遺留分の割合や計算方法・請求方法を詳しく解説いたします!
ざっくりポイント
  • 遺留分とはどのようなものか
  • 遺留分侵害額の具体的な計算方法とは
  • 遺留分侵害額請求権を行使する方法
目次

【Cross Talk 】遺言書で不公平な扱いをされたらどうすればいい?

先日父が亡くなり、兄弟3人で相続をすることになったのですが、父が長兄に全遺産を相続させるという遺言書を残していたことがわかりました。父が築いた遺産とはいえ、あまりにも不公平だと思います。私はこのまま泣き寝入りするしかないんでしょうか?

一定の範囲の相続人には、遺留分という最低限の相続分が保障されています。お父様の遺言書はあなたの遺留分を侵害することになるので、お兄様に対して遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求することができます。

本当ですか?いくらぐらい請求できるのか、詳しく教えてください!

遺留分侵害額の計算方法と遺留分侵害額請求権の行使方法とは?

一定の範囲の相続人には、遺留分が認められており、不公平な遺言書があったとしても最低限の相続分を確保することができます。 ただ、遺留分を侵害されているかの計算は複雑で、侵害されている場合でも短期間に権利を行使しなければならないなど、権利の行使方法にも注意すべきことがあります。 そこで今回は、遺留分について一般的な解説をしたうえで、遺留分侵害額の具体的な計算方法や遺留分侵害額請求権の行使方法を紹介いたします。

遺留分の割合

知っておきたい残業代請求のポイント
  • 兄弟姉妹以外の相続人には遺留分がある
  • 直系尊属のみが相続人の場合の遺留分1/3、それ以外の場合の遺留分は1/2

最低限の遺産を相続できることはわかりましたが、具体的にどのぐらいもらえるのですか?

遺留分は、直系尊属のみが相続人となる場合は1/3、それ以外の場合は1/2と定められています。相続人が複数いるときは、この割合に法定相続分をかけた割合が、各相続人の遺留分の割合となります。

遺留分とは

遺留分とは、遺言書等があったとしても、相続人に最低限保証されている取り分です。 民法は、兄弟姉妹以外の相続人には遺留分があると定めています(民法1042条1項)。

遺留分割合とは

民法は、遺留分を割合で定めています。 直系尊属(父母、祖父母など)のみが相続人である場合は、遺留分算定の基礎となる遺産の価額の1/3、それ以外の場合は1/2です。 これは相続人全体に対して留保される遺産の割合で(総体的遺留分といいます)、相続人が複数いるときは、この総体的遺留分に各自の法定相続分をかけたものが各自の遺留分(個別的遺留分)になります。

例えば、被相続人Aの相続人が配偶者Bと子どもCDの3人であったとすると、直系尊属のみが相続人である場合ではないので総体的遺留分は1/2となり、これに各自の法定相続分(配偶者1/2、子ども1/2÷人数)をかけたものが個別的遺留分となるので、個別的遺留分はBが1/4、CDが1/8ずつということになります。

遺留分侵害額請求とは

被相続人がした一定の生前贈与や遺贈(遺言書による贈与)によって、遺留分権利者が遺留分に相当する遺産を取得できなくなった(遺留分を侵害された)場合、その生前贈与や遺贈を受けた方に対して、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求することができます。 これを遺留分侵害額請求といいます。 かつては遺留分を侵害する生前贈与や遺贈の効果を否定する遺留分減殺請求ができると定められていましたが、平成30年の民法改正によって金銭を請求することができる権利(金銭債権)すなわち遺留分侵害額請求権が生じることになりました。

遺留分の計算方法について

知っておきたい残業代請求のポイント
  • 遺留分を算定するための財産の価額を確認する
  • 遺留分を算定するための財産の価額に遺留分の割合と各自の法定相続分をかけて遺留分を計算する

私に遺留分があることはわかりましたが、遺留分は具体的にどのように計算すればいいのですか。

まず、被相続人の相続開始時の財産に贈与した財産の価額を加算し、債務を控除して遺留分を算定するための財産の価額を計算します。その遺留分を算定するための財産の価額に、遺留分の割合1/3または1/2をかけ、さらに各相続人の法定相続分をかけることで、各相続人の個別的遺留分を計算することができます。

基礎となる財産を確認

各相続人の個別的遺留分を計算するには、まず遺留分を算定する為の財産の価額を計算します。

相続開始時の財産を明らかにする

遺留分を算定するための財産の価額は、被相続人が相続開始のときに有していた財産に、財産の額を加算、減算して計算します。
そのため、被相続人が相続開始時に有していた財産の価額を正確に把握する必要があります。

