遺産分割調停の費用

- 弁護士費用は2004年に自由化され、法律事務所ごとに料金体系が異なる
- 弁護士費用には相談料・着手金・成功報酬・実費・日当などがある
- 弁護士費用以外にも裁判所費用や書類収集費用などがかかる
目次
【Cross Talk 】遺産分割調停の費用
遺産分割を弁護士に依頼すると、どのような費用がかかるのでしょうか。
一般的には相談料や着手金、成功報酬などがかかります。
それぞれどれくらいの費用がかかるのか、また費用を抑える方法などがあれば知りたいです。
遺産分割調停の費用
遺産分割調停の対応を弁護士に依頼したいけど、費用がどれくらいかかるのかわからず、迷っている方もいるでしょう。弁護士費用は法律事務所ごとに異なり、相談料や着手金、成功報酬のほか、実費や日当などが発生することもあります。そのため、事前に費用の仕組みや相場を知っておくことが大切です。
この記事では、弁護士費用の内訳や具体的なシミュレーション、費用を抑える方法、弁護士選びのポイントなどについて解説します。遺産分割調停を弁護士へ依頼するか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
弁護士費用がどのように決まるのか

- 弁護士報酬規定は2004年に自由化され、各法律事務所が自由に設定できるようになった
- 現在も旧日弁連報酬基準を参考にしている事務所は多い
弁護士費用はどのように決まるのでしょうか。
かつては報酬基準がありましたが、現在は自由化されているため各法律事務所が自由に決めています。
弁護士報酬規定は2004年に自由化
かつては日本弁護士連合会が定める報酬基準があり、法律事務所はその基準に沿って弁護士費用を設定していました。しかし、2004年4月に弁護士報酬は自由化され、弁護士と依頼者との間で費用や支払方法を自由に決められるようになっています。これにより、初回相談無料や着手金無料など利用しやすい料金体系を導入する事務所が増え、高度な専門知識や豊富な実績が求められる案件については事務所ごとに専門性に応じた報酬を設定できるようになりました。
なお、弁護士職務基本規程には「弁護士は、事件を受任するに当たり、依頼者から得た情報に基づき、事件の見通し、処理の方法並びに弁護士報酬及び費用について、適切な説明をしなければならない。」と定められています(弁護士職務基本規程29条)。そのため、弁護士費用が自由化してからも、費用については依頼者に対して適切に説明することが求められています。
現在も旧日弁連報酬基準を参考にしている事務所は多い
自由化以降も、多くの法律事務所では日本弁護士連合会が定めていた旧日弁連報酬基準を参考に費用を設定しています。旧日弁連報酬基準は長年にわたり広く利用されてきた基準であり、依頼者にとっても費用の目安を把握しやすいというメリットがあります。そのため、弁護士費用を比較する際は旧日弁連報酬基準をひとつの目安とすると、適正な水準かどうかを判断しやすくなるでしょう。
事務所ごとに料金体系が異なるので比較が必要
相談料を無料としている事務所もあれば、30分ごとに相談料を設定している事務所もあります。また、着手金を安く抑える代わりに報酬金を高めに設定し、依頼時の負担を抑える工夫をしている事務所などもあります。さらに、遺産分割協議のみを依頼する場合と調停や審判まで対応を依頼する場合とで異なる料金にしている事務所も多く、費用体系はさまざまです。
大事なことは、「着手金が安い」「相談料が無料」という理由だけで判断するのではなく、最終的に総額でいくらかかるのかを確認することです。
