
- 必要書類は「作成する書類」「取り寄せる書類」「費用」の3つに分かれる
- 申立書は原本1通と、相手方の人数分の写しが必要
- 申立先は相手方のうち1人の住所地の家庭裁判所か、当事者が合意で定めた家庭裁判所
- 申立て前に揃わない戸籍は、申立て後に追加提出することもできる
Cross Talk 遺産分割調停の必要書類は「作成する書類」「取り寄せる書類」「費用」の3つに分かれる
遺産分割調停を申し立てたいのですが、どんな書類が必要ですか。
作成する書類と取り寄せる書類、それに費用の3つに分かれます。一覧で確認していきましょう。
「遺産分割の話し合いがまとまらない…」というときに利用されるのが、家庭裁判所での遺産分割調停です。
しかし、調停を申立てるには、戸籍や財産資料など、さまざまな書類を事前に揃える必要があります。
書類の不備があると手続きが進まず、調停が長引いてしまうこともあるので、しっかりと知識を身につけておくことが大切です。
必要書類は、大きく「自分で作成する書類」「役所などから取り寄せる書類」「収入印紙・郵便切手などの費用」の3つに分かれます。この記事では、まず冒頭に一覧のチェックリストを示したうえで、書類ごとの入手先と注意点、相続人の構成によって変わる戸籍の範囲、戸籍集めを楽にする制度、相手に住所を知られたくない場合の対応まで解説します。
スムーズに調停を進めるために、ぜひ参考にしてください。
遺産分割調停の必要書類一覧(チェックリスト)

- 必要書類は「作成する書類」「取り寄せる書類」「費用」の3つに分けて考える
- 入手先が役所・法務局・金融機関と分かれるため、早めの着手が大切
必要書類の全体像を先に知りたいです。
3つの分類で一覧にまとめました。まずはここで全体を確認しましょう。
作成する書類・取り寄せる書類・費用の3分類一覧表
遺産分割調停の必要書類は数が多く、何から手をつければよいか分かりにくいものです。そこで、次の3つに分類して整理すると全体像がつかめます。
- 作成する書類:申立書や各種目録など、自分で書いて提出するもの
- 取り寄せる書類:戸籍や残高証明書など、役所や金融機関から取得するもの
- 費用:収入印紙と連絡用の郵便切手
以下が全体のチェックリストです。印刷して、揃った書類から消し込んでいくと漏れを防げます。
| 分類 | 書類 | 入手先 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 作成する 書類 |
遺産分割調停申立書 | 家庭裁判所の書式 | 原本1通+相手方の人数分の写し |
| 当事者目録・遺産目録・特別受益目録 | 申立書の別紙。相手方にも送付される | ||
| 申立ての実情(事情説明書(遺産分割)) | 申立てに至った事情を記載。裁判所により名称・書式が異なる | ||
| 相続相関図 | 適宜様式 | 決まった書式はない | |
| 進行に関する照会回答書(遺産分割) | 家庭裁判所の書式 | 標準的な申立添付書類 | |
| 送達場所等届出書 | 書類の送達先を届け出る | ||
| 取り寄せる書類 | 被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍 (除籍・改製原戸籍を含む) |
市区町村役場 | 1通450円/750円。連続していることが必要 |
| 相続人全員の戸籍謄本 | 1通450円 | ||
| 相続人全員の住民票または戸籍の附票 | 3か月以内などの指定がある場合あり | ||
| 不動産の登記事項証明書・固定資産評価証明書 | 法務局・市区町村役場 | 遺産に不動産がある場合。評価証明書は最新年度 | |
| 預貯金の残高証明書または記帳済み通帳の写し | 金融機関 | 遺産に預貯金がある場合。現時点の残高 | |
| 費用 | 収入印紙 | 郵便局など | 被相続人1人につき1,200円 |
| 連絡用の郵便切手 | 郵便局・裁判所の売店 | 裁判所ごとに異なる。保管金の電子納付も可 |
なお、この一覧は標準的なケースのものです。裁判所から追加の書類を求められることもあるため、申立先の家庭裁判所の案内もあわせて確認してください。
各書類の入手先(家裁・市区町村・法務局・金融機関)
入手先が分かれている点が、この手続きの負担が大きい理由です。それぞれ次のように整理できます。
- 家庭裁判所:申立書と各種目録の書式(裁判所のウェブサイトからダウンロードできます)
- 市区町村役場:戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本、住民票、戸籍の附票、固定資産評価証明書
- 法務局:不動産の登記事項証明書、公図
- 金融機関・証券会社:預貯金や有価証券の残高証明書
申立書の書式と記載例は、裁判所のウェブサイトで公開されています。書式に沿って記載すれば必要な項目が埋まるようになっているため、まずは書式を入手することから始めるとスムーズです。
有効期限など取得時の注意の早見
取り寄せる書類には、取得の時期に関する注意があります。先に取りすぎると取り直しになることもあるため、順番に気を配りましょう。
- 住民票や戸籍の附票:取得から3か月以内などの期限を指定されることがあります(家庭裁判所によって運用が異なります)
