遺言書を書き換えたい、という場合に訂正・撤回・取り消しの方法についての規定を確認する
ざっくりポイント
  • 作成中の遺言書の内容の書き換え(訂正)の方法
  • 作成後の遺言書の撤回・取消は可能だが、方法は法律に規定されている
  • 遺言書の撤回・取消の方法
目次

【Cross Talk】遺言書の内容を書き換えたい!それって可能?

先日公証役場で遺言書を作成したのですが、その後事情が変わって、遺言書の内容を書き換えたいのですが可能でしょうか?

遺言書の内容を変更する場合は、法律の規定に従い、作成済みの遺言書を撤回・取り消しする必要があります。

遺言書の書き換えは可能だけど、法律の規定に沿った方法によって行わなければならない!

遺言書を作成した後に事情が変わって遺言書に書かれた内容と別の遺言書を作成したい場合もあります。一度した遺言書の撤回・取り消しを行うことは可能ですが、その方法についても法律で規定されているため注意が必要です。 このページでは、遺言書の書き換え方法に関する法律の規定と注意点についてお伝えいたします。

遺言書の書き換えを検討する典型的な例とは?

知っておきたい相続問題のポイント
  • 遺言書の書き換えを検討する場合
  • 財産状況や気持ちの変化など

どのような場合に遺言書の書き換えを検討することになりますか?

いくつか典型的な例があるので確認しましょう。

遺言書の書き換えを検討する典型的な例を確認しましょう。

財産状況が変化した

まず、財産状況が変化した場合です。 遺言書を作成した当初に所有していた不動産を売却したような場合や、別に不動産を購入した場合など、遺言書を作成した当時と保有している財産の状況が変化する場合があります。 相続をする人が決まっていない不動産がある、相続する財産のバランスが大きく崩れているなどして、そのまま相続すると不都合が生じるような場合には、遺言書の書き換えを検討すべきでしょう。

遺言書を作成した当時から気持ちが変わった

遺言書を作成した当時から気持ちが変わることがあります。 会社の経営を任せようとしていた長男が別の道を歩み始めたような場合や、遺贈をしようとしていた人と疎遠になってしまうなど、遺言書を作成したときに思っていたことが、期間の経過とともに変わることも珍しくありません。 そのまま遺言書の内容が実現されるのが嫌だと思った場合には、遺言書の書き換えを検討すべきであるといえます。

家族構成に変化が生じた

家族構成に変化が生じた場合が挙げられます。 例えば、子どもが2人居て、一方の子どものみが結婚して孫が何人も生まれたような場合には、なるべくその子どもに財産を多く相続させることで、孫の養育をしやすいようにしてあげたい、と考えることがあります。 このような場合には、遺言書の書き換えを検討すべきことになります。

遺言書の書き換えはできるのか?

知っておきたい相続問題のポイント
  • 作成中の遺言書の内容を書き換える(訂正する)方法
  • 一度作成した遺言書の内容の書き換えは法律の規定に従って行う

遺言書の書き換えは可能ということで良いでしょうか?

結論から言うと遺言書の書き換えは可能です。作成中の遺言書の内容で誤字があった場合などの訂正の方法と、遺言書作成後の書き換えについて確認しましょう。

作成中の遺言書を訂正する方法と、遺言書作成後に内容を書き換える方法について確認しましょう。

作成中の遺言書の記載文言を間違えたときの訂正方法

まず、公正証書遺言については公証人が作成するものであり、また秘密証書遺言についてもパソコンで作成できるので、文言を間違えたときは、その場で訂正できるので訂正の可否は問題になりません。 したがって、自筆証書遺言において誤字や内容を間違えたという場合の訂正方法について確認しましょう。 遺言書に誤字脱字があった場合や内容を訂正する際は、民法968条3項の規定を参照します。

その内容は、
ⅰ変更する場所を指定
ⅱ変更した旨を付記して署名
ⅲ変更場所に印を押す
とされています。 ここでいう印とは、遺言書の最後に署名捺印するときに使う印鑑を指します。

訂正する場合は、書き間違えたところに二重線を引いて印を押し、欄外に『本遺言書◯行目「◯◯」を「◇◇」と訂正した。』と記載します。 単に削除する場合には、書き間違えたところに二重線を引いて印鑑を押して、欄外に『本遺言書◯行目「◯◯」を削除した。』と記載します。 脱字があって文字を挿入したい場合には、挿入したい場所を波括弧で指定して挿入した文字を記入し、同じく欄外に『本遺言書◯行目『●●』を加入した。』と記載します。

そもそも一度作成した遺言書の内容を書き換えることはできるのか?