また、依頼する際には対応範囲を確認しておく必要もあります。相続に関する依頼では、戸籍収集や財産調査、調停への出席などが費用に含まれている事務所もあれば、別料金となる事務所もあるので、費用の内訳も忘れずに確認しておきましょう。
弁護士費用の内訳と相場

- 相談料は5,000〜10,000円が相場で、初回相談無料の事務所もある
- 着手金は経済的利益の2〜8%、成功報酬は経済的利益の4〜16%など
弁護士費用にはどのようなものが含まれるのでしょうか。
基本は相談料・着手金・成功報酬などですが、それに加えて実費や日当がかかります。
相談料
弁護士などの国家資格を持っている専門職に相談をするときに発生する費用です。法律相談30分で、5,000円~10,000円程度の費用が必要となります。時間がかかるほど費用が発生するので、相続人が誰か、どのような遺産があるのか、何で争いになっているのか、といったことをまとめておくことが望ましいでしょう。なお、相続問題など個人の法律問題を取り扱う場合は、相談料を無料として相談しやすい環境を作っている弁護士もいますので、気軽にご相談をすることをおすすめいたします。東京新宿法律事務所でも初回のご相談は無料で行っていますので、是非お気軽にご相談ください。着手金
弁護士に事件を依頼して着手してもらうのに必要なお金を「着手金」といいます。弁護士費用として参考になるのは、前述したように旧報酬基準です。旧報酬基準での計算にあたっては、案件によって依頼者が得られる利益のことを指す「経済的利益」を基準に計算をします。例えば、遺産分割調停がまとまって、1,000万円が得られるとすると、経済的利益は1,000万円と計算されます。
旧報酬基準によると、着手金は次のようになっています。
| 経済的利益の額 | 割合 |
|---|---|
| 300万円以下 | 8%(最低額は10万円) |
| 300万円を超え3,000万円以下 | 5%+9万円 |
| 3,000万円を超え3億円以下 | 3%+69万円 |
| 3億円を超える | 2%+369万円 |
成功報酬
「成功報酬」とは、紛争が解決したときに弁護士に対して支払うお金のことをいいます。遺産分割調停では、調停を終わらせて、取得した遺産の価額に応じて弁護士が依頼者に請求をします。成功報酬も着手金と同様に、旧報酬基準に従うことが多く、旧報酬基準は次のようになっています。| 経済的利益 | 割合 |
|---|---|
| 300万円以下の場合 | 16% |
| 300万円を超え3,000万円以下の場合 | 10%+18万円 |
| 3,000万円を超え3億円以下の場合 | 6%+138万円 |
| 3億円を超える場合 | 4%+738万円 |
実費・日当
実費とは、事件処理のために実際にかかった費用のことです。例えば、戸籍謄本や住民票、登記事項証明書などの取得費用、郵送費、交通費などがあり、一般的には数千円から1万円程度かかります。また、遺産分割調停を申し立てる場合には裁判所へ納める費用も必要です。具体的には、申立手数料として被相続人1人につき1,200円分の収入印紙を納めるほか、連絡用の郵便切手代などがかかります。切手代は裁判所ごとに異なるため、申立先の家庭裁判所へ確認しましょう。
日当とは、弁護士が事務所の外へ出向いて対応する際に発生する費用であり、遠方の家庭裁判所へ出席する場合や、現地調査が必要な場合などに請求されることがあります。
日当の金額は事務所によって異なりますが、1日あたり数万円程度を目安としている事務所が多いでしょう。また、遠方への出張が必要な場合には、日当に加えて交通費や宿泊費が発生することもあります。
【シミュレーション】弁護士費用の総額はいくらかかるか

