- 遺言書で相続人の間に争いが起きないようにする
- 相続税対策(納税、節税)をする
- 法律問題は弁護士に、税金の問題は税理士に相談する
【Cross Talk 】相続対策には何をしたらいい?
子どもたちに負担をかけないようにそろそろ相続の対策をしたいのですが、何から手をつければいいでしょうか?
相続の対策には、大きく分けて相続人の間での争いの対策、納税対策、節税対策の3つがあると言われています。詳しくご説明しましょう。
お願いします!
相続対策をしたいけど何をどう進めて行けばいいかわからない、そんなお悩みを抱えた方は少なくないでしょう。 今回は、相続の具体的な対策について、法務・税務双方の視点から解説いたします。相続対策をお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
相続対策としてどのようなことを行うのか
- 不要な遺産はあらかじめ整理しておく
- 生前贈与などを活用して相続税対策をする
相続対策としてどのようなことをすればいいですか?
まず、不要な遺産を整理してください。その上で、相続人の間で争いにならないように、誰にどんな遺産を相続させるかを考えましょう。また、一定以上の遺産があれば相続税がかかりますから、相続税を抑える方策や、相続税がかかる場合には納税の資金を確保する方策を講じる必要があります。
遺産の整理
相続対策は、遺産を整理することから始めるといいでしょう。 遺産があちこちに散らばった状態のままですと、相続対策を講じるのも非常に煩雑で時間がかかりますし、相続対策が終わらないうちに相続が発生してしまうと、相続の手続きも時間がかかってしまいます。 そのため、使っていない預貯金口座を解約して預貯金をまとめる、不要な不動産を処分するなどして、遺産を整理することが必要になるのです。相続における問題点の確認
相続対策は、一般的に相続トラブルへの対策、節税対策、納税対策の3つに分類することができます。まず、相続トラブルへの対策とは、相続人の間でトラブルにならないようにするための対策です。 相続は、俗に「争族」と言われるほど、親族間に深刻な争いを引き起こすことがあります。 遺言書がない場合、誰が何を相続するかは相続人の間での話し合い(遺産分割協議)で決めることになります。 ところが、民法は相続人が相続する割合(法定相続分)を定めているにすぎず、また、相続人の間で合意があれば法定相続分と異なる遺産分割も可能とされています。そのため、誰がどのような遺産をどの程度相続するかで、親族間に激しい対立が生じてしまうことがあるのです。 そのような事態を避けるには、遺言書を作成することによって誰がどのように相続するかを決めておく必要があります。
次に節税対策ですが、遺産がある程度多くなると、相続人に相続税という税金が課されます。 この相続税は、遺産が多いほど税率が高くなります(10~55%)。 ですから、相続税が課せられないようにするとか、相続税が課されるとしても税額をできる限り低く抑えるといった節税対策が必要になるのです。
最後に、納税対策です。相続税の申告期限及び納税期限は、相続の開始があったことを知った日(一般的には被相続人が亡くなった日でしょう)の翌日から10ヶ月以内とされています。また、相続税は、原則として現金で一括納付しなければなりません。 そのため、節税対策をしても相続税が課せられることが予想される場合には、相続税を納付するための資金を確保する手段を講じておく必要があるのです。 資金確保の手段としては、換金に時間がかかる遺産を生前に処分して現金化しておく、生命保険を活用すする、納税資金にも配慮した遺言書を作成する、といった方法が考えられます。
相続税の節税対策
それでは、節税対策には、どのような手段があるのでしょうか。代表的な例をいくつかご紹介しましょう。・生前贈与の活用 相続によって遺産を取得した場合、相続税が課されることがあります。それならば生きている間に遺産を渡せばいいのかというと、そうとも限りません。生きている間の贈与(生前贈与)にも、贈与税という税金が課されるからです。
もっとも、贈与税にはいくつもの控除や特例があります。たとえば、1年間に贈与した財産の総額が110万円までであれば、贈与税はかかりませんし、婚姻期間が20年以上である配偶者から居住用不動産または居住用不動産を取得するための費用を贈与された場合、2000万円までは非課税とされます。
