遺留分が認められる代襲相続人とは?
ざっくりポイント
  • 遺留分、代襲相続人とは?
  • 遺留分が認められる・認められない代襲相続人とは?
  • 代襲相続人の遺留分割合は?
目次

【Cross Talk 】遺留分が認められる代襲相続人にあたる人とは?

亡くなった人の孫やひ孫は遺留分を主張することはできるのでしょうか?

代襲相続人として遺留分の主張ができる可能性があります。

遺留分が認められる代襲相続人について、詳しく教えてください。

遺留分が認められる代襲相続人の範囲とは?

遺留分を侵害されている相続人は、他の相続人に対して遺留分侵害額請求を行うことで、侵害されている金額の金銭を請求することができます。そして、被相続人が亡くなる前に法定相続人が既に亡くなっている場合には、その法定相続人の子どもが代襲相続人となることができます。それでは、亡くなった相続人と同様に遺留分が認められるのでしょうか。認められる場合、その遺留分割合はどれくらいなのでしょうか。 この記事では、遺留分が認められる代襲相続人の範囲や、代襲相続人の遺留分の割合などについて、弁護士が解説していきます。

代襲相続人にも遺留分が認められる?

知っておきたい相続問題のポイント
  • 代襲相続人とは?
  • 遺留分とは?

代襲相続人や遺留分とはどのようなものなのでしょうか?

ここでは、代襲相続人に認められる遺留分を理解するために、それぞれの概要を解説していきます。

代襲相続人とは?

遺産相続において、被相続人の直系卑属(子どもや孫)や配偶者には遺留分が認められることが原則です。しかし、子どもが既に亡くなっている場合、その子ども、つまり被相続人の孫が相続人となる「代襲相続」が発生することがあります。このような場合でも代襲相続人に遺留分は認められるのでしょうか。 「代襲相続」とは、本来相続人となるはずだった方が相続開始前に死亡している場合や、特定の理由で相続権を失った場合に、その子ども(孫や曾孫など)が代わりに相続権を取得する制度です。この制度は、相続権が世代を超えて受け継がれることを保障するための仕組みです。 そして、代襲相続が認められるのは、以下の理由で本来の相続人(被代襲者)が相続権を失った場合です。
  • 相続人が相続開始前に死亡していた場合:被相続人の子どもが既に亡くなっている場合、その孫が相続人となる
  • 相続欠格(民法891条):相続人が被相続人の殺害などの重大な犯罪行為を行った場合
  • 相続廃除(民法892条):相続人が被相続人への虐待や重大な侮辱を行った場合
そして、代襲相続人になれる者の範囲は、直系卑属(子ども、孫、曾孫)に限られます。また、兄弟姉妹が代襲相続する場合は、その子ども(甥姪)までとなり、甥姪の子どもには代襲相続権はありません。

なお、相続人が「相続放棄」をした場合については、相続開始後の手続きであり、これにより放棄した方は最初から相続人ではなかったとみなされます。そのため、相続放棄の場合には代襲相続は発生しません。

遺留分とは?

「遺留分」とは、被相続人の財産のうち、法律で保護された最低限の相続分を指します。 被相続人が遺言や贈与によって自由に財産を処分する一方で、相続人の生活保障や公平性を保つために設けられた制度です。これにより、相続人の生活基盤が守られることを目的としています。 遺留分を持つ相続人は、法律で限定されており、具体的に遺留分が保障されているのは、以下の相続人です(民法1042条1項)。なお、兄弟姉妹およびその子ども(甥姪)には遺留分は認められていません。
  • 配偶者:被相続人の夫や妻は常に遺留分権利者となる
  • 直系卑属:被相続人の子ども、孫、曾孫
  • 直系尊属:子どもや代襲相続人がいない場合に限り、親や祖父母が遺留分権利者となる
「遺留分が侵害されている状態」とは、相続人が本来保障されるべき遺留分よりも少ない財産しか取得できなかった場合です。 たとえば、遺留分として1000万円が認められる相続人が、遺言書や贈与の結果として300万円しか受け取れない場合、700万円分の遺留分が侵害されています。この場合、遺留分侵害額請求を行うことで、不足分を金銭で請求できます。

遺留分が認められる代襲相続人とは?

知っておきたい相続問題のポイント
  • 遺留分が認められる代襲相続人とは?
  • 遺留分が認められない代襲相続人とは?

遺留分が認められているのは、どの範囲の代襲相続人なのでしょうか?

ここでは、遺留分が認められている代襲相続人と認められていない代襲相続人について、解説していきます。

遺留分が認められる代襲相続人

遺留分は、相続財産の一部を特定の相続人に最低限保証する制度です。代襲相続人もその一部として遺留分が認められる場合がありますが、全ての代襲相続人が認められるわけではありません。 被相続人の孫やひ孫も遺留分を侵害された場合には、遺留分侵害額請求を行使することが可能です。 代襲相続は、前述の通り本来の相続人が相続開始前に死亡したり相続権を失ったりした場合に、その直系卑属(子どもや孫)が代わりに相続する制度です。この際、代襲相続人は相続分だけでなく、遺留分も親から引き継ぐことができます。被相続人の子どもには遺留分が法律で保障されており、代襲相続人はその権利も相続分と同様に引き継いでいるのです。