- 取得する遺産額が大きくなるほど弁護士費用も高くなる
- 弁護士費用の金額だけでなく,得られる利益を考慮して依頼するかどうかを決めることが大事
弁護士費用はどのように計算すればよいのでしょうか。
実際に計算方法をシミュレーションしてみましょう。
ケース①:遺産1,000万円のシミュレーション
遺産分割によって1,000万円を取得したケースを例に、弁護士費用の総額をシミュレーションしてみましょう。なお、ここでは旧日弁連報酬基準を参考に「取得する遺産額=経済的利益」と仮定して計算します。「着手金」
・1,000万円×5%+9万円=59万円
「成功報酬」
・1,000万円×10%+18万円=118万円
上記の計算により、着手金と成功報酬の合計は177万円となります。
なお、これに加えて戸籍収集費用や郵送費などの実費、調停や審判へ出席する際の日当、交通費などが発生する場合があります。そのため、実際に支払う総額は177万円を上回る場合が多いでしょう。
また、経済的利益の考え方や費用体系は法律事務所によって異なるため、実際の弁護士費用は事案ごとに変わります。あくまで費用感を把握するための一例として参考にしてください。
ケース②:遺産3,000万円のシミュレーション
遺産分割によって3,000万円を取得した場合のシミュレーションです。「着手金」
・3,000万円×5%+9万円=159万円
「成功報酬」
・3,000万円×10%+18万円=318万円
上記の計算により、着手金と成功報酬の合計は477万円となります。
1,000万円のケースと比較すると、弁護士費用もかなり増加していることがわかります。
ケース③:遺産5,000万円のシミュレーション
遺産分割によって5,000万円を取得した場合のシミュレーションです。「着手金」
・5,000万円×3%+69万円=219万円
「成功報酬」
・5,000万円×6%+138万円=438万円
上記の計算により、着手金と成功報酬の合計は657万円となります。
取得する遺産額が5,000万円を超えると、弁護士費用も高額になります。5,000万円規模の相続では、不動産の評価方法や特別受益、寄与分などが争点になることも多く、交渉や調停の結果によっては取得額が数百万円から1,000万円以上変わることもあるため、弁護士の役割はより重要になります。
ケース④:遺産1億円のシミュレーション
遺産分割によって1億円を取得した場合のシミュレーションです。「着手金」
・1億円×3%+69万円=369万円
「成功報酬」
・1億円×6%+138万円=738万円
上記の計算により、着手金と成功報酬の合計は1,107万円となります。
1億円規模の相続になると弁護士費用も高額になりますが、その一方で相続人同士の利害関係も複雑になりやすく、不動産や事業承継、自社株式など評価が難しい財産が含まれていることもあります。
遺産額が大きい事案では、交渉や調停の結果によって取得額が大きく変わることもあるので、弁護士に依頼せずに対応すると大きく利益を損なう可能性もあります。
協議のみで終わる場合と調停までいく場合の弁護士費用の違い
遺産分割協議のみで解決する場合と比較すると、調停まで進んだ場合は数十万円程度の追加費用が発生することもあります。例えば、協議段階のみであれば着手金30万円から対応している事務所でも、調停へ移行した場合には追加で20万円〜50万円程度の着手金が必要になるケースがあります。また、調停期日への出席回数が増えれば日当や交通費なども発生します。
ただし、調停へ移行した場合の追加費用の有無や金額は法律事務所によって異なるため、依頼前に確認しておくと安心です。
弁護士費用は誰が払う?相手に請求できる?

