遺言書がない場合は相続の手続きをどう進めればいい?
ざっくりポイント
  • 遺言書がない場合は法定相続人全員で遺産分割協議をする必要がある
  • 遺産分割協議で合意ができなければ遺産分割調停・遺産分割審判をすることになる
  • 分割しにくい財産がある場合や特別受益・寄与分の主張がある場合はトラブルになりやすい
目次

Cross Talk 父が亡くなったのですが、遺言書がありません...。

先日、父が亡くなったのですが、父は遺言書を書いていませんでした。母と私と弟で相続することになるのですが、これから相続の手続きをどのように進めればいいのでしょうか?

遺言書がない場合には法定相続人全員で遺産分割協議をして遺産の分配方法について合意する必要があります。

母と弟と話し合いをすればいいんですね。円満に話し合いをするために気を付けることがあれば教えてください!

遺言書がない場合は法定相続人全員による遺産分割協議が必要になる

被相続人が有効な遺言書を作成していた場合、被相続人の遺産は原則として遺言の内容に従って分配されることになります。
遺言書がない場合、被相続人の遺産の分配方法が事前に定められていないため、遺産の分配方法を決める等、遺言書がある場合と異なる手続きが必要です。
そこで今回は、遺言書がない場合の相続手続の進め方や相続を円滑に進めるコツ等を紹介します。

遺言書がない場合、法定相続人全員での遺産分割協議が必要になる

知っておきたい相続問題のポイント
  • 遺言書がない場合は法定相続人全員で遺産分割協議をしなければならない
  • 行方不明の相続人がいる場合は不在者財産管理人選任や失踪宣告の申立てをする

遺言書がない場合、遺産を相続するにはどのような手続きが必要になるのですか?

遺言書がない場合には、法定相続人全員で遺産分割協議をし、遺産の分配方法について合意をする必要があります。相続人の中に行方不明の方がいて協議ができない場合は、裁判所に不在者財産管理人の選任や失踪宣告の申立てが必要です。

遺言書がない場合、民法で定められた範囲の法定相続人全員で遺産分割協議をする必要があります。
一部の相続人が欠けたまま行った遺産分割協議は無効とされているので、必ず法定相続人全員で協議をしなければなりません。

相続人の中に行方不明の方がいる場合には、裁判所に対して不在者財産管理人選任の申立てや失踪宣告の申立てをすることで、相続の手続きを進められます。
不在者財産管理人は、不在者の財産の管理をする法定代理人です。裁判所の許可を得て遺産分割ができるので、選任された不在者財産管理人を含めて遺産分割協議をすることで、相続人が行方不明の場合でも相続の手続きを進められます。
失踪宣告は、裁判所が生死不明の方を死亡したものとみなすという制度で、失踪宣告によって行方不明の相続人は死亡したと判断します。そのため、行方不明の相続人なしで遺産分割協議ができます。

関連記事:遺産分割協議のやり直しはできる?手順や注意点、先延ばしするリスク

遺産分割協議の進め方

知っておきたい相続問題のポイント
  • 戸籍を取り寄せて法定相続人を確定させ、全員で話し合う
  • 遺産分割協議で合意ができない場合は遺産分割調停・遺産分割審判を申立てる

遺言書がない場合に遺産分割協議をどのように進めればいいのですか?

被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍等を取り寄せて法定相続人を確定させ、全員で遺産分割協議をし、合意が成立すれば遺産分割協議書を作成します。協議をしても合意が成立しない場合、家庭裁判所の手続きである遺産分割調停・遺産分割審判を利用することになります。

まずは法定相続人全員で話し合う

まずは被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍等を取り寄せ、法定相続人を調査し、法定相続人が確定すれば、法定相続人全員で話し合いをします。なお、全員で話し合いと言っても、全員が一堂に会する必要はなく、手紙や電話、メール等の方法で話し合いをしてもかまいません。

話し合いの結果、全員の合意が成立した場合、合意の内容を明らかにした遺産分割協議書を作成し、全員が署名・実印による押印をし、印鑑登録証明書を添付します。
この遺産分割協議書によって、預貯金の解約や不動産の名義変更などの各種手続きができるようになります。