- 固定資産評価証明書:最新年度のものを求められます。年度が替わると取り直しになります
- 預貯金の残高証明書:死亡日時点ではなく、現時点の残高を証明するものを求められるのが一般的です
- 通帳の写し:記帳してから写しを取ります(未記帳のままだと直近の取引が反映されません)
戸籍については有効期限の指定は通常ありませんが、被相続人の出生までさかのぼる作業に時間がかかります。先に戸籍の収集を始め、期限のある書類は最後に取得するのが効率的です。
作成する書類(申立書と各種目録)

- 申立書は簡潔だが、当事者目録などの別紙をあわせて作成する必要がある
- 目録は相手方にも送付されることを前提に記載する
自分で作成する書類には、どんなものがありますか。
申立書と各種目録です。それぞれの役割を確認していきましょう。
遺産分割調停の申立ての主な必要書類は以下のとおりです。
- 遺産分割調停申立書
- 当事者目録
- 遺産目録
- 特別受益目録
- 申立ての実情(事情説明書)
- 相続相関図
各書類の役割や記載内容について、詳しくみていきましょう。
なお、上記の「申立ての実情(事情説明書)」は、裁判所の案内では「事情説明書(遺産分割)」として標準的な申立添付書類に位置づけられています。このほか、標準的な申立添付書類として「進行に関する照会回答書(遺産分割)」が、その他の書式として「送達場所等届出書」が挙げられています。いずれも裁判所の書式が用意されていますので、申立先の家庭裁判所のウェブサイトで確認してください。
遺産分割調停申立書(原本1通+相手方の人数分の写し)
遺産分割調停申立書とは、家庭裁判所に「遺産分割調停を始めてほしい」と申し出るための正式な書類です。
遺産分割調停申立書には、主に以下のような内容を記載します。
- 申立書を提出する家庭裁判所の名称と、作成年月日
- 申立人の記名押印
- 被相続人の氏名・亡くなった日・最後の住所
- 申立ての趣旨・理由
申立書自体は簡潔で記載する事項も多くありませんが、補完するための別紙として、当事者目録などの書類の作成が必要です。
提出する部数にも注意が必要です。裁判所の案内では、申立書は原本1通のほか、その写しを相手方の人数分提出することとされています。相手方が3人であれば、原本1通と写し3通の合計4通を用意することになります。書式と記載例は裁判所のウェブサイトで公開されているので、そちらを利用すると確実です。
当事者目録
当事者目録は、遺産分割の対象となる当事者を一覧に表した書類です。
当事者には、被相続人だけでなく相続人も含まれ、一覧化することで、遺産分割について誰に対して考慮すればいいかを把握しやすくなります。
当事者目録の主な記載事項は、以下のとおりです。
- 申立人か相手方か
- 住所
- 氏名
- 生年月日
- 被相続人との続柄
記載する際の注意点として、不動産登記記録上の住所・氏名が、住民票上の住所や戸籍上の氏名と異なる場合は、不動産登記記録上の住所・氏名も記載するようにしましょう。
遺産目録(不動産は登記事項証明書どおりに記載)
遺産目録とは、遺産分割の対象となる遺産を一覧にした書類です。
遺産を一覧化することで、不動産や預貯金など、どのような遺産が遺産分割の対象になるかを把握しやすくなります。
遺産目録に記載する主な遺産の項目と記載のポイントは、以下のとおりです。
- 不動産:登記事項証明書(未登記建物は固定資産評価証明書)のとおりに記載する、固定資産評価額は直近の年度の額を記載する
- 預貯金:現在残高は必ず直近現在の残高証明書を取得し、そのとおりに記載する
- 株式:原則として、証券会社などが発行する証明書などのとおりに記載する
- 有価証券:原則として、金融機関などが発行する証明書などのとおりに記載する
- 保険、現金、その他:解約返戻金のある保険はその解約返戻金額を記載する、被相続人以外が受取人である死亡保険金は原則として遺産として扱われない
不動産については、住所(住居表示)ではなく、登記事項証明書に記載された所在・地番・家屋番号のとおりに書く点が重要です。普段使っている住所とは表記が異なることが多く、間違えやすいところです。
特別受益目録
生前贈与や遺贈などによって、被相続人から受けた特別な利益のことを、特別受益といいます。
特別受益を受けた方がいる場合に、遺産を法定相続分でそのまま分割してしまうと、特別受益の分が上乗せされるため、不公平な結果になってしまいがちです。
そこで、特別受益を受けた分だけ相続分を減らすことで、公平な分割結果になるように調整します。
特別受益目録は、誰がどのような特別受益を受けたかを一覧として表す書類です。
特別受益があると主張する場合に、特別受益目録を記載して提出します。
特別受益目録の記載のポイントは、以下のとおりです。
- 特別受益目録には、受益行為の内容と時期を具体的に記載する
- 受益当時金額の欄には、贈与当時の金額を記載する
- 裏付け資料がある場合は、甲1や甲2などの番号をつけて添付する
申立ての実情(事情説明書)
申立ての実情とは、遺産分割調停の申立てをするに至った、具体的な事情を記載する書類です。
この書面は、裁判所によって名称や書式が異なります。裁判所の一般的な案内や東京家庭裁判所では「事情説明書(遺産分割)」、名古屋家庭裁判所では「申立ての実情」という書式が用意されていますが、記載を求められる内容は同じ趣旨のものです。申立先の家庭裁判所の書式を確認してください。
