判では性質が異なるため、どの段階でどのような対応を取るかを見据えて準備することが納得のいく解決につながります。 遺産分割をめぐる状況は家庭ごとに異なるため、早い段階で全体像を把握し、必要な対応を整理しておくことが大切です。

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