遺産分割後に新たな相続人が発覚したらどうなるのかについて解説します!
ざっくりポイント
  • 遺産分割協議は相続人全員でしなければならない
  • 新たな相続人が発覚すれば遺産分割をやり直すことになる
  • 死後認知の場合は遺産分割をやり直す必要はない
目次

【Cross Talk】遺産分割は相続人全員でしなければならない!

遺産分割協議ができたので、銀行に行って預金を解約しようとしたところ、相続人が漏れていると言われ、手続ができませんでした。どうすればいいですか?

遺産分割協議は相続人全員でしなければならないので、相続人が一人でも欠けていた場合、遺産分割協議は無効になります。したがって、原則として遺産分割協議をやり直すことになります。

一からやり直しになってしまうんですね…

遺産分割後に新たな相続人が発覚したら遺産分割をやり直す?

戸籍の調査が不十分であった場合など、遺産分割協議が終わった後に遺産分割に参加すべき相続人が欠けていたことが発覚することがあります。 このような場合、既に行われた遺産分割協議の効力はどうなるのでしょうか?新たな相続人をまじえて遺産分割協議をやり直す必要があるのでしょうか? 今回は遺産分割協議が終わった後に新たな相続人が発覚した場合の対応を解説します。

遺産分割協議に相続人が1人でも含まれていなかったら遺産分割協議は無効

知っておきたい相続問題のポイント
  • 遺産分割協議は相続人全員でしなければならない
  • 相続人が一人でも漏れていた場合は遺産分割協議が無効になる

遺産分割協議をした後に相続人が漏れていたことがわかったら、遺産分割協議はどうなるのですか?

遺産分割協議は相続人全員でする必要があるため、相続人が1人でも漏れていた場合、遺産分割協議は無効となります。

相続人が複数いる場合、遺産分割協議は相続人全員で行わなければなりません。
そのため、一人でも相続人が漏れていた場合には遺産分割協議は無効となり、漏れていた相続人を含めた相続人全員で改めて遺産分割協議をする必要があります。

なお、相続人全員で行うといっても、相続人全員が一堂に会する必要まではありません。
相続人の一部が遠隔地に居住しているような場合には、電話やメール等を用いて協議をし、協議がまとまったときは、郵送により持ち回りで相続人全員が署名押印することでも、遺産分割協議書を作成することができます。

遺産分割後に新たな相続人が現れる場合とは?

知っておきたい相続問題のポイント
  • 戸籍等による相続人の調査が不十分で相続人が漏れてしまう場合がある
  • 死後認知や離婚の無効によって子どもや配偶者がいたことになり、新たな相続人が現れる場合がある

遺産分割をした後に新たな相続人が現れるのはどのようなケースが考えられますか?

遺産分割協議をする前提として、戸籍謄本等を取り寄せて相続人を調査する際、その調査が不十分で相続人が漏れていたケースなどが考えられます。また、きちんと相続人の調査をしていても、遺産分割後に死後認知や離婚の無効によって新たな相続人が現れる場合もあります。

「死後認知」によって子どもが新たに相続人になった

認知されていない子どもは、父を被告として認知の訴えを提起することができます。
また、父が死亡した後であっても、死亡から3年以内であれば検察官を被告として認知の訴えを提起することができます。この訴えによってされる認知を死後認知といいます。

死後認知の制度があるため、被相続人の死亡後に相続人を調査し、判明した相続人全員で遺産分割協議をしたところ、後日、死後認知によって被相続人との親子関係が認められた子どもが新たな相続人として現れる場合があります。
もっとも、新たに相続人になった子どもは、既に行われた遺産分割のやり直しを求めることができるわけではなく、価額(金銭)のみによる支払いを請求できます(民法910条)。

相続人調査が不十分だった

遺産分割協議は相続人全員で行わなければならないため、相続が開始した後は戸籍謄本等で相続人の調査をします。
しかし、複数回の婚姻歴や離婚歴があるなど人間関係が複雑になる場合、相続人調査が不十分で相続人が漏れていることがあります。
相続人調査が不十分で一部の相続人が漏れたまま遺産分割協議をした場合、死後認知の場合と異なり遺産分割協議は無効となり、改めて相続人全員で遺産分割協議が必要です。

関連記事:兄弟が相続人になる場合とは?相続分・遺留分とともに解説

遺産分割後に離婚が無効になった

当事者の一方が離婚をする意思がないのに他方の当事者が勝手に離婚届を提出したような場合、離婚は無効であり、離婚意思のなかった当事者は離婚の無効を確認する訴えを提起できます。
そのため、被相続人が戸籍上は離婚していたことから、血族相続人で遺産分割協議をしたところ、離婚の無効が確認されたことで相続開始時に配偶者がいたことになり、相続人の範囲や割合が変わることがあるのです。
この場合も、配偶者を含めた相続人全員で改めて遺産分割協議をする必要があります。

関連記事:遺言書を無効にしたい!必要な手続きについて確認

新たな相続人を出さないためにできること

知っておきたい相続問題のポイント
  • 相続人の調査を慎重に行う
  • 死後認知や離婚無効の訴えが提起されている場合は裁判が終わるのを待つ

新たな相続人を出さないようにするにはどうしたらいいでしょうか?

まず、調査が不十分で相続人が漏れることがないよう、慎重に調査をすることが重要です。また、遺産分割協議をしようとする際に既に死後認知や離婚無効の訴えが提起されている場合には、新たな相続人が出る可能性があるので、裁判の結果が出るのを待つ方がいいでしょう。

新たな相続人が現れた場合、いったん成立した遺産分割協議をやり直さなければならないことがあるなど、他の相続人にとって大きな負担となります。
新たな相続人を出さないためには、相続人の調査を慎重に行い、戸籍上で明らかな相続人が漏れることがないようにすることが挙げられます。

もっとも、死後認知や離婚無効の場合、相続人の調査をした後に出た裁判の結果に左右されるため、相続人の調査を慎重に行うだけでは新たな相続人の出現を防ぐことはできません。
そこで、遺産分割をしようとする際、既に死後認知や離婚無効の訴えが提起されている場合には、その裁判が確定して新たな相続人が出現するかどうかが決まるまで、遺産分割協議を保留する方がいいでしょう。

遺産分割協議成立後に新たな相続人が発覚しても遺産分割協議をやり直さなくて良い場合

知っておきたい相続問題のポイント
  • 死後も認知を求めることができる
  • 死後認知で相続人になった場合、既に遺産分割が終わっているときは価額の支払いを請求できる

婚姻関係にない男女の間に生まれた子どもとその父親との間には、父の認知によって法律上の父子関係が成立します(民法779条)。 父が任意に認知をしない場合、子どもやその直系卑属等は認知の訴えを提起することができます。この訴えは、父の死亡の日から3年以内に提起すればいい(民法787条本文)ので、遺産分割後に認知の裁判が確定し、認知された子どもが相続人になるという事態がありえます。

このような場合、これまでの解説からすると遺産分割協議をやり直さないといけないのではないかと思われるかもしれません。 しかし、民法は「相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続人が既にその分割その他の処分をしたときは、価額のみによる支払の請求権を有する。」と定めています(民法910条)。 したがって、遺産分割協議後に死後認知によって相続人となった方がいる場合、遺産分割協議をやり直す必要はなく、新たな相続人に価額(金銭)を支払えばいいということになります。

まとめ

遺産分割協議成立後に新たな相続人が発覚した場合について解説しました。これから遺産分割をしようとされている方は、ぜひ参考にしてください。

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