遺産分割調停申立書には詳細な事情を記載する項目がないため、申立てに至った事情を詳しく記載します。
申立ての事情に記載する項目例と、記載のポイントは以下のとおりです。
- 遺産の範囲:遺産目録に記載されている以外に、申立人が把握していない遺産があるかなどを記載する
- 遺言書の有無:遺言書の有無、種類、検認の有無などを記載する
- 遺産の使用・管理状況:誰がどのような遺産を使用・管理しているかを記載する
- 当事者間における分割協議の有無:当事者間で遺産分割協議をしたか、協議がまとまらなかった理由などを記載する
申立ての実情をはじめ、提出した書類の写しは相手方にも送付されます。感情的な非難を書き連ねると、かえって話し合いが進みにくくなることがあるため、事実を淡々と記載するのが望ましいでしょう。
相続相関図(適宜様式で可)
相続相関図とは、被相続人と相続人との関係をわかるようにした図のことです。
前婚の子どもとの間に相続人が居る、代襲相続が生じているなどの場合、相続関係が複雑になることがあります。
そのため、遺産分割協議で話し合いをする際に、相続人に誰がいて、どれだけの相続分があるかをきちんと把握しておかないと、相続分を勘違いして交渉していたといったことになりかねません。
そのために作成するのが相続相関図です。
法律上必須とされるものではないため、決まったフォーマットはありませんが、親子関係を実線で、婚姻関係を二重線でつないで作成するのが一般的です。
各相続人の氏名や続き柄、生年月日、既に亡くなっている場合には死亡した日なども併せて記載しておくようにしましょう。
取り寄せる書類(1):身分関係の資料(戸籍・住民票)

- 被相続人の戸籍は、出生から死亡まで連続してすべて集める必要がある
- 相続人が誰かによって、追加で必要になる戸籍の範囲が変わる
戸籍は、どこまで集めればよいのでしょうか。
相続人が誰かによって範囲が変わります。まず共通のものから確認しましょう。
身分関係資料は、遺産分割調停の当事者について身分関係を証明するための資料です。
身分関係資料の代表例として、以下のものがあります。
- 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本類(戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本など)
- 被相続人の住民票除票または戸籍の附票(被相続人の最後の住所を証明するもの。死亡の事実自体は戸籍(除籍)謄本で確認します)
- 相続人全員の現在の戸籍謄本と、住民票または戸籍の附票(相続人本人であることと身分関係の証明)
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍(除籍・改製原戸籍含む)
最も手間がかかるのが、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍を集める作業です。「連続した」というのがポイントで、途中に抜けがあってはいけません。
戸籍は、婚姻や転籍、法改正などのたびに新しく作り替えられます。そのため、1人の人生をたどるには、現在の戸籍謄本だけでなく、その戸籍が閉じられた「除籍謄本」や、法改正前の「改製原戸籍謄本」をさかのぼって取得する必要があります。転籍を繰り返している方だと、10通以上になることも珍しくありません。
この戸籍をすべて集めることで、被相続人に認知した子や前婚の子がいないかを確認でき、相続人を確定できます。裁判所が相続人の範囲を把握するために必要な資料であるため、一部でも欠けていると原則として補充を求められます。
相続人全員の戸籍謄本・住民票(取得から3か月以内などの指定に注意)
被相続人の戸籍に加えて、相続人本人であることを証明するため、相続人全員の現在の戸籍謄本が必要です。あわせて、相続人全員の住民票または戸籍の附票を提出します。
住民票や戸籍の附票については、取得から3か月以内のものを求められることがあります。裁判所によって運用が異なるため、申立先の家庭裁判所の案内を確認してください。期限を過ぎると取り直しになるため、戸籍の収集の目処が立ってから取得するのが効率的です。
相続人の構成で変わる追加書類(代襲相続・数次相続・兄弟姉妹相続)
見落とされやすいのが、相続人が誰かによって必要な戸籍の範囲が変わるという点です。裁判所の案内では、次のように整理されています。
| 相続人の構成 | 必要になる戸籍など |
|---|---|
| 共通(すべてのケース) | 被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍/相続人全員の戸籍謄本/被相続人の子(およびその代襲者)で死亡している方がいる場合、その方の出生から死亡までのすべての戸籍/相続人全員の住民票または戸籍の附票/遺産に関する証明書 |
| 父母・祖父母が相続人 (第二順位) |
上記に加えて、死亡している直系尊属(相続人と同じ代および下の代に限る)の死亡の記載のある戸籍 |
| 配偶者のみ、または兄弟姉妹・甥姪が相続人 (第三順位) |