遺産分割協議での話し合いがまとまらない場合

遺産分割調停

相続人全員で話し合いをしたとしても、誰がどの財産をどのような割合で相続するのか合意ができないことは珍しくありません。
遺産分割協議をしても合意ができない場合、家庭裁判所に遺産分割調停を申立てることになります。
調停は、裁判官と調停委員で構成される調停委員会を介して、相手方と話し合いをする手続きです。

第三者である調停委員会を介して話し合いをすることで、法定相続人だけで話し合いをする場合と比較して感情的にならずに冷静に話し合うことができたり、調停委員から法的な制度の説明等を受けることができたりするため、遺産分割協議では合意ができなくても遺産分割調停で合意が成立することもあります。

関連記事:遺産分割調停を弁護士に依頼する場合の費用について解説

遺産分割審判

遺産分割調停でも合意ができない場合、調停は不成立となり、遺産分割審判へと移行します。
遺産分割審判では、家庭裁判所の裁判官が双方の主張や提出された資料をもとに審判という形で遺産の分割案を決めます。審判が確定すると強制力があるので、審判の結果に納得しない相続人も従うしかありません。

なお、厳密に言えば調停を経ずにいきなり遺産分割審判の申立てることも法律上は可能ですが、申立てをしても通常は裁判所によって調停に付され、話し合うことになるのが一般的な運用です。

遺言書がない場合の相続で起こりやすいトラブルについて

知っておきたい相続問題のポイント
  • 不動産のような分割しにくい財産があると分割方法でもめやすい
  • 特別受益や寄与分を主張する相続人がいると各自の相続分の計算でトラブルになりやすい

遺言書がない場合の相続で起こりやすいトラブルにはどのようなものがありますか?

遺言書がない場合の相続は、法定相続人全員の同意が得られにくい事情がある場合、トラブルになりやすいと言えます。考えられるトラブルについてご紹介します。

分割するのが難しい財産

遺言書がない場合の相続は、法定相続人全員で遺産分割協議を行い、合意が必要です。そのため、相続人で意見が分かれそうな問題があると、全員の合意ができずにトラブルになりやすい傾向があります。

相続の対象になる財産には、現金や預貯金のように分割が容易なものだけでなく、不動産のように現物を分割するのが難しい財産もあるため、複数の相続人がその財産の相続を希望すると、誰がその財産を相続するのかで意見がまとまらない可能性があります。

誰が相続するかで合意ができたとしても、その財産の価値の評価について争いになり、意見がまとまらないこともあるため、分割するのが難しい財産がある場合、相続人間でトラブルになりやすいといえます。

特別受益の有無

相続は、相続開始時(被相続人の死亡時)の財産を分割するのが原則ですが、この原則を貫くと相続人間で不公平が生じる場合があります。
例えば、相続人の一部が被相続人の生前、被相続人から多額の贈与を受けていた場合、相続開始時の財産だけを相続の対象とすると、贈与を受けていない相続人は不公平だと感じるでしょう。
このような不公平を是正するため、特別受益という制度が設けられています。

特別受益は、特定の相続人が被相続人から遺贈や婚姻・養子縁組・生計の資本のための生前贈与を受けることです。特別受益がある場合、相続開始時の財産に特別受益の価額を加算した額をみなし相続財産として相続の対象と考えます。

特別受益を受けた相続人は、みなし相続財産に法定相続分を掛けた額から特別受益の価額を差し引いた残額を相続します。特別受益の有無で相続時に取得する額が変わることから、一部の相続人が他の相続人に特別受益があると主張する場合、特別受益の有無を巡って争いになり、トラブルに発展する可能性が高くなるのです。

寄与分の主張

寄与分とは、相続人が被相続人の財産の維持・形成に特別な寄与(貢献)をした場合に、相続開始時の財産を相続の対象とする不公平を是正して、特別の貢献をした相続人の相続分を増やすための制度です。