遺留分が認められる代襲相続人の代表的な例として、被相続人の子どもが先に亡くなり、その子ども(孫)が代襲相続人となる場合です。また、孫も亡くなっている場合には、さらにその子ども(ひ孫)が代襲相続人となる「再代襲相続」においても同様に遺留分が認められます。

遺留分が認められない代襲相続人

上記に対して、甥や姪が代襲相続人となった場合には、遺留分が認められません。

甥や姪が代襲相続人となるのは、被相続人の兄弟姉妹が先に亡くなった場合です。この場合、代襲相続人となる甥や姪は、被代襲者(兄弟姉妹)の相続分を引き継ぎますが、遺留分を引き継ぐことができません。そもそも、被相続人の兄弟姉妹には、法律上遺留分が認められていません。遺留分は配偶者や子ども、直系尊属(親や祖父母)にのみ認められており、兄弟姉妹は対象外であり、甥や姪については、遺留分を請求する権利を持たないのです。

以上のように、遺留分が認められる代襲相続人は、孫やひ孫などの直系卑属に限られます。一方、甥や姪には代襲相続が認められても、遺留分は認められません。この違いを理解しておくことで、遺留分に関するトラブルを未然に防ぐことが可能です。具体的な対応が必要な場合には、専門家である弁護士等に相談することをおすすめ致します。

代襲相続人の遺留分の割合について

知っておきたい相続問題のポイント
  • 代襲相続人の遺留分割合とは?

代襲相続人に求められる遺留分の割合はどれくらいなのでしょうか?

代襲相続人の持つ遺留分割合は、被代襲者と同様です。

代襲相続人の遺留分割合は、被代襲者(代襲相続人が代わって相続する本来の相続人)の遺留分割合と同じです。 遺留分の割合としては、法定相続割合の半分または3分の1が保証されています。具体的な遺留分の割合は、次の通りです。
  • 配偶者のみが相続人となる場合:相続財産全体の2分の1
  • 配偶者と子どもや孫が相続人となる場合:相続財産全体の2分の1
  • 配偶者と両親が相続人となる場合:相続財産全体の2分の1
  • 子どもや孫のみが相続人となる場合:相続財産全体の2分の1
  • 直系尊属のみが相続人となる場合:相続財産全体の3分の1
遺留分は、相続人全員に均等に分配されるわけではありません。たとえば、配偶者と子どもが相続人となる場合は、配偶者の遺留分と子どもの遺留分が異なる場合があります。さらに、代襲相続人が複数いる場合は、被代襲者の遺留分割合をその人数で均等に分けた割合が各代襲相続人の遺留分割合となります。

具体的な事例で考えてみましょう。 被相続人であるXが亡くなり、その相続人には、Xの配偶者である「A」と、Xの子ども「B」、既に死亡している子どもCの代襲相続人である「D」の3名がいるとします。 子どもCの遺留分は法定相続分の「2分の1」です。配偶者と子ども2人の場合、子どもCの法定相続分は「4分の1」となります。よって、Cの遺留分割合は、「4分の1」×「2分の1」=「8分の1」です。 同じく、代襲相続人である孫Dの遺留分割合も「8分の1」となります。

相続人が、配偶者Aと、子どもB、既に亡くなった子どもCの代襲相続人である孫DとEであった場合はどうでしょうか。この場合、子どもCの遺留分は、法定相続分4分の1の2分の1で8分の1となるのは上記と同様です。しかし本件では、孫Dと孫Eの2人が代襲相続人となるため、8分の1を更に2分の1にした16分の1ずつがD・Eそれぞれの遺留分割合となります。 以上のように、代襲相続人の遺留分割合は、被代襲者の遺留分をそのまま引き継ぐことが基本となりますが、複数の代襲相続人がいる場合には、その遺留分を人数で均等に分割します。 遺留分を侵害された場合、請求手続きの期限(時効)などに注意しながら適切に手続きを進めることが重要です。遺留分侵害額請求を検討されている場合には、専門家である弁護士にまずは相談するようにしましょう。

まとめ

代襲相続とは、本来相続人となるはずだった方が相続開始前に死亡している場合や、特定の理由で相続権を失った場合に、その子ども(孫や曾孫など)が代わりに相続権を取得する制度です。 被相続人の子どもが先に亡くなり、その子ども(孫)が代襲相続人となる場合や、孫も亡くなっている場合、さらにその子ども(ひ孫)が代襲相続人となる「再代襲相続」の場合では、被代襲者と同様の遺留分が認められます。一方、甥や姪が代襲相続人となった場合には、遺留分が認められません。 代襲相続人の遺留分が侵害されている場合には、他の相続人に対して、遺留分侵害額請求を行う必要があります。遺留分侵害額請求は、被相続人が亡くなった事実及び、遺留分が侵害されている事実を知った時から1年以内に行う必要があるため、迅速に適切な対応をとらなければなりません。そのため、遺留分が侵害されているのではないかと不安な代襲相続人の方は、弁護士に相談して確認してみましょう。 当事務所には、遺留分の問題を含む相続トラブルの解決実績のある弁護士が在籍しておりますので、お困りの場合は、ご相談ください。

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この記事の監修者

弁護士 丸井 駿第二東京弁護士会
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