
- 遺言書はできるだけ早期に作成をした方がいい
- 家族構成や財産状況に大きな変化が生じたときが遺言書を作成するタイミング
- 遺言書は何度でも書き換えができる
【Cross Talk 】遺言書はどのタイミングで作成すればよいでしょうか?
私には離婚歴があり、前妻との間に子どもがいます。私の死後に現在の妻と前妻との間の子どもが相続で揉めないようにするために、遺言書の作成を考えています。今のところ特に体調に問題はないのですが、遺言書はいつ作成すればいいでしょうか?
一般的に言って、遺言書は早期に作成した方がいいといえます。遺言書を作成した後に事情が変わった場合、何度でも遺言書を書き替えることができるので、安心して遺言書を作成してください。
早く作成した方がいいんですね。遺言書を作成するうえで注意することがあれば教えてください。
遺言書の作成は、何らかのきっかけがなければあまり考えないことかもしれません。
しかし、不慮の事故や病気など、「遺言書を作成しておけばよかった」という事態に遭遇する可能性は誰にでもあります。そこで今回は、遺言をすべきタイミングや注意点などを解説します。
遺言書は早期に作成した方が良い

- 15歳以上であれば遺言書を作成することができる
- 遺言者の意思を明確にできるなど、遺言書の早期作成にはメリットがある
遺言書はいつ作成すればいいのでしょうか?
遺言者の意思を明確にし、相続人間の紛争を防止するために、できるだけ早期に作成したほうがいいでしょう。
早期に遺言書を作成するメリット
未成年者(18歳未満)が契約等の法律行為をするには親権者等の同意が必要とされていますが、遺言書は例外的に15歳以上であれば単独ですることができます。これは、遺言書の効力が発生するのは遺言者の死亡後であるため、未成年者を保護する必要が低いこと、遺言書は本人の最終意思を尊重すべきであることが理由です。
若い方でも突然の事故や病気によって亡くなったり、遺言書を作成できない状態になったりする可能性があることは否定できません。
遺言書がない場合、法定相続人全員による遺産分割協議が必要となり、基本的に法定相続分を基礎とした分割がなされることが多いです。
一方で、遺言書があれば、遺留分を侵害しない限度で遺言書に従って財産が配分され、相続人間で遺産分割協議をする必要もありません。
財産の分配について自分の意思を明確にしたい、相続人間の紛争を防止したい場合には、突然の事故や病気といった不測の事態に備えて、できるだけ早期に遺言書を作成するべきといえます。
遺言書を作成する主なタイミングについて

- 結婚・離婚、出産などで家族構成に変化が生じたタイミングで作成する
- 住宅の購入、定年退職などで財産状況に変化が生じたタイミングで作成する
遺言書は早く作成した方がいいことは分かりましたが、作成に適したタイミングはありますか?
遺言書の主な役割は遺言者の財産を遺言者の意思で分配するというものです。したがって、遺言書を作成する主なタイミングとしては、結婚・離婚、出産などで家族構成に変化が生じた場合か、住居の購入や定年退職で財産状況に変化が生じた場合が挙げられます。
結婚や出産
遺言書のもっとも重要な機能は、遺言者の財産を遺言者の生前の意思に従って分配するというものであり、「誰」に「何」を相続させる(遺贈する)か、決めることができます。
そのため、相続させたい(遺贈したい)方に変化が生じるか、相続させた(遺贈したい)財産に変化が生じたときが遺言書の作成に適したタイミングと言えるでしょう。
代表的な例が、結婚をしたときや子どもが生まれたときです。配偶者は当然に法定相続人になりますが、子どもがいない場合には本人の直系尊属や兄弟姉妹も法定相続人になるので、配偶者の生活保障のために法定相続分より多くの財産を配偶者に相続させたいような場合、遺言書を作成しておく必要があります。
離婚
離婚をすると元配偶者は法定相続人ではなくなります。
離婚前に元配偶者に遺産を相続させる遺言書を作成していた場合、遺言書の内容を改める必要があります。
また、離婚した元配偶者との間に子どもがいて元配偶者が子どもを引きとった場合でも、子どもが相続人であることにはかわりがないので、遺言書を作成しておくことが将来のトラブルを防止するために効果的です。
住居の購入
不動産は個人にとって重要な財産で、遺産の中で大きな割合を占める可能性が高いものです。
また、不動産は、現金や預貯金と違って現物を分割するのが困難であるため、分割方法について相続人間で意見が対立しやすい特徴があります。
不動産を巡る相続人間の争いを防止するためにも、住居を購入したタイミングで遺言書を作成し、不動産の分配方法を指定しておくといいでしょう。
定年退職
定年退職をすると、退職金としてまとまった一時金を得る場合があります。
また、定年退職は新たなライフステージの始まりであり、在職中よりも時間的な余裕が生まれる場合もあるでしょう。
定年退職のタイミングで、退職金も含めた自分の財産をどのように分配するかじっくりと考え、遺言書を作成しておくといいでしょう。
配偶者との死別
配偶者と死別すると、自身の法定相続人の構成が変わり、また配偶者の遺産を相続することになります。
配偶者との死別は、相続させたい(遺贈したい)方と財産の双方に変化を生じるので、遺言書を作成する(すでに作成している場合には書き換えを検討する)タイミングと言えます。
遺言書を作成する際に理解しておきたいポイント

