成年後見で発生するトラブルと解決方法
- 成年後見で発生するトラブル事例
- 成年後見で発生するトラブルの解決方法
- 成年後見でトラブルを発生しないためには弁護士に相談をしておく
目次
【Cross Talk 】成年後見でトラブルになるようなことが怖いのですが…
母が認知症にかかって成年後見制度の利用を考えています。いろいろ調べていた中で成年後見を巡ってトラブルになるケースも多いということも見ました。どんなトラブルがあるのでしょうか。
成年後見人による金銭着服は残念ながらよく耳にしますね。どんなトラブルがあるかを確認して対策を知っておきましょう。
詳しく教えて下さい。
成年後見でトラブルに?事例と対応策を知っておこう
本人が加齢や認知症・精神疾患などの原因で生活に必要な契約などを行うための判断能力を失ったときに利用するのが成年後見制度です。ただ、この成年後見制度についてトラブルとなってしまう事例があります。どのようなトラブルがあるのか、それを避けるためにはどのようにすればいいのか、このページで確認しましょう。
成年後見制度におけるトラブル
- 成年後見制度におけるトラブルの実例
- 成年後見人は遺産を管理する立場にあるので成年被後見人の遺産を着服することが稀にある
成年後見制度ではどのようなトラブルがありますか?
いくつかパターンがありますが、成年被後見人の遺産を管理する立場にあるため、成年後見人が、遺産の着服をされるケースが稀にあります。
成年後見人が金銭を着服
成年後見制度においてもっとも多いトラブルは成年後見人が金銭を着服することです。 成年後見人は成年被後見人の遺産を管理する立場にあります。 1年に1回その管理の内容を裁判所に報告する義務があるものの、綿密に計画して遺産を着服するケースが稀にあります。 2020年3月31日に那覇市で成年後見人をつとめていた40代の市職員が3人で合計398万円を着服していたため懲戒免職されたことが発表されました。 また2021年1月21日大分県行政書士会所属の行政書士が、90歳代の女性の預貯金約4800万円を着服して、大分地裁で懲役3年6ヶ月の判決が言い渡されています。 そして残念なことに、2021年3月28日成年後見人をしていた弁護士(起訴時には廃業)が2300万円を横領していたとして懲役2年8ヶ月の判決が言い渡されています。成年後見人が仕事をしない
次に、成年後見人が仕事をしないケースです。 成年後見人の業務は大変です。定期的に、家庭裁判所に業務報告をしなければなりません。 そのため、中には、在任中に職務を投げ出してしまう方もいます。 本人が、介護付有料老人ホームに入所している場合、身元引受人に、入居料が支払われていないと連絡が入ってトラブルが発覚する例があります。夫の年金を妻が使えない
夫婦のうち妻が専業主婦であったような場合、夫の年金で、夫婦の生活費としているケースが少なくありません。 このときに夫が認知症にかかってしまったため成年後見を利用し、妻以外が成年後見人に選ばれたとしましょう。成年後見人が、選ばれると、夫の財産を管理する権限は、成年後見人が握ります。 その結果、夫の年金から生計を立ててきた妻は、夫の年金を使えなくなり、露頭に迷ってしまいかねません。成年後見でトラブルが発生しないためには
- 成年後見でトラブルを発生させないための対処法
成年後見制度を利用してトラブルを発生させないためにはどのような方法がありますか?
制度の内容とトラブルが発生した場合の対処法を知っておきましょう。
任意後見契約を結び、信頼できる人に後見人になってもらう
これから自分の判断能力が無くなったときに備えておこうと思っている場合には、任意後見契約の利用を検討しましょう。 任意後見は成年後見のうち、判断能力があるうちに後見人となる人と任意後見契約を結んでおき、いざ判断能力が無くなったときにその方に後見人に就任してもらうものです。 成年後見のもう一つの制度である法定後見は、本人の判断能力が無くなった後に利用されるもので、後見人を選ぶのは裁判所です。 本人と面識がない人や金銭管理ができない人が成年後見人に就任してしまった場合などに、上記のような着服が生じることが稀にあります。 そのような事態を避けるために、自分が信頼できる人に後見人になってもらうことができるのが任意後見です。 また、夫の年金を妻が利用できないトラブルは、任意後見契約の中で、夫の年金の中から妻の生活費を出すことを明記しておくことによって避けられる可能性があります。成年後見人が仕事をしない場合には解任を請求する
成年後見人が本人の資産の着服をするような場合や、仕事を放棄しているなど、成年後見人としての仕事をしていない場合には、親族などの請求があれば、家庭裁判所は成年後見人を解任することができます(民法846条)。 成年後見人が仕事をしない場合には,、成年後見人の解任を家庭裁判所に請求しましょう。家族信託を利用して家族が生活に困らないようにする
最後に後見制度を利用することで、夫の年金や預金から妻の生活費が出せなくなる恐れがある場合の対策を検討しましょう。 遺言書は、夫の死後に効力を生じるものです。遺言書で、妻の財産を遺しても、妻の生前の生活を守れません。 このような場合には夫の資産から妻の生活費を捻出する内容の家族信託契約を結んでおくのが有効です。まとめ
このページでは、成年後見によって生じるトラブルとその対応方法についてお伝えしました。 どのようなトラブルが発生するかは、成年被後見人の資産や、誰を成年後見人にするかなどによっても異なります。 成年後見で発生するトラブルについて悩んでいるのであれば、弁護士へ相談することをおすすめします。
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- 判断力があるうちに後見人を選んでおきたい
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- 認知症になってしまった後の財産管理に不安がある
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