- 弁護士費用は依頼者本人が払うのが原則
- 例外的に、相手方に請求したり相続財産の中から支払ったりできる場合もある
弁護士費用は誰が支払うのでしょうか。
基本的には依頼した本人が支払うものですが、例外もあるので合わせて理解しておきましょう。
原則:依頼者本人が払う
弁護士費用は、依頼した本人が支払うのが原則です。例えば、兄弟間で遺産分割をめぐる争いが発生し、自分だけが弁護士へ依頼した場合、その弁護士費用を当然に他の相続人へ請求できるわけではありません。相続問題においては、「弁護士に依頼すれば他の相続人にもメリットがあるのだから、費用も負担してほしい」と考える方もいます。しかし、弁護士に依頼するかどうかは本人の自由なので、自分が依頼した弁護士費用は自分で負担することになります。
成功報酬は経済的利益から差し引かれる
弁護士への成功報酬は、遺産分割によって得られた経済的利益を基準に計算されるのが一般的です。例えば、前述した遺産を1,000万円取得したケースでは経済的利益1,000万円をもとに計算し、成功報酬は118万円となりました。そのため、成功報酬は別途用意しなければならないというより、取得できた財産の一部を弁護士費用として支払うというイメージに近いでしょう。
もっとも、成功報酬の計算方法や経済的利益の考え方は法律事務所によって異なります。そのため、依頼する際はどの財産を基準に成功報酬を計算し、最終的にどの程度の費用になる見込みなのかを事前に確認しておくことが大切です。
相手に弁護士費用を請求できるケース
弁護士費用は原則として依頼者本人が負担しますが、例外的に相手方へ負担を求めることができるケースもあります。例えば、不法行為に基づく損害賠償請求が認められるケースです。例えば、相続人の1人が遺産を無断で使い込んでいた場合や、預金を不正に引き出していた場合などに、不法行為として損害賠償請求が問題になることがあります。このような場合に裁判所が不法行為を認定し、損害賠償を命じたときは、損害額だけでなく弁護士費用の一部についても損害として認められることがあります。
もっとも、このようなケースは例外的であり、請求できるのも裁判所が損害として相当因果関係があると認めた範囲に限られるため、基本的には依頼した本人が費用を負担するものと考えておくのがよいでしょう。
相続財産から払えるケース
弁護士費用を相続財産から支払えるケースとしては、遺言執行者を弁護士に依頼するケースなどが挙げられます。遺言執行者とは、遺言書の内容を実現するために相続手続きや財産の名義変更などを行う人のことです。遺言執行に関する費用については、法律上相続財産から負担とするとされています(民法1021条)。そのため、弁護士が遺言執行者に就任した場合の報酬については相続財産から支払うことができます。
もっとも、これは遺言執行者として活動した費用に関する話であり、遺産分割協議や調停の代理人として依頼する弁護士費用は別途かかるので、この点は注意が必要です。
弁護士費用以外にかかる費用

- 遺産分割調停には収入印紙や郵便切手代がかかる
- 不動産鑑定費用や交通費などが発生する場合もある
遺産分割調停では弁護士費用以外にも費用がかかるのでしょうか。
はい。家庭裁判所に納める費用や書類収集費用等がかかるので、これらの費用も押さえておきましょう。
家庭裁判所に納める費用
遺産分割調停を利用する場合には、弁護士費用とは別に以下のような家庭裁判所へ納める費用が発生します。・収入印紙:1,200円
・郵便切手:1,500~3,000円
遺産分割調停の申立てでは、被相続人1人につき1,200円分の収入印紙を納める必要があります。また、裁判所から相手方へ書類を送付するための郵便切手も必要ですが、必要な金額や内訳は家庭裁判所ごとに異なるため、申立先の裁判所へ確認しましょう。
これらの費用は弁護士へ依頼するかどうかに関係なく発生します。そのため、調停を利用する場合には、弁護士費用だけでなく裁判所へ納める費用もあわせて見込んでおく必要があります。
書類収集費用
遺産分割では、相続人や相続財産を確認するためにさまざまな書類を取得する必要があります。主な書類と取得費用の目安は以下の通りです。・戸籍謄本(全部事項証明書):450円
・除籍謄本・改製原戸籍謄本:750円
・住民票:300円程度
・戸籍の附票:300円程度
・登記事項証明書(登記簿謄本):600円
相続手続きでは、被相続人の出生から死亡までの戸籍を収集しなければならないため、基本的には戸籍謄本は複数取得する必要があります。住民票は必要に応じて用意し、登記事項証明書は不動産の数だけ必要です。
書類1通あたりの費用は高額ではないものの、合計すると数千円から数万円程度になることもあります。
不動産鑑定費用
不動産の評価額に争いがある場合などには、不動産鑑定費用が発生することがあります。鑑定費用は不動産の種類や所在地によって異なりますが、一般的には20万円〜40万円程度が相場であり、高額な不動産の場合には50万円以上の費用がかかることもあります。
不動産の評価額によって取得できる遺産額が大きく変わることもあるため、不動産が主な遺産となっているケースでは不動産鑑定費用も考慮しておく必要があるでしょう。
交通費
遺産分割調停のために家庭裁判所へ出席する場合や不動産の現地確認、相続人との面談などで弁護士が遠方へ出張する場合には、その交通費が実費として請求されることがあります。依頼した法律事務所と調停を行う家庭裁判所が離れている場合には、新幹線代や宿泊費などが発生するケースもあります。また、法律事務所によっては交通費と別に日当が発生する場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
交通費自体は弁護士費用より高額になるようなことは多くありませんが、調停期日が何度も開かれる場合や遠方での対応が必要な場合には、負担が大きくなることもあります。
弁護士に依頼するメリット

- 自分の主張を調停の場できちんと伝えることができる
- 手続きにかかる手間を減らせる
弁護士に依頼するとどのようなメリットがあるのでしょうか?