既に作成した遺言書に関しては、内容を書き換えることはできません。 しかし、既に作成した遺言書を撤回して新たに遺言書を作成することで、書き換えと同じ状況にすることは可能です。 遺言書の撤回(取り消し)については、その方法が民法で定められているので、次項で詳しく内容を見てみましょう。

具体的な遺言書の内容の変更方法と、その効力

知っておきたい相続問題のポイント
  • 遺言書の内容の変更方法
  • 変更する場合の注意点

具体的にどうやって変更をするのでしょうか?

基本的には前の遺言書を撤回し、新たに遺言書を作成することが挙げられますが、他にもいくつか方法があるので一つずつ見てみましょう。

作成済みの遺言書を改めて書き換えるということはできません。 しかし、遺言書の内容の変更は可能であり、その方法については法律で次のように定められています。

遺言書の方式による撤回

遺言書の撤回は遺言書の方式によって行うよう法律で定められています(民法1022条)。 具体的には、いついつの遺言書は取り消す、という形の遺言書を新たに作成することになります。 この場合、後にする遺言書と前にした遺言書の種類が違ってもかまいません(前に作成した遺言書が公正証書遺言である場合、この公正証書遺言を撤回するために自筆証書遺言・秘密証書遺言をしても良いという意味)。

抵触行為による撤回

民法1023条は、前の遺言と抵触する遺言書を作成した場合や、前の遺言書の内容と抵触する生前処分などをした場合には、遺言書を撤回したものとみなすとしています。 例えば、「AはBに甲不動産を遺贈する」という遺言書が作成されていたとします。 この場合に、「AはCに甲不動産を遺贈する」という遺言書を新たに作ったり、「AがDに甲不動産を売却」した際には、これによって、前に作成した遺言書は撤回されたものとみなされることになっています。

遺言書・遺贈の目的部の破棄

民法1024条は、遺言書を破棄した場合や、目的物を破棄した場合にも遺言書の撤回がされたものとみなされます。 ここで注意が必要なのが、公正証書遺言については、作成した後に正本・副本が遺言者に渡されますが、原本は公証役場で保管されます。渡された正本・副本を破棄したとしても、原本が公証役場に残っていますので、破棄したことにはなりませんので注意しましょう。

つまり、遺言書の破棄によって遺言書が撤回されたものとみなされるのは、「自筆証書遺言」と「秘密証書遺言」のみになります。 また、遺言書の内容となっている目的物を破棄してしまうことによって、遺言書の内容が実現できなくなりますので、この場合も同様に撤回したものとみなされます。

最初の遺言書で「撤回できない」と規定しても無効

もし、最初の遺言書で「撤回できない」と規定していても、その部分については無効です。 そのため、遺言書の方式で撤回することは可能です。

撤回された場合の遺言書の効力

遺言書が撤回された場合には、最初の遺言書の効力が失われます。 もしA遺言書を撤回するという内容のB遺言書が作成されて、そのB遺言書を撤回するという内容のC遺言書が作成された場合でも、A遺言書は復活しないのが基本です。 しかし、C遺言書でA遺言書の内容の復活を希望する場合には、A遺言書が復活するという最高裁判所の決定も過去にあったため(平成9年11月13日最高裁判決)、複雑な撤回をするような場合には必ず弁護士に相談するようにしましょう。

相続人全員が遺言書の内容に反対の場合に書き換えが可能か?

知っておきたい相続問題のポイント
  • 遺言書を相続人が書き換えることはできない
  • 相続人全員が合意すれば遺言書の内容と異なる遺産分割ができる

相続人が遺言書の内容に反対ならば、相続人で遺言書を書き換えることができるのでしょうか。

いいえ、遺言書を相続人が書き換えることはできません。しかし、遺言書があったとしても相続人全員が合意をしていれば、遺言書の内容と異なる遺産分割も可能です。

遺言書自体の書き換えはできない

まず、相続人によって遺言書の内容を書き換えることはできません。 遺言書は、遺言者の遺言書の内容を記載したもので、たとえ相続人がその内容に反対したとしても、相続人が書き換えられるものではありません。

相続人全員が合意すれば遺言書の内容と異なる遺産分割も可能

有効な遺言書が存在する場合でも、相続人全員が合意すれば、遺言書の内容と異なる遺産分割も可能とされています。
なお、遺言執行者や受遺者がいる場合には、遺言執行者・受遺者の合意も必要です。 そのため、相続人など全員が遺言書の内容に反対である場合には、遺言書自体を書き換えるのではなく、新たな遺産分割をすることで、対応が可能です。

まとめ

このページでは、遺言書の書き換えと内容の変更方法についてお伝えしてきました。訂正・内容変更の方法について知っていただいた上で、複雑な書き換えをするのであれば弁護士に相談しながら行うので無難であるといえます。

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