- 遺言書の種類、要件等を理解して適切な方式を選ぶ
- 作成した遺言書は何度でも書き換えすることができる
遺言書を作成する際に何か気を付けることはありますか?
遺言書には大きく分けて自筆証書遺言、公正証書遺言があり、有効となる要件や費用等が変わるので、ご自身の状況に応じて適切な遺言を作成する必要があります。いったん遺言書を作成した後でも、遺言書は何度でも書き換えが可能ですので、家族構成や重要な財産が変化したタイミングで書き換えを検討するといいでしょう。
遺言書の種類
自筆証書遺言
自筆証書遺言は、遺言者が全文、日付、署名を自書し、押印する方式の遺言書です。財産目録を除いて、パソコン等で作成することはできません。
特別な費用をかけずに作成できるというメリットがありますが、専門家の関与なしに作成できるため要件を満たさず無効になる場合があること、遺言者の死亡後に家庭裁判所による検認手続が必要になり、遺言の内容を実現するのに時間がかかる可能性があるといったデメリットもあります。
公正証書遺言
公正証書遺言は、公証人という公務員が関与して作成される方式の遺言書です。
公証人が関与するので要件を満たさずに無効になる可能性が低いというメリットがありますが、費用が掛かること、2人以上の証人の立ち会いが必要とされていることから、遺言書の内容が漏れてしまう可能性があるといったデメリットもあります。
作成した遺言書は何度でも書き換え可能
作成した遺言書は、いつでも変更や撤回をすることができます。
遺言書を作成した後に結婚・出産、離婚など相続人の状況に変化が生じた場合や、住居の購入、定年退職などで財産の状況に変化が生じた場合は、遺言書の内容を変更する必要がないかを検討し、適宜、遺言書を書き替えるようにしましょう。
関連記事:遺言書を書き換えたい!内容の変更方法(撤回・取り消し)などについて解説
紛失しないように厳重に保管する
自筆証書遺言は、原則として遺言者自身で保管するか、信頼できる方に預けて保管してもらうことになります。
厳重に保管する必要があり、紛失のリスクを避けるためにも、法務局による自筆証書遺言の保管制度を利用することも一つの手です。なお、公正証書遺言の原本は公証人役場に保管され、全国のどの公証人役場でも検索することができるので、紛失するリスクはありません。
まとめ
遺言書には自筆証書遺言、公正証書遺言といった種類があり、その種類によって有効となる要件や作成に必要な手続、費用などが変わります。遺言書の作成を検討したいとお考えになった方は、遺言に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。
参考:
小倉ほか『ケース別遺言書作成マニュアル』(新日本法規 2011年)
江崎正行『みんが安心!簡単に書ける!遺言書』(二見書房 2017年)

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