遺産分割の割合がどのように決まるかを解説いたします。
ざっくりポイント
  • 遺言書がある場合は、原則として遺言書の内容に従って遺産分割をする
  • 遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議をする
  • 民法が定める相続分の割合法定相続分といい、配偶者は常に1/2の法定相続分を有する
目次

【Cross Talk 】遺産分割の割合はどうやって決まるの?

親の遺産を複数の相続人で分割する場合、遺産分割の割合はどうやって決まるのですか?

法的に有効な遺言書がある場合は、原則として遺言書の内容で分割します。遺言書がない場合は、相続人で遺産分割協議をします。

遺言書がある場合は原則として遺言書が優先されるんですね。遺産分割協議についても教えてください!

遺産分割の割合を決める方法や法定相続分の割合について解説

被相続人が亡くなって、各相続人が遺産を相続する場合は、遺産分割の割合を決めなければなりません。 遺産分割の割合を決める方法として遺言書や遺産分割協議がありますが、方法によって優先順位があるので注意が必要です。 そこで今回は、遺産分割の割合がどうやって決まるのかを解説いたします。

遺産分割割合の決め方

知っておきたい相続問題のポイント
  • 遺言書がある場合は、原則として遺言書の内容に従って遺産分割をする
  • 遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議をする

被相続人の遺産をどの割合で相続するかは、どうやって決めるのですか?

被相続人による遺言書がある場合は、原則として遺言書の内容に従って遺産分割をします。遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議をして決めます。

遺産分割については、こちらの記事をご確認ください。 遺産分割とは?遺産分割で困ったら弁護士に相談!

遺言書がある場合

遺言書がある場合は原則として、遺言書で指定された割合で遺産を相続します。 民法が定める相続の割合を法定相続分といいますが、遺言書によって法定相続分とは異なる割合を指定することも可能です。

例えば、1,000万円の遺産の相続人として、長男と次男の2人がいるとしましょう。 「1,000万円の遺産のうち、600万円を長男に相続させ、残り400万円を次男に相続させる」という内容の遺言書がある場合、原則として、遺言書の内容に従って遺産を相続します。

法定相続分の割合は長男と次男がそれぞれ500万円ずつですが、遺言書による指定が優先されるのが原則です。その結果、長男は600万円を相続し、次男は400万円を相続します。 注意点として、遺言書は民法が定める方式によらなければ、法的な効力が認められません。

民法が定める一般的な遺言書の方式としては、自筆証書遺言・秘密証書遺言・公正証書遺言の3種類があります。 遺言書としての効力が認められるには、上記のいずれかの方式を満たすことが必要です。 遺言書の方式を満たさない場合は、遺言書を作成しても、遺言書としての効力が認められません。

遺言書がない場合には遺産分割協議を行う

遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議をします。 遺産分割協議とは、被相続人の遺産をどのように分割するかについて、相続人全員が協議をして決める手続きです。

遺産分割協議においては、どの相続人が・どの遺産を・どの割合で相続するかについて、相続人が話し合いをして決めます。 遺産分割協議が成立するには相続人全員が協議に同意しなければなりません。相続人の同意を一人でも欠いた場合は、遺産分割協議は無効になります。 なお、遺言書がある場合でも、相続人全員が同意をすれば、遺言書の内容と異なる遺産分割をすることも可能です。

例えば、相続人として長男と次男がおり、「遺産の2/3を長男が相続し、1/3を次男が相続する」という内容の遺言書があるとします。 長男と次男が遺産分割協議をして、それぞれ1/2ずつの割合で遺産を相続すると決めた場合、遺言書の内容とは異なりますが、その割合で遺産分割をすることができます。

法定相続分はどうなっているか

知っておきたい相続問題のポイント
  • 民法が定める相続分の割合を法定相続分という
  • 配偶者がいる場合は常に1/2の法定相続分を有する

相続の割合として、法定相続分があると聞きました。法定相続分とはなんですか?

法定相続分とは、民法が定める相続の割合です。

相続順位と法定相続分

民法が定める相続人のことを、法定相続人といいます。 法定相続人に該当するのは、被相続人の配偶者・子(直系卑属)・親(直系尊属)・兄弟姉妹です。 配偶者がいる場合、配偶者は常に法定相続人になります。 配偶者以外の法定相続人には順位があり、順位が上の方が法定相続人になります。 順位が上の方が法定相続人になった場合、順位が下の方は法定相続人にはなりません。

法定相続人の順位は以下の通りです。

・第一順位:子(直系卑属)
・第二順位:親(直系尊属)
・第三順位:兄弟姉妹
例えば、被相続人の親族として長男・父親・兄の3人がいる場合、第一順位である長男が法定相続人になります。父親と兄弟姉妹は順位が下なので、法定相続人にはなりません。

法定相続人がどの割合で遺産を相続するかについて、民法が定める割合を法定相続分といいます。 法定相続分は配偶者がいる場合は重要な要素ですが、配偶者がいない場合は、順位の高い法定相続人が全てを相続します。 同じ順位の相続人が複数いる場合は、頭数で割ります。 例えば、1,000万円の遺産の法定相続人として、長男と次男がいる場合、それぞれの法定相続分は500万円ずつです。

配偶者がいる場合

相続人の中に被相続人の配偶者(被相続人の夫または妻)がいる場合、配偶者は常に法定相続人となります。 なお、相続における配偶者に該当するには法的な婚姻関係が必要なので、事実婚や内縁関係の場合は法定相続人とはなりません。

・配偶者のみの場合
相続人が配偶者のみの場合、配偶者が相続する割合は10割です。 例えば、遺産が1,000万円で配偶者のみが相続する場合、1,000万円全てを相続します。

・配偶者と子どもの場合
相続人が配偶者と子ども(直系卑属)の場合、法定相続分の割合は配偶者が1/2、子どもが1/2です。 子どもが複数いる場合は、子どもの頭数で1/2を割ります。 例えば、遺産が1,000万円で、相続人が配偶者・長男・次男の場合です。 それぞれの法定相続分は配偶者が1/2(500万円)・長男が1/4(250万円)・次男が1/4(250万円)になります。

・配偶者と親の場合
相続人が配偶者と親(直系尊属)の場合、法定相続分の割合は配偶者が2/3、親が1/3です。 親が複数いる場合(被相続人の父と母の両方が健在の場合など)は、親の頭数で1/3を割ります。 例えば、遺産が1200万円で、相続人が配偶者・父・母の場合です。 それぞれの法定相続分は配偶者が2/3(800万円)・父が1/6(200万円)・母が1/6(200万円)になります。

・配偶者と兄弟姉妹の場合
相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合、法定相続分の割合は配偶者が3/4、兄弟姉妹が1/4です。 兄弟姉妹が複数いる場合は、兄弟姉妹の頭数で1/4を割ります。 例えば、遺産が1600万円で、相続人が配偶者・姉・弟の場合です。 それぞれの法定相続分は配偶者が3/4(1200万円)・姉が1/8(200万円)・弟が1/8(200万円)になります。

まとめ

遺産分割の割合を決める方法として、遺言書や遺産分割協議があります。 法的に有効な遺言書がある場合は、原則として遺言書で指定された割合で遺産を相続します。 遺言書がない場合は、相続人全員が遺産分割協議をして同意することで、遺産分割の割合を決めることができます。 民法が定める割合として法定相続分がありますが、遺言書や遺産分割協議によって、法定相続分とは異なる割合を定めることも可能です。

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この記事の監修者

弁護士 丸井 駿第二東京弁護士会
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