目次

はじめに

相続手続きが終わったあとに、想定外の遺産が見つかることは珍しくありません。
特に不動産や預金、有価証券などが後から発覚すると、「もう一度協議や申告が必要なのか」と不安になる方も多いはずです。
本記事では、新たな遺産が見つかった場合の遺産分割協議や相続税申告の対応方法、やり直しの必要性、注意点などわかりやすく解説します。

遺産分割協議のやり直しが必要な場合の具体例

遺産分割をしたあとに新たな遺産が発覚したからといって、必ずしも遺産分割協議をやり直さなければならないわけではありません。
遺産分割協議において、すべての財産が含まれていないことがよくあります。
例えば、被相続人も忘れているような銀行口座に僅かな預貯金があったり、被相続人が趣味で収集していたものがかなり高額であったりするような場合が挙げられます。
このような場合に備えて、遺産分割協議書を作成する際に新たな遺産が見つかった場合には、見つかった遺産について遺産分割協議をする旨が記載されていることが多いです。
しかし、遺産があとから見つかったからといって、遺産分割協議自体をやり直すということにはなりません。
遺産分割協議のやり直しが必要な3つのケースについて確認しておきましょう。
・遺産分割上重要な遺産があとになって発覚した場合
・相続人が新たに発覚した遺産を隠していた場合
・相続人全員で遺産分割協議をしなかった場合

遺産分割上重要な遺産があとになって発覚した場合

新たに発見された遺産が遺産総額に対して、金額が大きいような場合など、重要な遺産でその遺産があることがわかっていれば従来の遺産分割をしなかったような場合には、遺産分割協議をやり直すことが望ましいでしょう。
このような場合には、遺産分割協議をやり直すことになります。

相続人が新たに発覚した遺産を隠していた場合

相続人が遺産を隠していた場合にも、遺産分割協議をやり直すことがあります。
・親の形見でほかの相続人に渡したくない
・お金に変えてしまえばわからない
・暗証番号を知っていたので親のお金をおろしていた
上記のような場合に発生します。
遺産分割協議は相互の信頼のもとに行われるので、ほかの相続人に対する背信行為があるような場合には、遺産分割協議のやり直しも検討が必要です。

相続人全員で遺産分割協議をしなかった

相続人全員で遺産分割協議をしなかった場合にも、遺産分割協議をやり直すことになります。
遺産分割協議は相続人全員で行う必要があるため、相続人が一人でも欠けていると遺産分割協議は無効です。
例えば、父が亡くなって相続人が母と子どものみであると思って遺産分割協議をしたところ、実際に調べてみると前妻との間に子どもがいたという場合もあります。
前に結婚した相手との間の子でも、父の実子である以上は相続人になるので、その人が参加せずに行った遺産分割協議は無効となります。

遺産分割協議後に債務が発覚した場合の対処法

遺産分割協議が終わったあとに借金が発覚したような場合、相続放棄・限定承認は利用ができない可能性が高いです。
そうなると、債務整理をすることになるので、まずは債務の調査を慎重にしましょう。
遺産分割協議後に債務が発覚した場合の対処法について解説します。

遺産分割をした場合には基本的に相続放棄・限定承認ができない

相続において被相続人の多額の借金などの債務が発覚した場合、相続放棄・限定承認を検討することになります。
しかし、遺産分割をしたあとだと、基本的に相続放棄・限定承認ができません。
遺産について処分をした場合には単純承認とみなされることになりますが、遺産分割はこの遺産についての処分にあたるため、単純承認したとみなされます。

(法定単純承認)
第九百二十一条 次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
一 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第六百二条に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。
二 相続人が第九百十五条第一項の期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。
三 相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りでない。
引用元:民法 | e-Gov 法令検索

単純承認したとみなされると、相続放棄・限定承認はできなくなりますので、遺産分割をすると相続放棄・限定承認ができなってしまいます。
ただ、大阪高裁平成10年2月9日決定のように、単純承認となる事情が発生したあとでも、予期に反して多額の相続債務があった場合には、分割協議が錯誤により無効となる結果、相続放棄・限定承認ができることがあるとしています。
遺産分割をした場合でも、諦めずに弁護士に相談するようにしましょう。

相続放棄・限定承認ができない場合には債務整理を検討する

相続放棄・限定承認ができない場合には、債務整理を検討しましょう。
債務の返済ができない場合には、任意整理・個人再生・自己破産などの債務整理をすることになります。
どの手続が適切かは、債務の金額と返済可能な金額によって異なります。
こちらも併せて弁護士に相談しましょう。

長期間経過している場合には時効の援用も検討する

遺産分割後に債務・借金が発覚するケースにおいて、長期間経過後に債権者が請求してくる場合が多いと思われます。
その期間が相当経過している場合には、消滅時効にかかっている可能性もあります。
5年以上経過している場合には弁護士に相談してみてください。

遺産分割協議後に新たな遺産が発覚した場合の事前対策

遺産分割協議後に新たな遺産が見つかると争いになってしまうことも少なくありません。
最初の遺産分割協議の内容で、新たな遺産が見つかった場合についての分け方・見つかった場合の管理方法などについて決めておくとよいでしょう。

遺産の調査をしっかり行う

前提として遺産の調査をしっかり行うことは必須です。
銀行口座や証券口座などはもちろん、不動産を所有しているような場合では名寄帳を取り寄せるなどして、遺産分割の意思決定に影響をするような遺産の調査を取りこぼして遺産分割を行うようなことがないようにしましょう。

新たな遺産が出てきた場合の対応を遺産分割協議書に記載しておく

相続人が突然亡くなってしまう場合も多いですので、事前に被相続人の遺産を全て把握して遺産分割協議をすることは難しいです。
このようなときにあとで争いとならないよう、新たな遺産が見つかった場合の遺産の処理方法について、遺産分割協議の内容に盛り込んでおくとよいでしょう。

相続税の申告を行った場合には修正申告が必要となる

遺産の額が基礎控除額を超えると、相続税の申告・納税を行わなければなりません。
相続税申告をしたあとに新たな遺産が見つかり、その遺産について遺産分割を行った場合には、新たに見つかって遺産分割を行った遺産についても相続税申告の対象に加えなければなりません。
その方法として、遺産が見つかった後に相続税の修正申告を行います。
修正申告をせずに税務調査が入ると過少申告加算税や重加算税がかかることになるので、自主的に修正申告をしましょう。

さいごに

被相続人が自身の相続発生を見越して準備をせずに、突然亡くなったような場合には、被相続人の遺産をすぐに発見できないような場合があります。
基本的には、新たに発覚した遺産について別途遺産分割をするのですが、それでも一度成立した遺産分割協議の内容があまりにも不公平だと感じる場合には、無効を主張できないか、弁護士に相談するようにしましょう。
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