上記に加えて、被相続人の父母の出生から死亡までのすべての戸籍/直系尊属の死亡の記載のある戸籍/死亡している兄弟姉妹の出生から死亡までのすべての戸籍/死亡している甥姪の死亡の記載のある戸籍 |
特に負担が重いのが、兄弟姉妹や甥姪が相続人になるケースです。被相続人に子も直系尊属もいないことを証明するため、被相続人の父母についても出生から死亡までのすべての戸籍を集める必要があり、収集する戸籍の数が一気に増えます。
また、被相続人の子がすでに亡くなっていて孫が相続人になる場合(代襲相続)は、亡くなった子についても出生から死亡までのすべての戸籍が必要です。その子にさらに別の子がいないかを確認するためです。
ご自身のケースでどこまで必要になるか判断がつかない場合は、申立先の家庭裁判所か弁護士に確認するとよいでしょう。
取り寄せる書類(2):遺産に関する資料(財産の種類別)

- 遺産目録に書いた財産は、それを裏づける資料をセットで提出する
- 残高証明書は死亡日時点ではなく、現時点の残高を求められるのが一般的
財産についての資料は、何を用意すればよいですか。
財産の種類ごとに決まっています。順番に確認しましょう。
遺産についての資料は、遺産目録に記載した遺産が実際に存在すること、その内容や評価額を客観的に証明するためのものです。財産の種類ごとに整理すると、次のようになります。
| 財産の種類 | 必要な資料 | 入手先 |
|---|---|---|
| 不動産 | 登記事項証明書、固定資産評価証明書、 (必要に応じて)公図・住宅地図 |
法務局・市区町村役場 |
| 預貯金 | 残高証明書、または記帳済みの通帳の写し | 金融機関 |
| 有価証券 | 残高証明書、預かり証、取引残高報告書の写しなど | 証券会社 |
| 自動車 | 車検証、登録事項証明書の写しなど | 手元・運輸支局 |
| 保険 | 保険証券の写し、解約返戻金額の証明書 | 手元・保険会社 |
不動産:登記事項証明書・固定資産評価証明書・公図など
遺産目録に記載した遺産のうち、不動産について証明するための資料です。不動産についての必要書類の代表例としては、以下のようなものがあります。
- 登記簿謄本又は登記事項証明書(不動産についての詳細情報を証明するもの)
- 固定資産税評価証明書(不動産の評価額の資料となるもの)
- 建物の配置を書き込んだ公図、または住居表示のある住宅地図(不動産の周辺状況の資料となるもの)
固定資産評価証明書については、最新年度のものを求められるのが一般的です。年度が替わると取り直しになるため、申立ての時期が年度をまたぎそうな場合は注意しましょう。また、原本の提出を求められるのが一般的です。
登記事項証明書についても、取得から一定期間内のものを求められることがあります。あわせて、被相続人名義になっているかどうかもこの機会に確認しておくとよいでしょう。
預貯金:残高証明書または記帳済み通帳の写し
預貯金については、残高証明書または記帳済みの通帳の写しを提出します。ここで間違えやすいのが、証明してもらう時点です。
相続税の申告では死亡日時点の残高証明書を使いますが、遺産分割調停では現時点(申立てに近い時点)の残高を証明するものを求められるのが一般的です。遺産分割では、分割の時点で存在する遺産を対象とするのが実務上の一般的な扱いだからです。相続税申告のために取得した残高証明書をそのまま流用できるとは限らない点に注意してください。
残高証明書を取得する際は、口座番号が記載されたものを依頼しましょう。定期預金がある場合は、税引後の経過利息も記載してもらうと、後の計算がスムーズです。通帳の写しで代える場合は、記帳を済ませてから写しを取ります。
有価証券・自動車・保険など
遺産目録に記載した遺産のうち、不動産以外について証明するための資料です。不動産以外の遺産についての必要書類の代表例として、以下のものがあります。
- 株式について証明する書類(預かり証や取扱証券会社の残高証明書など)
- 自動車について証明する書類(車検証や登録事項証明書など)
保険については、被相続人が受取人となっている保険や、解約返戻金がある保険が対象になります。保険証券の写しや、解約返戻金額の証明書を用意します。前述のとおり、被相続人以外が受取人に指定されている死亡保険金は、原則として受取人固有の財産であり、遺産分割の対象にはなりません。
遺言書・相続税申告書がある場合
遺言書や相続税の申告書がある場合は、それらの写しも提出します。
- 相続税に関する書類(既に相続税の申告をしている場合)
- 遺言書がある場合の遺言書
遺言書がある場合、その内容によっては、そもそも遺産分割の対象にならない財産が出てきます。自筆証書遺言のうち法務局の保管制度を利用していないものは、家庭裁判所の検認が必要です。検認を経ている場合は検認済みであることが分かる資料を、保管制度を利用している場合は遺言書情報証明書を、あわせて提出しましょう。
相続税の申告をすでに済ませている場合、申告書には財産の一覧と評価額が記載されているため、遺産の全体像を示す資料として有用です。
収入印紙・予納郵便切手などの費用

- 収入印紙は被相続人1人につき1,200円と決まっている
- 郵便切手の金額は裁判所ごとに異なり、改定されることもある
申立てには、いくらかかりますか。
裁判所に納める分は数千円程度です。内訳を確認しましょう。
遺産分割調停をする際には、収入印紙と予納郵券が必要です。
