高齢者が財産管理を適切に行うための法的な手段としてどのようなものがあるかを確認
ざっくりポイント
  • 高齢者は急に大きな資産を動かす必要がある場合がある
  • 高齢者は認知機能の低下によって財産管理ができなくなることがある
  • 高齢者の財産管理を適切に行うための法的な手段
目次

【Cross Talk 】自分の老後の財産管理について注意することはありますか?

私は先日会社を定年退職しまして、これから老後を迎えることになります。幸い特に健康上何かリスクになるようなこともないので、いろいろ楽しもうと思うのですが、老後の財産管理で何か気をつけておくことと、検討しておくべき制度はありますか?

病気や怪我・介護などで急に大きなお金を動かす必要があるのが老後です。また加齢や認知症によって判断能力が不十分になってしまうときちんと財産管理ができなくなる可能性があります。いくつか検討するべき制度があるので確認しましょう。

是非お願いします。

高齢になったときの財産管理のための制度について

高齢になると判断能力が衰えるなどして日常生活に支障をきたすこともあります。そのような場合に備えて財産管理をすることができる制度がいくつかあります。高齢になったときにどのような資金需要があるのか、何も対策をしないとどうなるのかを知って、どのような財産管理に関する制度があるか、使い方などについて確認しましょう。

高齢者の財産管理上で注意すべきこと

知っておきたい相続問題のポイント
  • 高齢者は急に大きなお金を動かす可能性がある
  • 判断能力が不十分になると財産管理ができなくなるケース

高齢になると財産管理にどんな問題が発生しますか?

病気や怪我をするとそのまま亡くなるまで介護が必要になったり、場合によっては自宅をリフォームする・介護老人ホームに入るなどの費用負担を強いられることを考えておかなければなりません。

高齢者の財産管理ではどのような配慮が必要でしょうか。

急に大きなお金を動かす必要があることがある

高齢者の財産管理上やはり把握しておかなければならないのは、急に大きなお金を動かす可能性があることです。 病気や怪我のリスクも高まり、高度な治療を受ける必要が発生しがちで、その病気や怪我が原因で長期の入院・通院が必要になったり、介護・介護老人ホームへの入所・自宅のリフォームなどが発生することが予想されます。 そのため、急に大きなお金を動かさなければならない必要があることがあります。

判断能力が不十分になると財産管理ができなくなるおそれがある

もう一つ検討しておかなければならないのが、判断能力が不十分となることで財産管理が難しくなってしまうことです。 加齢によりどうしても判断能力は衰えてきますし、認知症を発症したような場合には日常生活の管理もできなくなってしまいます。

自宅に一人で暮らしているような場合に、自宅に上がりこんでくる業者に不要な着物や保険商品の購入・リフォームなどの契約をさせられるなどの被害に遭うようなことも頻繁に発生しています。 また、判断能力が低下して自分のやっていることがわからなくなるような状態になると、意思能力がないとして契約が無効となることがあります(民法3条の2)。 こうなってしまうと、自宅で介護をするために自宅をリフォームしたり、介護老人ホームに入るなどの契約をすぐにできなくなってしまいます。

以上から、大きなお金を、本人以外の方が本人のためにすぐに動かさなければならないというケースが発生する、ということを念頭に入れておかなければならなくなります。

高齢者の財産管理のための制度

知っておきたい相続問題のポイント
  • 高齢者の財産管理のための制度3つの種類
  • 3つの種類の使い分け

なるほど…高齢者の財産管理に関してはどのような制度があるのでしょうか。

判断能力を失ったときに利用する成年後見制度の他、信託契約によって財産管理をする家族信託・財産管理委任契約を結んでおくなどの方法があります。

では、高齢者の財産管理のための制度にはどのようなものがあるのでしょうか。

成年後見制度

本人の判断能力が不十分になったときに、本人のために療養看護・財産管理を家庭裁判所によって選任された成年後見人にしてもらうのが成年後見制度です。 上述したように、加齢・認知症などが原因で、判断能力を失った場合には、生活に必要な契約などの行為を行うことができなくなってしまいます。 このような場合に、本人の保護のために成年後見人と呼ばれる役職の人を家庭裁判所が選任して、財産管理をしてもらいます。

成年後見制度には法定後見制度と任意後見制度の2種類があります。 法定後見制度は、民法の規定に従って行なわれるもので、本人が判断能力を失ったあとに家族などが家庭裁判所に申立てをして行います。 そのため、本人は誰に成年後見人となってもらって財産管理を任せるかわからない可能性が高いです。

任意後見制度は、本人の判断能力がはっきりしているうちに、後見人となる人を選んでおき、自分の判断能力が無くなった段階で後見が開始するものです。 手続きに公正証書の作成が必要であったり、面倒があるのですが、自分の選んだ人を後見人にすることができるというメリットがあります。

詳しくは、「相続人に認知症の方がいる場合どうするの?成年後見人制度とは?」で詳しくお伝えしていますので、参考にしてください。 後述する家族信託・財産管理委任契約はともに本人が契約をするものですので、判断能力を失ったあとについては法定後見制度によらざるを得ないといえます。

家族信託

家族信託とは、特定の資産を家族である受託者にあずけて管理をしてもらって、そこから得られる利益を本人や家族などに還元してもらうという、民事信託契約を締結するものです。 単純に子どもが利益を受ける立場にして相続対策をするほか、本人が利益を受ける立場になり老後の対策をすることもあります。

成年後見は、療養看護・財産管理の観点から管理権を与えられるので、これから逸脱するような管理をすることができません。 家族信託によって預けておくと、受託者が契約の範囲で自分の判断で自由に管理を行うことができるというメリットがあります。 相続に関する法律の規定では問題解決が難しいような場合に利用することを検討しましょう。

財産管理委任契約

財産管理委任契約は、財産管理に関して契約で他人に代理権を与えて管理やその他生活上の事務を行なってもらうものです。 財産管理のためには、各種決済のために銀行で手続きをしたり、役所で手続きをするなどが必要になることがあります。 しかし、例えば病気や怪我で意識ははっきりしているけども、足が不自由になった・寝たきりになったような場合、判断はできても手続きをすることができない場合があります。 このような場合に、財産管理委任契約を利用して、財産管理などを行なってもらうのが良いでしょう。

まとめ

このページでは、老後の財産管理の制度などについてお伝えしました。 老後の財産管理についてはその人の状態、遺産の内容、本人や相続人の希望などによって用いるべき制度は異なってきます。 老後の財産管理について決めておきたいことがあるのであれば、なるべく早く弁護士に相談することをおすすめします。

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この記事の監修者

弁護士 鈴木 奏子
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