これらをうまく活用すれば、贈与税を課されることなく贈与をすることができます。非課税の生前贈与によって遺産を減らすことができれば、相続税を節税できるということになります。
・生命保険の活用
相続人が受け取った保険金の合計額が、500万円に法定相続人の数をかけた金額までであれば、相続人は非課税で取得することができます。
相続人が二人であれば、500万円に2をかけた1000万円まで非課税ということです。
そのため、一時払い(保険料一括払い)の終身保険等に加入して現金や預貯金を減らし、そのかわりに相続人が生命保険の保険金を受け取ることができるようにすれば、相続税を節税することができるのです。
・養子縁組の活用
相続税には、基礎控除があります。わかりやすくいえば、遺産が基礎控除の範囲であれば、相続税は課税されません。
基礎控除は、次の計算式により算定されます。
3000万円+(600万円×法定相続人の数)
この計算式をご覧になればおわかりになると思いますが、相続人の数が多いほど基礎控除は大きくなります。そのため、孫と養子縁組するなどして、法定相続人の数を増やすことで、相続税を節税することができるのです。 もっとも、ここで法定相続人として扱われる養子の数には上限があり、実子がいる場合は1人だけ、実子がいない場合でも2人までしか、法定相続人として扱われません(上限がないと養子縁組によって無制限に基礎控除を拡大することができることになってしまうので)。
相続対策を相談すべき専門家
- 相続対策は専門家に相談すべき
- 税に関するご相談は税理士に、争いを防ぐためのご相談は弁護士に
相続対策には色々な方法があることがわかりました。素人には難しいので専門家に相談したいのですが、誰に相談すればいいのでしょうか?
相続対策のうちで、節税対策、納税対策は税理士に、相続人の間で争いを避けるための対策は弁護士にご相談するといいでしょう。
相続に関する専門家がそれぞれどのようなことをしているか
相続に関係する専門家には、弁護士、司法書士、行政書士、税理士など色々な種類があります。 弁護士は法律の専門家で、法律的な問題を全般的に取り扱うことができます。 司法書士は登記の専門家で、不動産を相続した場合に名義変更の手続きを依頼することができます。 行政書士は書類作成の専門家で、遺言書や遺産分割協議書等の作成を依頼することができます。 税理士は税務の専門家で、相続税の申告を依頼することができます。税金の心配があるならば税理士にご相談
税金の心配がある場合、節税対策や納税対策をしなければなりません。 これらの対策を十分に行うには、税法に関する専門的知識が不可欠となりますから、税務の専門家である税理士に相談するべきです。争いを起こさないための対策であれば訴訟を取り扱う弁護士にご相談
遺言書の作成など相続人の間で争いを生じさせないための対策については、法律問題全般の専門家である弁護士に相談することをおすすめします。 弁護士は、あらゆる法律的な問題を取り扱うことができ、裁判所における訴訟、調停、審判といった手続きの代理人となることができます。弁護士は、常に様々な紛争に関与し、その解決に向けた業務を行いますから、相続でどのような争いが起きるのか、争いを起こさないようにするにはどうしたらいいのかなどといったことについて、豊富なノウハウを持っているのです。これに対し、司法書士の主たる業務は登記に関する業務であり、裁判所において代理人となることができる分野は限定されていますし、行政書士には裁判所における代理権がありません。 そのため、司法書士や行政書士は、相続で起こる争いについて対応できる範囲が限られます。したがって相続に関して争いの対策を講じるには、弁護士に相談するべきといえます。
まとめ
このページでは、相続の対策について解説しました。 相続人の間で争いが生じたり、相続人が相続税の負担で苦しむことになったりしないよう、専門家に相談して適切な相続対策をしてください。
- 死亡後の手続きは何から手をつけたらよいのかわからない
- 相続人の範囲や遺産がどのくらいあるのかわからない
- 手続きの時間が取れないため専門家に任せたい
- 喪失感で精神的に手続をする余裕がない
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