- 遺産分割が終わらないと、相続税の申告期限に間に合わない可能性がある
- 相続税の申告には様々な負担軽減措置があるが、原則として遺産分割を終えている必要がある
- 遺産分割で感情的な対立になってしまった場合は、弁護士に相談して交渉してもらう
【Cross Talk 】遺産分割は早めに終わらせたほうがいいの?
遺産分割をめぐって相続人の間でもめているのですが、遺産分割は早めに終わらせたほうがいいのでしょうか?
相続税を申告する必要があるのでしたら,早めに遺産分割を終わらせた方が良いです。期限内に遺産分割を終えた上で,相続税の申告をすれば様々な軽減措置をうけることができ,相続税を減らすことができるかもしれません。
相続税の申告に間に合わせるには、遺産分割を早期に終わらせるべきなんですね。早く終わらせるコツがあれば教えてください!
遺産総額が大きい場合、原則として相続税の申告が必要です。 相続税の申告に間に合わせるには、原則として遺産分割を終わらせる必要がありますが、遺産分割でもめてしまうと、相続税の申告に間に合わない可能性があります。 そこで今回は、相続税の申告に備えて、遺産分割を早期に終わらせるべき理由や、早めに終わらせるコツを解説いたします。
相続税申告のために遺産分割を早期に終わらせるべき理由
- 相続税の申告には期限がある
- 遺産分割を完了しないと,相続税の申告上の負担軽減措置を受けることができない
相続税の申告期限が迫っているのですが、遺産分割が終わりそうにありません。
相続税の申告には様々な負担軽減措置がありますが、利用するには原則として遺産分割を終えている必要があります。
相続税申告には様々な負担軽減のための措置がある
相続税の申告においては、税負担を軽減するための様々な措置があります。 相続税の申告に関連する主な措置は、以下の通りです。- 配偶者の税額の軽減
配偶者が相続した遺産の額が、1億6000万円までは相続税の課税がされない制度です。また,それを超えた場合でも,配偶者の法定相続分までは相続税が課税されません。 - 小規模宅地の評価減
被相続人と一緒に居住していた宅地などを相続した場合に、相続税の計算に用いられる価格が最大で80%減額される制度です。 - 農地の納税猶予の特例
農業を営んでいた被相続人から農地などを相続し、農業を営む場合などに、相続税の納税猶予の対象となる制度です。
負担軽減の措置を利用するには遺産分割が終わっている必要がある
相続税の申告に関連する負担軽減の措置を利用するには、原則として,相続税申告までの間に遺産分割を終える必要があります。 遺産分割が終わっていない場合、負担軽減の措置を利用できないことで、相続税の申告が不利になってしまう場合があります。負担軽減の措置を利用できることを前提としていた場合は、相続税の額が想像以上に大きくなることで、今後の生活にも影響する可能性があります。
相続税申告の期限は10カ月
相続税の申告期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から、10カ月以内です。 正当な理由なく期限までに申告しなかった場合、本来の税額に加えて、ペナルティとしてより多くの税金を納めることになりかねないので注意しましょう。相続税の申告期限に遺産分割が間に合わない場合
相続税の申告期限までに遺産分割が間に合わない場合でも,相続税の申告自体は行う必要があります。申告をしなければ,上述のとおり,ペナルティを課されるかもしれないからです。その場合には,ひとまず法定相続分で相続税の申告・納税をすることになります。その後,遺産分割をして,相続した金額が変わった場合には,必要に応じて申告した内容を修正・更正する手続きを行うことになります。
未分割申告をする際には,「申告期限後3年以内の分割見込書」も提出すべき
未分割の状態で申告をする場合、「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して提出した方が良いでしょう。 「申告期限後3年以内の分割見込書」とは,遺産分割がまとまっていない遺産について,3年以内に分割の見込みがあることと,上述の負担軽減措置の利用を希望する旨を説明する書面です。 この書面を提出した上で,しっかり3年以内に遺産分割を終え,分割の日の翌日から4か月以内に更正の手続きを行えば,例外的に,希望した負担軽減措置を利用することができます。「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出しなければ、配偶者の税額の軽減などの特例を利用できないので注意しましょう。
遺産分割を早期に終わらせるコツ
- 感情的な対立を防止するために、対立のポイントを整理する
- 感情的な対立になってしまった場合は、弁護士に相談して交渉してもらう
遺産分割でもめそうなのですが、遺産分割を早期に終わらせるコツはありますか?
遺産分割をもめずに早期に終わらせるコツは、対立のポイントを整理することです。それでももめてしまった場合は、弁護士に相談して交渉してもらいましょう。
感情的な対立にならないようにポイントを整理する
遺産分割を早期に終わらせるには、感情的な対立にならないように、対立のポイントを整理することが重要です。 どのような対立があるのか、なぜ対立が発生したのか、対立を解決するための方法があるかなどを順番に検討し、対立のポイントを整理しましょう。例えば、相続人として長男と次男がおり、遺産として土地と預貯金のある場合で考えてみましょう。 長男が土地を相続し、次男が預貯金を相続することを提案したところ、次男が同意しなかったとします。 不満の原因を確認したところ,土地の価格(800万円)に比べて預貯金の金額(400万円)が少ないことが不満であると分かりました。 この場合,長男は代償分割(差額について金銭を支払う分割方法)を提案し、土地と預貯金の差額である200万円を支払う旨を申出れば,次男が納得して,遺産分割がまとまりやすくなるかもしれません。
実際のところは,このような単純なケースばかりではないでしょうが,対立の内容や原因を把握して整理し、対立を解決する方法を提案することが,遺産分割を早期に終わらせるポイントになります。
感情的な対立になってしまった場合には早めに弁護士に依頼して交渉をする
遺産分割をめぐって感情的な対立になってしまった場合は、早めに弁護士に依頼することをおすすめします。感情的な対立になってしまった場合、相手を嫌ったり憎んだりすることで、本来は納得できるはずの交渉内容であっても、素直に同意できなくなってしまう場合が少なくありません。 また、相手が嫌いで顔も見たくないと思うことで、そもそも交渉自体ができなくなってしまう可能性もあります。
弁護士に交渉を依頼すれば、自分に代わって弁護士が相手と交渉してくれるので、お互いに感情的にならずに交渉しやすくなります。 相続問題に詳しい弁護士であれば、相手が納得しやすいような交渉内容を提案し、早期に遺産分割協議を成立させやすいというメリットも期待できます。
まとめ
このページでは、相続税申告に備えて遺産分割を早めに終わらせるべき理由について解説しました。 相続税の申告期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10カ月以内です。 遺産分割をめぐって相続人の間で対立した場合、相続税の申告期限までに遺産分割が終わらない可能性があります。 相続税の申告には各種の軽減措置がありますが、軽減措置を利用するには原則として遺産分割を終えている必要があるので、申告期限に間に合わせることが重要です。 感情的な対立になってしまった場合は、弁護士に相談して交渉してもらうことをおすすめします。
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