まかせるなどの曖昧な文言で問題にならないように、適切に遺言をする方法を解説いたします。
ざっくりポイント
  • 「まかせる」など曖昧な文言で遺言をしないように注意
  • 曖昧な文言は裁判などで争いになる可能性がある
  • 文言が曖昧な場合遺言者の意思に基づいて解釈される
目次

【Cross Talk 】まかせると遺言に記載しても大丈夫?

「遺産については長男に全てまかせる」と遺言書に記載しました。これで相続は安心ですよね?

「まかせる」などの曖昧な文言で遺言書を作成すると、どのような意味で書いたのかはっきりしないので、争いになってしまう可能性があります。注意してください。

まかせるなどの曖昧な文言には注意すべきなんですね。適切な対処法についても教えてください!

まかせるなどの曖昧な文言を遺言に記載する場合の問題点を解説いたします

全ての遺産をまかせるなど、曖昧な文言が遺言書に記載されている場合、どのような意味なのかを解釈しなければなりません。複数の意味に解釈できる場合、どういう意味で書かれたのかをめぐって、争いに発展してしまう可能性もあるのです。 そこで今回は、まかせるなどの曖昧な文言の問題点や、適切な遺言をするためのポイントなどを解説いたします。

「まかせる」という遺言でどんな問題があるのか?

知っておきたい相続問題のポイント
  • まかせるなどの曖昧な文言で遺言をすると、正確な意味が特定できない可能性がある
  • 曖昧な文言は争いに発展する可能性があるので注意

私の遺産は長男に任せるつもりで、遺言書にもそう記載する予定です。問題はありますか?

まかせるなどの曖昧な文言で遺言をすると、正確な意味が特定できずに争いになる可能性があるので、注意してください。

「まかせる」でどんな解釈が成り立つか?

遺言書に「まかせる」と記載されている場合、一般に複数の解釈が成り立ちます。 たとえば、被相続人(亡くなった方)が作成した遺言書において、「私の遺産については、全て長女にまかせることにします」と記載されているような場合です。 まかせるという言葉は抽象的なので、遺産をまかせると言っても、具体的にどうしたいかは明確ではありません。

遺産を全てまかせるという記載については、一般に以下のどちらの意味なのか問題になります。

・遺産をその方に全て与えるという意味(包括遺贈)
・遺産の手続きについてその方に全て任せるという意味

相手に遺産を与えることと、相手に遺産の手続きを任せることは、大きく内容が異なります。 まかせるという抽象的な文言からは、一般にどちらの意味とも解釈できるので、どのような意味なのかを確定する必要があるのです。

文言が曖昧な場合には遺言者の意思を解釈する

まかせると記載されているなど、遺言書の文言が曖昧な場合には、遺言者がどのような意味で記載したのか、遺言者の意思を解釈すべきとされています。 つまり、まかせるという言葉の意味を解釈する場合は、言葉の辞書的な意味だけで判断するのではなく、遺言者の意思に基づいて解釈しなければならないということです。

裁判などにおいて、まかせるなど抽象的な言葉の意味を解釈する場合、遺言書の他の記載との関連性や、遺言書が作成された当時の事情などを総合的に考慮して、遺言者の真意を探求すべきとされます。 様々な事情を総合的に考慮したうえで言葉の意味を判断するため、同じまかせるという文言であっても、どのような意味で記載されたのか、ケースによって結論が異なる場合が少なくありません。

実際の裁判においては、まかせるという言葉の意味について、遺産を包括遺贈する意味だと判断されたケースもあれば、遺産分割の手続を中心となって行う意味だと判断されたケースもあります。

遺産を渡したいときの記載方法

相続人以外の方に遺産を渡したい場合は、遺贈という方法があります。 遺贈とは、遺言によって、亡くなった方の遺産の全部または一部を、相続人以外の方に引き継がせることです。 遺贈の基本的な記載方法としては、「土地AについてはBに遺贈する」、「A銀行の預貯金はBに遺贈する」などがあります。

相続分の指定・遺産分割の方法を指定したい場合の記載方法

相続分の指定とは、相続人が遺産をどの割合で相続するかを定めるものです。 相続分の指定の基本的な記載方法としては、「妻の相続分を1/3、長男の相続分を1/3、次男の相続分を1/3とする」などがあります。 遺産分割方法の指定とは、文字通りに遺産を分割する方法を指定することです。

遺産分割方法の指定の基本的な記載方法としては、「妻に不動産を相続させ、長男に預貯金を相続させる」などがあります。 また、どの不動産や預貯金か特定できるように、土地の所在地や銀行名・口座番号などを具体的に記載することが重要です。

「まかせる」のような曖昧な遺言がある場合に当事者になったときには

知っておきたい相続問題のポイント
  • 相続人全員が合意して遺産分割協議をする方法がある
  • 遺産分割協議が成立しない場合は、法的な手段として調停や審判がある

父の遺言の内容が曖昧なので、このままでは相続手続きを進めることができません。

相続人全員が合意して遺産分割協議をすれば、遺言とは異なる方法で遺産分割が可能です。

他の当事者と遺言の内容についてどう考えるかをすりあわせる

遺言の文言が曖昧な場合は、相続人などの他の当事者と話し合いをして、遺言の内容についてどう考えるかすりあわせをすることが重要です。 曖昧な文言の意味をどう解釈するかについて、相続人ごとに考えが異なってしまうと、争いに発展する可能性があります。

曖昧な言葉の意味については、当事者同士であらかじめきちんと話し合っておき、考えを統一させるのがポイントです。

全員の合意で遺産分割協議を行う

遺言の内容が曖昧な場合などは、相続人全員が合意して遺産分割協議を行えば、遺言とは異なる方法で遺産を分割することができます。 法的に有効な遺言がある場合、遺言の内容に従って遺産分割を行うのが原則です。

しかし、相続人全員が合意して遺産分割協議をすれば、遺言の内容によらずに遺産分割をすることが認められています。 ただし、相続人全員の合意が必要なので、相続人のうち1人でも反対すれば、遺産分割協議を成立させることはできません。また、遺言に相続人以外の受遺者への遺贈や、遺言執行者の指定などが含まれている場合は、受遺者や遺言執行者の同意も必要です。

法的な手段を利用する

反対者がいて遺産分割協議が成立しない場合は、法的な手段を利用して解決を図る方法があります。 遺産分割協議が成立しない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることが可能です。

遺産分割調停とは、第三者である調停員会を交えて話し合いをし、当事者が納得する解決策を見出す手続きです。調停の内容に合意するかは当事者の自由なので、合意しなければ調停は成立しません。 調停が不成立となった場合は、手続きは遺産分割審判に移行します。遺産分割審判においては、裁判官が遺産分割の方法を判断します。

法的な手段を利用する場合は、専門的な手続きの中で妥当な解決方法を見出す必要があるので、相続問題の経験が豊富な弁護士に相談するのがおすすめです。

まとめ

全ての遺産をまかせるなど、曖昧な文言を遺言書に記載した場合、どのように解釈するかをめぐって争いになる可能性があります。 曖昧な文言が記載された遺言の当事者になった場合は、相続人全員が同意して遺産分割協議をすると、遺言の内容とは異なる遺産分割をすることが可能です。 曖昧な文言による遺言のトラブルを防ぐには、遺言書に何をどのように記載するかについて、相続問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

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