収入印紙は被相続人1人につき1,200円
遺産分割調停の手数料は1,200円で、この手数料分の収入印紙を申立書に貼って納めます。
正確には、被相続人1人につき1,200円です。したがって、父と母が相次いで亡くなり、両方の遺産についてまとめて調停を申し立てる場合には、被相続人が2人となるため2,400円分の収入印紙が必要になります。この金額は法律で決まっているため、どの家庭裁判所でも同じです。
予納郵便切手は申立先の家庭裁判所に確認(東京家裁の金種例)
また、裁判所が郵送のために用いる切手(郵券)をあらかじめ納める必要があり、この郵券のことを予納郵券と呼んでいます。
予納郵券は裁判所が指定する券種の郵券を購入して納めることになっており、裁判所によって異なるので、申立てをするときに確認しましょう。
おおむね合計2,000円~4,000円程度です。
例えば東京家庭裁判所の場合、遺産分割調停では、相手方が5名までであれば合計2,800円分(110円切手20枚、50円切手10枚、10円切手10枚)とされています。相手方が10名までであれば、この組合せを2組納め、以降は相手方が5名増えるごとに1組ずつ追加します(令和6年10月版の予納郵便切手一覧表による)。
郵便切手の金額と金種は、郵便料金の改定などにともなって見直されることがあります。古い情報のまま用意すると不足が生じるため、申立ての直前に、申立先の家庭裁判所のウェブサイトで最新の一覧表を必ず確認してください。
なお、郵便料については、切手ではなく保管金として納付することもできます。インターネットバンキングやATMからの電子納付にも対応しているため、切手を買いに行く手間を省きたい場合は、こちらの方法も検討するとよいでしょう。
戸籍・証明書類の取得費用の目安
裁判所に納める費用のほかに、書類の取得費用がかかります。1通あたりの金額は次のとおりです。
| 項目 | 費用の目安 |
|---|---|
| 収入印紙 | 被相続人1人につき1,200円 |
| 連絡用の郵便切手 | 裁判所により異なる (東京家裁は相手方5名まで2,800円) |
| 戸籍謄本 | 1通450円 |
| 除籍謄本・改製原戸籍謄本 | 1通750円 |
| 住民票・戸籍の附票 | 1通300〜400円程度 |
| 登記事項証明書 | 1通600円 (オンライン請求は480〜500円) |
| 固定資産評価証明書 | 1通300〜400円程度 |
| 残高証明書 | 1通数百円〜1,000円程度 |
戸籍の通数は、被相続人の転籍の回数や相続人の人数によって変わります。一般的なケースでは、書類の取得費用は全体で数千円から1万円程度に収まることが多いでしょう。裁判所の費用と合わせても、申立て自体にかかる実費は1万円台に収まるのが通常です。なお、調停の中で不動産などの鑑定を行うことになった場合には、これらとは別に鑑定費用の予納を求められることがあります。
なお、弁護士に依頼する場合は、これらの実費とは別に弁護士費用がかかります。費用の全体像については関連コラムもあわせてご覧ください。
戸籍収集をラクにする2つの制度(広域交付・法定相続情報証明)

- 2024年3月から、本籍地以外の窓口でも戸籍をまとめて請求できるようになった
- ただし兄弟姉妹の戸籍は広域交付の対象外
戸籍集めの負担を減らす方法はありますか。
使える制度が2つあります。ただし、それぞれ限界もあります。
戸籍の広域交付制度(2024年3月〜・本籍地以外でもまとめて請求可)
従来、戸籍謄本は本籍地のある市区町村でしか取得できませんでした。被相続人が何度も転籍していると、そのたびに遠方の役所へ郵送で請求する必要があり、これが戸籍収集に時間がかかる最大の理由でした。
2024年3月1日から始まった「戸籍の広域交付制度」により、本籍地以外の市区町村の窓口でも戸籍証明書を請求できるようになりました。ほしい戸籍の本籍地が全国各地にあっても、1か所の窓口でまとめて請求できます。郵送のやり取りが不要になるため、数週間かかっていた収集が1日で終わることもあります。
手数料は従来と同じで、戸籍謄本が1通450円、除籍謄本・改製原戸籍謄本が1通750円です。
広域交付の限界(兄弟姉妹の戸籍は対象外・窓口請求のみ)
便利な制度ですが、限界もあります。次の点に注意してください。
- 請求できるのは、本人・配偶者・父母や祖父母などの直系尊属・子や孫などの直系卑属の戸籍に限られる
- 兄弟姉妹や甥姪など、傍系親族の戸籍は請求できない
- コンピュータ化されていない一部の戸籍・除籍は対象外
- 本人が窓口に行く必要があり、郵送や代理人による請求はできない
- 窓口では、運転免許証やマイナンバーカードなどの顔写真付きの本人確認書類の提示が必要
遺産分割調停との関係で特に問題になるのが、2つ目の制限です。兄弟姉妹や甥姪が相続人になるケースでは、被相続人の兄弟姉妹の戸籍が必要になりますが、これは傍系にあたるため広域交付を使えません。前述のとおり、このケースはもともと必要な戸籍の数が最も多いため、負担が大きいままという点は押さえておきましょう。
また、窓口請求のみという制限があるため、平日に役所へ行く時間が取れない方は利用しにくい面もあります。弁護士に依頼した場合は、職務上請求という別の方法で戸籍を取得できます。