手間や時間を削減し、自分の主張を適切に伝えられるようになります。
自分の主張を調停の場できちんと伝えることができる
弁護士に遺産分割調停を依頼することのメリットとして、自分の主張を調停の場できちんと伝えることができることが挙げられます。遺産分割調停は裁判所で、裁判官・調停委員に自分の主張を伝えて、相手と意見をすり合わせていきます。遺産にもいろいろな種類があることや、相続によって譲れない事項が異なることもあり、その時に何が争いになっているのかを正確に理解しつつ、どのような事項を譲ることができて、どのような事項については譲れないのかを上手に伝える必要があります。事実関係・当事者が主張していること、今何が争点になっているか、裁判官や調停委員がどのようなことを考えているか、これらのことを総合して考えながら、自分の主張をしていく必要があります。慣れない裁判所での雰囲気に呑まれて、自分の主張を上手く伝えられない、という方も珍しくありません。弁護士に依頼すれば、依頼者と相続についての法律的な検討をしつつ、主張したことを調停の場できちんと伝えることができます。
手続きにかかる手間を減らせる
手続きにかかる手間をへらすことができます。遺産分割調停を起こすにあたっては遺産分割調停の申立書、当事者目録・遺産目録、相続関係説明図などの作成書類や、戸籍謄本・遺産についての資料が必要となります。これらの書類作成や収集は、弁護士と行うことで効率的に進めることができ、手間を減らすことができます。また、事実関係や主張を整理しながら進めることができるので、調停の進行自体もスムーズに行うことが期待でき、手間を減らせる可能性があります。
親族との直接のやりとりを避けられる
調停の手続き自体は、基本的には自分も相手も裁判官・調停委員と接するのみで、当事者が直接やり取りすることはありません。しかし、調停の手続きの最中も相手方から提案や話し合いを試みられることもあり、争いになっている以上、ときには心無い言葉を掛けられるなどして、精神的に負担となる可能性があります。弁護士に依頼すれば、交渉は弁護士が行うため、このような直接のやりとりを避けることができます。裁判所に出頭する負担を軽減できる
遺産分割調停では、弁護士に依頼しなければ当事者はかならず出廷する必要があります。調停は平日の日中に行われるため、平日の日中に仕事をしている人は、仕事を休んで出頭する必要があります。弁護士に依頼すれば、弁護士のみが出頭すればよい場合もあり、平日に出頭する負担を軽減することができます。遺産分割調停に弁護士がついたほうが有利になることについては、弁護士が付いた方が有利になる遺産分割調停とは?で詳しく解説しているので、参考にしてください。
弁護士費用が払えない場合の対処法

- 法テラスでは弁護士費用の立替えが受けられる
- 一部の法律事務所では分割払いや後払いに対応している
弁護士費用が支払えない場合にはどうすればよいでしょうか。
法テラスで立替えを受けたり、分割払いで支払うという方法もあるので、これらの方法を検討してみましょう。
分割払い・後払いの相談
弁護士費用をすぐに用意できない場合には、分割払いや後払いに対応している法律事務所へ相談するという方法があります。事務所によっては着手金を数回に分けて支払える分割払いができたり、着手金の後払いに対応していたりする場合があります。もっとも、すべての法律事務所が分割払いや後払いに対応しているわけではありません。また、利用条件が設けられていることもあるため、依頼前に支払方法について確認しておくことが大切です。
法テラスの民事法律扶助の利用
収入面の問題で弁護士費用の支払いが難しい場合には、法テラスの利用も検討できます。法テラスとは、経済的な理由によって法律サービスを利用することが難しい方を支援するために設立された公的機関です。法テラスでは、一定の要件を満たす方であれば弁護士費用等の立替えを受けることができます。立替えには収入や資産の基準があるので、利用を検討する場合には事前に基準を確認しておきましょう。