生前贈与を加える

被相続人の相続開始時の財産の価額に、被相続人が贈与した財産の価額を加えます。
加算の対象となる贈与は、相続開始前の1年前にしたものに限られるのが原則ですが、被相続人と受贈者の双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、1年より前の贈与も加算しなければなりません。

特別受益を加える

相続人に対する贈与のうち、婚姻もしくは養子縁組のためまたは生計の資本としての贈与(特別受益)については、相続開始前の10年にしたものを、被相続人の相続開始時の財産の価額に加えます。

負債を差し引く

被相続人が債務を負っていた場合、債務の全額を被相続人の相続開始時の財産の価額から差し引きます。

 

これまでの解説をもとに、以下の具体例を用いて遺留分を算定するための財産の価額を計算してみましょう。

  • 被相続人が相続開始時に有していた財産の価額:7500万円
  • 相続開始の半年前にした生前贈与:1000万円
  • 相続開始の2年前にした生前贈与:500万円
  • 相続開始の5年前にした生前贈与(特別受益):2000万円
  • 被相続人の債務:1500万円

遺留分を算定するための財産の価額:7500万円+1000万円+2000万円-1500万円=9000万円

個別の遺留分の割合を確認

遺留分を算定するための財産の価額が計算できたら、その額に直系尊属のみが相続人である場合は1/3を、それ以外の場合は1/2をかけることで、遺留分(総体的遺留分)を計算することができます。

被相続人の子どもが相続人である場合、遺留分の割合は1/2になりますから、総体的遺留分は4500万円になります。

遺留分の割合を掛け算して算出

相続人が数人いる場合、2)で算定した総体的遺留分に各自の法定相続分をかけることで、各自の遺留分(個別的遺留分)を算出できます。被相続人の子どもが3人いたとすると、各自の遺留分は以下の計算式のとおり1500万円です。

個別的遺留分:総体的遺留分4500万円×1/3≒1500万円

したがって、被相続人の子どもが、生前贈与や遺贈によって1500万円に満たない財産しか相続できなかった場合、遺留分を侵害されたことになります。

遺留分侵害額の計算が出来たら

知っておきたい残業代請求のポイント
  • 1年で時効にかかるので早めに内容証明で請求する
  • 請求に応じないときは裁判所の手続を利用する

計算をして遺留分を侵害されていることがわかったらどうすればいいですか?

遺留分を侵害する生前贈与や遺贈を受けた方に対して、内容証明で遺留分侵害額請求をします。相手方が支払いに応じない場合は、訴訟をすることになるでしょう。

時効があるので早めに内容証明を

遺留分を侵害された遺留分権利者は、遺留分を侵害する贈与または遺贈を受けた方に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求することができます。 請求の方法について特段の定めはありませんが、この権利は相続の開始及び遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知ったときから1年で、時効によって消滅します。

そこで、時効にかかる前に確実に権利を行使し、かつ権利を行使したことの証拠を残すため、内容証明郵便で請求するのが一般的です。

相手が応じない場合には訴訟をする

内容証明は郵便局が文書の写しを保存してくれるために証拠が残るというだけで、相手方に支払いを強制させるような効力はありません。 そのため、内容証明を送っても、相手方が支払いに応じないこともあり得ます。

相手方が支払いに応じない場合、遺留分権利者は、家庭裁判所に遺留分侵害額の請求調停を申立てることができます。 家庭裁判所の調停では、裁判官・調停委員を介して話し合いをします。 調停委員は当事者双方から事情を聴き、法的な助言をしたり、解決案を提示したりしてくれますが、調停はあくまで話し合いですので、合意が出来なければ不成立となり終了します。

そうなると、遺留分侵害額請求訴訟を提起する必要があります。 訴訟では、相手方が支払いに応じなくても、裁判官が遺留分侵害額の支払いを命じることができ、これによって、遺留分権利者の権利を実現することができるのです。

まとめ

このページでは、遺留分侵害額の具体的な計算方法や遺留分侵害額請求権の行使方法について解説いたしました。 文献やインターネット上の情報の中には平成30年の相続法改正前のものもありますので、注意が必要です。 遺留分侵害額の計算は非常に複雑ですので、遺留分を侵害されていないか疑問をお持ちの方には、弁護士に相談することをおすすめ致します。

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