法定相続情報一覧図で戸籍一式の代わりにできる
もう1つが「法定相続情報証明制度」です。集めた戸籍一式と相続関係を一覧にした図を法務局に提出すると、法務局が認証した「法定相続情報一覧図の写し」を無料で交付してもらえます。
裁判所の案内では、戸籍等に代えてこの一覧図の写しを提出できる場合があるとされています。ただし、提出できるかどうかは申立先の家庭裁判所に確認するよう案内されているため、事前に問い合わせるのが確実です。
一覧図は、金融機関の手続きや相続登記にも使えます。戸籍一式を各所に提出して返却を待つ必要がなくなるため、調停と並行してほかの相続手続きも進めたい場合には特に有効です。
揃わない戸籍は申立て後の追加提出も認められる
「すべての戸籍が揃わないと申立てができない」と思われがちですが、そうではありません。裁判所の案内では、申立て前に入手できない戸籍等がある場合、その戸籍等は申立て後に追加提出することでも差し支えないとされています。
これは実務上とても重要なポイントです。古い戸籍が見つからない、遠方の役所からの返送を待っているといった事情で、申立て自体を先延ばしにする必要はありません。なお、調停を申し立てても相続税の申告期限(10か月)は延長されないため、期限までに遺産分割がまとまらない場合には、いったん法定相続分で申告することになる点には注意してください。
ただし、どこまで揃っていれば受け付けてもらえるかは事案によります。判断に迷う場合は、申立先の家庭裁判所か弁護士に相談しましょう。
書類の提出先と提出方法

- 申立先は「相手方の住所地」の家庭裁判所であり、申立人の住所地ではない
- 当事者が合意すれば、別の家庭裁判所を申立先にできる
書類は、どこの裁判所に出せばよいのでしょうか。
自分の住所地ではない点に注意が必要です。確認しましょう。
管轄:相手方のうち1人の住所地の家庭裁判所または合意で定める家庭裁判所
遺産分割調停を申立てるのに作成した書類は、遺産分割調停を管轄する家庭裁判所に提出します。どこの裁判所でもよいわけではないので注意しましょう。
なお、管轄は相手方の住所地を管轄する家庭裁判所です。相手方が複数いる場合は、そのうちの1人の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てることができます。
誤解されやすいのですが、申立先は「申立人(自分)の住所地」ではありません。被相続人の最後の住所地でもない点にも注意が必要です。相手方が遠方に住んでいる場合、その遠方の家庭裁判所に申し立てることになります。
第二百四十五条 家事調停事件は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄に属する。
条文にあるとおり、もう1つの選択肢が「当事者が合意で定める家庭裁判所」です。当事者全員が合意すれば、相手方の住所地以外の家庭裁判所を申立先にできます。相手方が遠方でも、話し合いによって双方が通いやすい裁判所を選べる可能性があるということです。
なお、遠方の裁判所であっても、電話会議やウェブ会議を利用して期日に参加できる場合があります。管轄について不安がある場合は、弁護士にご相談ください。
提出方法と部数(原本+相手方の人数分の写し)
書類の提出方法として、直接持参する方法と郵送する方法があります。
自分で申立てをする場合には、直接持参するのが確実です。
管轄の裁判所が遠方である場合や、平日に持参する時間がない場合には、郵送でもかまいません。
部数については、前述のとおり申立書は原本1通と相手方の人数分の写しが必要です。一方、戸籍などの添付書類は、同じ書類であれば1通で足りるとされています。相手方の人数分を用意する必要はありません。
提出した書類は相手方にも送付される
見落とされやすいのが、提出した書類の写しは相手方にも送付されるという点です。申立書や各種目録は、相手方が内容を確認したうえで手続きに臨めるよう、裁判所から相手方へ送られます。
つまり、申立書に書いた住所は、原則として相手方に知られることになります。また、申立ての実情に書いた内容も相手方が読むことを前提に考える必要があります。
相手方に住所を知られたくないという事情がある場合には、次の項目で解説する対応を検討してください。
相手に住所などを知られたくない場合(非開示の希望)

- 知られたくない情報は、まずマスキングして書面に現れないようにするのが原則
- 非開示希望申出をしても、裁判官の判断で認められないこともある
相手に住所を知られたくない事情があります。どうすればよいですか。
2つの制度があります。要件も効果も違うので、順番に確認しましょう。
DVや絶縁などの事情から、相手方に現住所を知られたくないという方は少なくありません。裁判所の案内では、まず原則として、知られたくない情報が書面に現れないよう、該当箇所をマスキング(黒塗り)して提出することが大切だとされています。
もっとも、裁判所には読んでほしいのでマスキングできない、という場合もあります。そのときに使えるのが「当事者間秘匿制度」と「非開示希望申出」の2つです。それぞれ要件も効果も異なります。
| 比較項目 | 当事者間秘匿制度 | 非開示希望申出 |
|---|---|---|
| 対象となる情報 | 当事者・法定代理人の住所等・氏名等 (子は対象外) |