無料相談を活用する
弁護士費用が不安な場合には、まず無料相談を利用するのもよいでしょう。法律事務所によっては初回相談料を無料にしているところもあります。無料相談を利用すれば、自分のケースで弁護士へ依頼する必要があるのか、依頼した場合にどの程度の費用がかかるのかといった見通しを確認できます。また、相続人同士で話し合いが可能な状況なのか、それとも調停を検討した方がよいのかといったアドバイスも受けられます。
無料相談の時間には限りがあるため、相談前に相続人や遺産の内容、争点などを事前にまとめておくと、限られた時間を有効に活用できます。
成功報酬型の事務所を選ぶ
成功報酬型であれば、報酬の多くを遺産取得後に支払えるため、依頼時にまとまった費用を準備しなくても済むというメリットがあります。そのため、手元資金は少ないものの、相続によって一定の財産を取得できる見込みがある場合には、成功報酬型の事務所を選ぶという方法もあります。もっとも、実際には遺産分割調停に関する依頼を完全成功報酬制で受任している法律事務所は多くありません。そのため、着手金を低額に設定している事務所や、分割払いに対応している事務所を探した方が現実的といえるでしょう。
弁護士費用を節約する方法

- 複数の法律事務所で相見積もりを取って費用を比較する
- 自分でできることは事前に済ませておく
弁護士費用を節約することはできるのでしょうか。
はい。いくつかの方法があるので、弁護士へ依頼する前に確認しておきましょう。
複数事務所へ相談して相見積もりを取る
弁護士費用を抑えたい場合には複数の法律事務所へ相談し、相見積もりを取りましょう。弁護士費用が自由化したことで、同じ依頼内容であっても着手金や成功報酬、実費の取り扱いなどが法律事務所によって異なることがあります。
そのため、費用だけを比較するのではなく、どこまでの業務が含まれているのかを確認しておくことが重要です。戸籍収集や財産調査、調停への出席などが基本料金に含まれている事務所もあれば、別途費用が発生する事務所もあります。
依頼前には複数の法律事務所へ相談し、費用総額や対応範囲を比較したうえで検討するとよいでしょう。
自分で対応可能なことは事前に済ませる
自分で対応できる作業を事前に済ませておくことで、弁護士費用の節約に繋がります。一般的には依頼する業務が増えるほど弁護士費用も高くなるので、費用を抑えるには自分でできることを自分でやるという意識も重要です。例えば、被相続人の戸籍謄本や住民票の収集、不動産の登記事項証明書の取得、預貯金や有価証券などの財産資料の収集は、依頼者自身でも対応可能な範囲の作業です。
ただし、法律事務所の方針によってはそれらの作業もすべて料金に含まれており、切り分けて計算できない場合もあるので、費用の内訳については事前に確認しておきましょう。
自分の手間も考慮したうえで依頼する
弁護士費用を節約できたとしても、そのために多くの時間や手間を費やすことになれば結果として自分自身の負担が増えてしまいます。弁護士へ依頼せずに進める場合には相続人との連絡や交渉、戸籍や財産資料の収集、遺産分割協議書の作成などを自分で行わなければなりません。また、話し合いがまとまらなければ何度も協議を重ねる必要がありますし、相続人同士の関係が悪化している場合には精神的な負担も大きくなります。
そのため、弁護士費用だけを見て依頼するかどうかを判断するのではなく、自分で対応する場合に必要となる時間や労力も含めて検討することが大切です。
経済的利益が小さい場合は協議で解決することも検討する
