準確定申告をした場合に、医療費控除がどうなるかについて解説いたします。
ざっくりポイント
  • 準確定申告とは、亡くなった方の所得を申告する手続き
  • 医療費控除とは、一定の場合に所得から医療費を控除できる制度
  • 準確定申告であっても医療費控除の適用がある
目次

【Cross Talk 】準確定申告は医療費控除の対象になるの?

父が亡くなって、準確定申告の手続きをする必要があります。準確定申告の場合も確定申告と同様に医療費控除を受けることができますか?

準確定申告でも医療費控除を受けることができます。

そうなんですね。準確定申告において、医療費控除が受けられる場合について教えてください!

準確定申告における医療費控除や注意点について解説

確定申告において医療費控除が適用されると、所得から医療費を差し引いて所得税を計算することができます。 亡くなった被相続人の所得を申告する手続きである準確定申告においても、医療費控除が適用されますが、一定の要件を満たさなければなりません。 そこで今回は、準確定申告における医療費控除について解説いたします。

準確定申告・医療費控除とは

知っておきたい相続問題のポイント
  • 準確定申告とは、亡くなった方の所得を申告する手続きである
  • 医療費控除とは、一定の場合に所得から医療費を控除できる制度である

準確定申告と医療費控除について、それぞれの概要を教えてください。

準確定申告とは、亡くなった方の所得について、相続人などが申告をする手続きです。医療費控除とは、一定の場合に所得から医療費を差し引くことができる制度です。

準確定申告とは

準確定申告とは、亡くなった方の所得を申告するための手続きです。 ある方に一定の所得があった場合、原則として確定申告の対象になり、その方は確定申告の手続きをすることになります。 しかし、既に亡くなった方は自分で確定申告の手続きができません。 そこで、亡くなった方にかわって、その方の遺産を相続する相続人などが亡くなった方の所得を申告する必要があります。これが準確定申告です。 確定申告と同様に、準確定申告にも申告期限がありますが、準確定申告の申告期限は確定申告とは異なる点に注意しましょう。 準確定申告の期限は、「相続の開始を知った日」の翌日から4ヶ月以内です。 この「相続の開始を知った日」とは,亡くなった日が基準になるのが一般的ですが、亡くなったことを後日に知った場合は、その日が基準になります。

医療費控除とは

医療費控除とは、年間に支払った医療費が一定額を超える場合に、所得控除(所得から一定の金額を差し引いて、所得税を計算できる制度)を受けることができる制度です。 医療費控除を受ける条件として、以下の2点があります。
・その年の1月1日から12月31日の間に支払った医療費であること
・自己または、自己と生計を同一とする配偶者その他親族のために支払った医療費であること
例えば、生計を同一とする妻が事故で入院し、所得税の納税者(夫)が医療費として30万円を支払った場合、原則として医療費控除の対象です。 上記の例において、仮に夫の所得が300万円である場合、医療費控除によって30万円が差し引かれると、所得は270万円になります。

準確定申告が必要なのはどのような方か

ある方が亡くなった場合に、準確定申告が必ず必要とは限りません。 一般に準確定申告が必要になる場合の例としては、以下のようなものがあります。
・一般的な自営業者(年間の所得が48万円を超える場合)
・給与の収入金額が2000万円以上など、一定の事由に該当する給与所得者
・公的年金受給額が400万円以上など、一定の事由に該当する雑所得がある
・源泉徴収されていない給与・退職所得がある(複数の企業から給与が支払われている場合など)
目安としては、生前に確定申告が必要な場合に該当していた場合、一般的には準確定申告が必要です。 なお、準確定申告が必須ではない場合でも、還付金が発生する場合は、還付金を受け取るには準確定申告が必要です。 一般的に還付金が発生する可能性がある場合の例としては、以下のようなものがあります。
・給与所得者または年金所得者が源泉徴収されている場合
・配偶者控除や扶養控除など、各種控除を受ける場合

準確定申告の医療費控除とは

知っておきたい相続問題のポイント
  • 確定申告だけでなく、準確定申告にも医療費控除が適用される
  • 死亡診断書の作成費用は債務控除の対象となる

準確定申告の手続きでは、医療費控除の対象はどのようになりますか?

準確定申告で医療費控除の適用の対象となるものは、「被相続人が死亡日当日までに支払った医療費」であることが必要です。

準確定申告の医療費控除とは

医療費控除は主に確定申告で適用される制度ですが、準確定申告においても医療費控除が適用されます。 医療費控除の対象となる金額は、以下の計算式で求めることができます。
医療費控除の対象となる金額 = 支払った医療費 − 保険等により補填される金額(高額療養費や家族療養費など) − 10万円
例えば、医療費として40万円を支払い、家族療養費として10万円が補填された場合は、医療費控除の対象となるのは20万円です。

準確定申告で医療費控除を受けるためには

準確定申告において医療費控除を受けるには、「被相続人(亡くなった方)が死亡日当日までに支払った医療費」であることが必要です。 被相続人が亡くなった後に、相続人などが医療費を支払ったとしても、被相続人の準確定申告における医療費控除の対象にはなりません。 例えば、被相続人が4月に入院して医療費として50万円を自分で支払い、その年の7月に亡くなった場合は、被相続人の準確定申告において50万円が医療費控除の対象になります。 しかし、被相続人が生前に入院していた際の医療費50万円を、被相続人が死亡した後に相続人が支払った場合は、被相続人の準確定申告における医療費控除の対象にはなりません。

準確定申告で医療費控除を受ける場合の注意点

ある年の医療費控除の対象となるのは、その年において実際に支払われた金額に限られます。 未払いの医療費がある場合、実際に支払われるまでは医療費控除の対象にならないのです。 また、被相続人の準確定申告における医療費控除の対象になるには、死亡日当日までに被相続人によって支払われる必要があります。 被相続人の死亡後に支払われた医療費は、たとえ被相続人の遺産から支払われた場合であっても、被相続人の準確定申告の医療費控除の対象にはなりません。

死亡診断書の費用は債務控除の対象

死亡診断書とは、ある方が亡くなったことを医学的・法的に証明するための書類です。そのため、死亡診断書にかかった費用は、医療費控除の対象ではありませんが、債務控除の対象になります。 死亡診断書には人が亡くなった事実に関する情報が記載されます。例として以下のものがあります。
・死亡した原因
・死亡した年月日・時刻
・診断した年月日
・診断した医師の氏名
死亡診断書の作成費用については、相続税の申告において債務控除(遺産の価額から一定の費用を差し引いて計算すること)が可能です。 例えば、死亡診断書を作成する費用として1万円かかった場合は、死亡診断書の債務控除によって、遺産の価額から1万円が差し引かれます。

まとめ

準確定申告とは、亡くなった方の所得を相続人などが申告する手続きであり、医療費控除とは、一定の医療費について所得から控除できる制度です。 準確定申告において医療費控除が適用されるには、準確定申告の対象である被相続人が、被相続人の死亡日当日までに支払った医療費であることが必要です。 被相続人の死亡後に相続人などが医療費を支払った場合は、被相続人の遺産から支払ったとしても、被相続人の準確定申告の医療費控除の対象にはなりません。 準確定申告や医療費控除について詳しく知りたい場合は、相続問題に詳しい弁護士や税理士に相談することをおすすめします。

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