左記に加え、子に関する情報や診断書の病院名など、より広い情報 |
| 手数料 | 秘匿対象者1人につき収入印紙500円 +郵便切手 |
不要 |
| 必要な資料 | 疎明資料(DV保護命令の決定書、住民票の支援措置が分かる資料、陳述書・診断書など) | 特に指定なし |
| 効果 | 秘匿決定が出れば、秘匿事項届出書面の閲覧等が制限され、代替住所Aなどの記載で足りる | 閲覧等を認めるかどうかを裁判所が判断する際の参考になる |
| 限界 | 要件を満たさなければ認められない 秘匿決定が出ても、秘匿事項届出書面以外の書面に記載した情報は当然には保護されない |
裁判官の判断により認められないこともある |
非開示の希望に関する申出書の使い方
非開示希望申出とは、裁判所に提出する書類に含まれる情報のうち、相手方などに開示されると社会生活を営むのに著しい支障が生じるおそれがある情報について、開示しないことを求める(希望する)申出です。
手続きとしては、「非開示の希望に関する申出書」に、非開示を希望する情報が記載された書類を添付して提出します。書類の一部だけについて申し出る場合は、その部分をラインマーカーなどで明確に表示します。裁判所から、当該部分をマスキングしたコピーの提出を求められることもあります。
手数料や郵便切手はかかりません。対象となる情報の範囲も広く、当事者本人の住所や氏名だけでなく、子に関する情報や、診断書に記載された病院名など、開示を希望しない情報を推知できる事項も含まれます。
一方、より強い保護を求める場合には「当事者間秘匿制度」があります。こちらは、相手方に住所や氏名を知られることで社会生活を営むのに著しい支障が生じるおそれがあるときに申立てを行い、要件を満たせば秘匿決定を得られる制度です。秘匿決定が出ると、住所や氏名に代わる「代替住所A」などの代替事項を記載すれば足りることになります。ただし、秘匿対象者1人につき収入印紙500円などの手数料がかかり、DV保護命令の決定書や住民票の支援措置に関する資料といった疎明資料が必要です。
必ず非開示になるとは限らない点に注意
重要な注意点として、非開示希望の申出をしても、裁判官の判断により認められないことがあります。この申出は、相手方などから記録の閲覧等の許可の申立てがあった際に、裁判所が閲覧等を認めるかどうかを判断する際の参考になるものであり、非開示を保証する制度ではありません。
当事者間秘匿制度についても、要件を満たさなければ秘匿決定は得られません。また、秘匿決定が出た場合でも、秘匿事項届出書面以外の書面に書いてしまった住所などは当然には保護されない点に注意が必要です。ほかの書面に秘匿したい住所を書いていないか、提出前に十分に確認する必要があります。
つまり、どちらの制度も「申し出れば必ず守られる」というものではありません。だからこそ、そもそも知られたくない情報を書面に載せない工夫が最初の防御線になります。
DV・絶縁などの事情がある場合は弁護士に相談を
住所を知られたくないという事情がある場合、どの制度を使うべきか、どの資料をどう出すべきかの判断は簡単ではありません。裁判所の案内でも、2つの制度は利用できる人・対象事項・要件・効果・手数料の有無が異なるため、それらを考慮して選択するようにと説明されています。
また、弁護士に依頼すれば、書類の送達先を弁護士の事務所にすることができます。これにより、裁判所からの書類のやり取りで住所が相手方に伝わる場面を減らせます。
DVや虐待などの事情がある場合、対応を誤ると回復の難しい事態になりかねません。申立ての準備を始める前の段階で、一度弁護士にご相談いただくことをおすすめします。
申立て前後の注意点とスケジュール感

- 資料の収集には時間がかかるため、早めの着手が大切
- 調停がまとまらない場合、審判に自動的に移行する
申立ての準備には、どれくらい時間がかかりますか。
資料集めに時間がかかります。全体のスケジュール感を確認しましょう。
遺産分割調停を申立てる際の注意点には次のものがあります。
資料の収集には時間がかかる(早めの着手を)
資料の収集には時間がかかる点にも注意しましょう。
仮に戸籍謄本の収集は遺産分割協議までに済んでいたとしても、遺産についての資料の収集には時間がかかることが通常です。
また、相続人全員の住民票をすぐに取得したものの、ほかのものがなかなか集まらず時間がかかってしまう場合もあります。
住民票は、取得から3か月以内などの期限を指定されることがあります(家庭裁判所によって運用が異なります)。期限を過ぎた場合には再度取得しなければならないことがあるため、取得の時期に気をつけましょう。
遺産分割調停の申立てを検討する場合には、資料の収集には時間がかかることはもちろん、取得する書類の順番にも気を配るようにすると安心です。
目安としては、戸籍の収集に数週間から1か月程度、金融機関の残高証明書の発行に1〜2週間程度を見込んでおくとよいでしょう。前述の広域交付制度を使えば戸籍の収集期間は大きく短縮できますが、兄弟姉妹が相続人のケースでは従来どおりの時間がかかります。
遺産分割調停にかかる期間(期日は1〜2か月に1回のペース)
遺産分割調停の期間を考えるにあたって次のことを知っておきましょう。
- 申立てから初回の期日まで1カ月程度かかる
- 期日は1カ月~2カ月ごとに1回開かれる