遺産分割の争いが比較的小さく、相続人同士で話し合いができる状況であれば、弁護士へ依頼せずに協議で解決することも検討しましょう。争いとなっている金額が数十万円程度である場合には、弁護士費用の方が高くなってしまう可能性もあります。ただし、経済的利益が小さいからといって、必ずしも弁護士が不要とは限りません。相続人同士の感情的な対立が激しい場合や、不動産の評価など専門的な問題がある場合には、争いの金額以上に複雑な問題を抱えていることもあります。
経済的利益の大きさだけではなく、相続人同士の関係性や争点の内容も踏まえ、弁護士へ依頼するかどうかを検討することが重要です。
弁護士選びで失敗しないポイント

- 相続の対応実績が豊富な弁護士を選ぶ
- 費用が明確であり、相場と比較して高すぎない弁護士だと依頼しやすい
弁護士を選ぶ際は何を基準に判断したらよいでしょう。
弁護士選びの基準は実績や費用、説明のわかりやすさなどです。
相続案件の実績が豊富である
相続案件の実績が豊富であることです。相続については一つ一つの法律や制度を知っているだけではなく、当事者の主張や事実関係を踏まえて柔軟に解決策を見出す必要があります。そのため、相続案件の実績が豊富であることがポイントの一つです。相続の実績が豊富であるかどうかは、ホームページで相続に関する詳しい情報を発信しているか、解決事例を載せているか、などを参考にしてみましょう。東京新宿法律事務所では、このページを含めた相続情報に関する発信を絶えず行っております。
司法書士や税理士など他の専門家と連携している
相続については、弁護士が遺言や紛争解決に取り組んでいるほか、相続税・生前贈与などは税理士が、不動産登記については司法書士が、それぞれ自分の得意な分野で取り組んでおり、協力関係にあります。外部の事務所と協力関係を結んでいる場合もあれば、一つのグループの中で複数の専門家が協業していることもあります。 そのような協力関係が、ホームページなどで見られるかを確認してみましょう。依頼時の費用が明確で相場と比べ高額ではない
依頼時の費用が明確であるか、相場と比べてあまりにも高額すぎないかを確認しましょう。残念なことですが、弁護士の費用については不明確であることが多く、これがもとで依頼者と弁護士がトラブルになることは少なくありません。確かに、遺産の内容などによって、案件の難易はあるので、全ての案件をホームページ上で明確に示すことは難しいです。しかし、目安やどのような内容であれば加算されるか、ある程度の目安は示すことが可能です。ホームページで費用についての情報が開示されているか、それが相場とくらべて著しく高額ではないか、を事前に確認しましょう。
東京新宿法律事務所の相続問題の費用については、遺言・相続に関する費用で開示しておりますので参考にしてください。
説明がわかりやすく質問しやすい
最後に、もっとも重要なことですが、弁護士と話をして説明がわかりやすいか、弁護士に不明な点を質問しやすいか、希望を述べやすいか、は弁護士を選ぶポイントとなります。弁護士の中には、前提として必要な知識があるものとして説明を行ってしまう方や、一般人にとって説明が分かりづらい方もいます。また、中には態度が高圧的であるような方もいて、質問がしづらく、自分の希望を伝えづらいこともあります。
その結果弁護士に依頼をしたにも関わらず、納得のいく結果が得られず不満に思う方もいらっしゃいます。最初の相談の時点で、弁護士の説明がわかりやすいか、質問や希望を述べやすいかを確認して、もし相談事に説明が複雑だったり、質問や希望を述べづらい場合には、依頼をせずに他の弁護士に相談してみることも検討してみてください。遺産相続の弁護士の選び方については遺産相続の弁護士の選び方と弁護士利用のメリットで詳しく説明しておりますので、ご覧ください。
事務所の規模による費用差