寄与分は、相続人が財産上の給付をした場合に限られず、被相続人の事業に対する労務の提供、被相続人の療養看護をした場合にも認められるのですが、「特別の寄与」と言える必要があるため、寄与分に該当するかどうかで争いになりやすいと言えます。そのため、寄与分を主張する相続人がいる場合も、相続人間でトラブルになりやすいと言えます。

関連記事:寄与分の相場はいくら?5つのタイプ別の計算方法をわかりやすく解説

遺言書がない場合の相続を円滑に進めるには弁護士への相談を

知っておきたい相続問題のポイント
  • 相続人や相続財産の調査方法を教えてもらうことができる
  • 特別受益や寄与分等を考慮した相続分を計算してもらうことができる

遺言書がない場合の相続を円滑に進めるにはどうすればいいでしょうか?

相続を円滑に進めたい場合は、弁護士への相談がおすすめです。弁護士に相談をすれば、相続人や相続財産の調査方法を教えてもらったり、特別受益や寄与分の主張を考慮した具体的な相続分を計算してもらったりすることができます。

遺言書がない場合の相続を円滑に進めたい場合は、相続に詳しい弁護士に相談するのが効果的です。
遺言書がない場合の相続は法定相続人全員の遺産分割が必要になるため、相続人の調査が不十分で一部の相続人が欠けた状態で遺産分割協議をした場合、遺産分割協議は無効となり、やり直す必要があります。

弁護士に相談をすれば、相続人や相続財産の調査方法についてアドバイスをもらえるため、遺産分割協議のやり直し防止が可能です。

一部の相続人が特別受益や寄与分を主張し、他の相続人がそれを否定している場合など、相続人間で具体的相続分について争いになることがあります。そのようなときは、弁護士に相談することで、過去の裁判例などをもとに特別受益や寄与分の主張について検討したうえで、適正な具体的相続分を計算してもらうことができます。

さらに、相続人間の協議では感情的になって冷静な話し合いができないような場合、相談にとどまらず弁護士に他の相続人との交渉を依頼することもできます。このように、遺言書がない場合の相続を弁護士に相談することには多くのメリットがあるのです。

まとめ

遺言書がない場合、法定相続人全員で遺産分割協議をして合意することが必要になります。そのため、行方不明の相続人がいるために話し合いが進まないとか、分割しにくい財産があって分割案がまとまらない、特別受益や寄与分などの法律上の主張があるといった理由で相続人間にトラブルが発生するおそれがあります。
そのようなトラブルを回避して円滑に相続の手続きを進めるには、相続に詳しい弁護士に相談をするといいでしょう。

遺言や相続でお困りの方へ
分からないときこそ専門家へ
相続については、書籍やウェブで調べるだけではご不安な点も多いかと思います。当事務所では、お客様の実際のお悩みに寄り添って解決案をご提案しております。「こんなことを聞いてもいいのかな?」そう思ったときがご相談のタイミングです。
一つでも当てはまる方はご相談ください
  • 遺言書が無効にならないか不安がある
  • 遺産相続のトラブルを未然に防ぎたい
  • 独身なので、遺言の執行までお願いしたい
  • 遺言書を正しく作成できるかに不安がある
初回相談
無料
法律問題について相談をする
電話での予約相談
(新規受付:7時~22時)
0120-500-700
相続手続お役立ち資料のダウンロード特典付き
(新規受付:24時間対応)
LINEでの相談予約
(新規受付:24時間対応)

この記事の監修者

弁護士の写真
弁護士 明見 裕美東京弁護士会
ご親族様との関係を保ちつつご依頼者様の利益を守れるよう、迅速に対応致します。「身内の問題だから」とお一人で悩まず、まずはご相談下さい。

法律問題について相談をする

初回相談無料

電話での予約相談

(新規受付:7時~22時) 0120-500-700

相続手続お役立ち資料のダウンロード特典付き

(新規受付:24時間対応)

LINEでの相談予約

(新規受付:24時間対応)
資料ダウンロード

相談内容

一般社団法人 相続診断協会
資料ダウンロード
相続手続き丸わかり!チャート&解説
9/9(水)相続解決セミナー開催 無料で参加する
無料相談のお申し込みはこちら 無料相談のお電話 フォームで無料相談を申し込む LINEで無料相談する