例えば、遺産分割調停の申立てをしてから3回の期日で合意ができた場合には、4カ月程度かかることになります。
一方、遺産分割調停の話し合いがまとまらなければ、1年を超えるようなこともあります。
相続税の申告が必要な場合には、いったん法定相続分で申告を行い、遺産分割が確定した後に、実際の取得額に応じて更正の請求または修正申告を行うことになります。
調停がまとまらない場合は審判に自動的に移行する
遺産分割調停で話し合いを進めようとしても、当事者の一方が絶対に妥協しないような場合や、細かい条件で全く折り合えない場合があります。
このような場合には調停での解決をあきらめて、遺産分割審判において遺産分割を決めなければなりません。
遺産分割審判では当事者の合意がなくとも、裁判所が遺産分割についての判断を下すので、最終的な遺産分割ができるようになります。
ここで知っておきたいのが、調停が不成立になった場合、あらためて審判を申し立てる必要はないという点です。法律上、調停の申立ての時に審判の申立てがあったものとみなされるため(家事事件手続法272条4項)、自動的に審判手続が開始されます。裁判所の案内でも、調停が不成立になった場合には自動的に審判手続が開始されると説明されています。
審判では、調停で提出した資料がそのまま引き継がれます。そのため、調停の段階から、審判になった場合を見据えて主張と資料を組み立てておくことが重要です。
よくある質問・まとめ

- 戸籍が一部揃わなくても、申立て後の追加提出が認められている
- 提出した書類の写しは、原則として相手方にも送付される
最後に、よくある疑問を教えてください。
特に質問の多い4つの点を確認していきましょう。
戸籍が一部取れない場合は申立てできない?
申立てはできます。裁判所の案内では、申立て前に入手できない戸籍等がある場合、その戸籍等は申立て後に追加提出することでも差し支えないとされています。
古い戸籍が戦災や災害で失われている場合など、どうしても取得できないこともあります。その場合は、役所が発行する「告知書」や「廃棄証明書」などを提出して、取得できない事情を説明することになります。まずは申立先の家庭裁判所に相談してみましょう。
提出した書類は相手にも見られる?
はい。申立書や各種目録の写しは、原則として相手方に送付されます。相手方が内容を確認したうえで手続きに臨めるようにするためです。
そのため、申立ての実情に感情的な内容を書くことは、話し合いを進めるうえで得策とはいえません。事実を淡々と記載しましょう。
住所など知られたくない情報がある場合は、マスキングのうえ、当事者間秘匿制度や非開示希望申出の利用を検討してください。ただし、いずれも必ず認められるとは限りません。
必要書類の収集や作成は弁護士に任せられる?
任せられます。弁護士に依頼すれば、戸籍の収集から申立書・各種目録の作成、裁判所への提出まで、一連の作業を代理して進めてもらえます。
特に、相続人の構成が複雑で必要な戸籍の範囲が分かりにくい場合や、相手方が多数いる場合には、負担の軽減効果が大きいといえます。弁護士は職務上請求により戸籍を取得できるため、平日に役所へ行けない方でも収集を進められます。
また、調停は申立てをして終わりではありません。期日での主張の組み立てや、審判に移行した場合の見通しまで踏まえて準備できる点が、弁護士に依頼する大きなメリットです。
申立て後に新しい財産が見つかったら目録は追加できる?
できます。調停の途中で新たな遺産が判明した場合は、遺産目録を訂正・追加して提出することになります。遺産分割は、原則として遺産のすべてを対象に行うものだからです。
調停の中で、遺産の範囲そのものについて当事者の主張が食い違うこともあります。その場合、まずは遺産の範囲を確定させる作業から進めることになり、時間がかかることもあります。
申立ての段階で財産の調査を尽くしておくことが、結果的に手続きを早めることにつながります。
まとめ
遺産分割調停を申立てるには、様々な書類を提出しなければなりません。
遺産分割調停申立書は必要書類のベースとなるもので、補完するための別紙として当事者目録や遺産目録などがあります。
申立書などに記載した事項が正しいことを証明するための資料は、身分関係資料や遺産についての資料などです。
必要書類は「作成する書類」「取り寄せる書類」「費用」の3つに分けて整理すると、準備すべきものが見えてきます。特に戸籍は、相続人が誰かによって必要な範囲が変わるため、最初に確認しておきたいポイントです。2024年3月に始まった広域交付制度や法定相続情報証明制度を活用すれば、収集の負担を減らせます。
いずれにせよ、遺産分割調停をスムーズに進めるには、必要書類をきちんと揃えることが重要となりますので、気になる方は弁護士にご相談いただくことをおすすめします。
<参照>
裁判所「遺産分割調停」
東京家庭裁判所「当事者間秘匿制度と非開示希望申出(Q&A)」(令和6年10月)
東京家庭裁判所「予納郵便切手一覧表(令和6年10月版)」
法務省「戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)」
e-Gov法令検索「家事事件手続法」

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