大手法律事務所は弁護士やスタッフの人数が多く、組織的に業務を行っているという特徴があります。テレビCMやインターネット広告を積極的に行っている事務所もあり、広告宣伝費や組織運営費が費用に反映されていることもあります。これに対し、個人事務所の中には比較的費用を抑えている事務所もあります。また、相談次第では費用面の調整が可能な場合もあり、柔軟な対応を受けられることもあります。
ただし、大手だから高い、個人事務所だから安いと一概にはいえません。実際の費用は事務所ごとに異なるため、事務所の規模だけで判断するのではなく、費用体系や相続案件の実績などもあわせて確認するとよいでしょう。
よくある質問・まとめ

- 税理士や司法書士は弁護士と業務範囲が異なるので代わりにはなりにくい
- 遺産分割調停に関する問題は一回の無料相談で解決できることは少ない
税理士や司法書士に依頼する方が弁護士に依頼するより費用が安くなるでしょうか。
業務範囲の違いがあるので一概に比較することはできません。
Q1.遺産分割は司法書士・税理士に依頼すると安い?
弁護士費用と、司法書士・税理士費用を一概に比較することはできません。例えば、税理士へ相続税申告を依頼する場合の報酬は、相続財産額の0.5~1%程度が目安とされており、司法書士へ相続登記を依頼する場合には10万円前後が報酬となります。
ただし、税理士は相続税申告や税務相談、司法書士は相続登記などを行う専門家なので、弁護士とは業務範囲が異なります。そのため、費用の安さで選ぶというよりも、依頼する業務の内容に合わせて専門家を選ぶことが重要です。
Q2.相手の弁護士費用も自分が払う?
弁護士費用は、弁護士へ依頼した本人が負担するのが原則です。相手方が弁護士へ依頼したからといって、その弁護士費用を支払う必要はありません。もっとも、相続人による遺産の使い込みなどが問題となり、不法行為に基づく損害賠償請求を行うために弁護士へ依頼した場合など、例外的に相手方へ弁護士費用の一部を請求できる場合もあります。
Q3.初回無料相談だけで解決できる?
ちょっとした疑問を解消したい場合には、初回無料相談だけで解決できることもあります。ただし、無料相談は問題解決を図るというより、弁護士へ依頼する必要があるのかどうかを検討する場です。特に、遺産分割調停は解決までに数年かかることもあるので、一度の相談だけで解決するケースは少ないでしょう。
そのため、まずは無料相談で見通しを確認し、そのうえで弁護士へ依頼するかどうかを検討しましょう。
Q4.審判に発展したらさらに費用がかかる?
法律事務所によって料金体系は異なりますが、遺産分割調停から審判へ移行した場合には追加の着手金や報酬金が発生することがあります。これは、審判になると主張書面や証拠の提出がさらに必要となり、弁護士の業務量が増えるためです。
調停で解決しなかった場合に追加費用が発生するのか、発生する場合はいくら程度なのかを事前に確認しておくと安心です。
まとめ
このコラムでは、遺産分割で弁護士に依頼する場合にかかる費用などについてお伝えしました。 遺産の額にもよるのですが、決して安くはないといえますので、依頼をするのであれば無料相談を利用して、信頼できる弁護士に依頼するようにしてください。
遺言や相続でお困りの方へ
分からないときこそ専門家へ
相続については、書籍やウェブで調べるだけではご不安な点も多いかと思います。当事務所では、お客様の実際のお悩みに寄り添って解決案をご提案しております。「こんなことを聞いてもいいのかな?」そう思ったときがご相談のタイミングです。

- 遺産相続でトラブルを起こしたくない
- 誰が、どの財産を、どれくらい相続するかわかっていない
- 遺産分割で損をしないように話し合いを進めたい
- 他の相続人と仲が悪いため話し合いをしたくない(できない)
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