相続をするときに、「今住んでいる家に住み続けたい」という希望がある場合の解決方法
ざっくりポイント
  • 相続で「今住んでいる家に住み続けたい」という希望がかなわない可能性がある場合
  • 相続で「今住んでいる家に住み続けたい」という希望を叶えるための方法
  • 相続における交渉の注意点
目次

【Cross Talk 】今住んでいる家に住み続けることはできますか?

先日夫が亡くなり、私と子ども2人で相続をすることになりました。お恥ずかしい話ですがあまり家族はうまくいっておらず、夫の相続について既に揉めてしまっています。私は今住んでいる家に住み続けたいのですが、何かいい方法はないでしょうか?

自宅の価値が遺産のほとんどを占めてしまっているのでしょうか?配偶者居住権の設定ができないかどうか検討してみましょう。

そういうものがあるんですね!詳しく教えてください。

相続をしても、今の自宅に住み続けたいという希望を叶えるためには

相続をしたときに、今の自宅に住み続けられるかは重要な関心事です。しかし、不動産の価値が遺産の大部分をしているような場合には、共同相続によって上手に分割できないような場合があります。 このような場合でも今の自宅に住み続けられるようにするための基礎知識を知っておきましょう。

住んでいる家の相続がある場合に知っておくべき「配偶者居住権」とは?

知っておきたい相続問題のポイント
  • 配偶者居住権とは?その活用方法は
  • 配偶者短期居住権とは

住んでいた家に住み続けることができる「配偶者居住権」というのはどういう制度なんですか?

比較的新しい制度なので活用方法とあわせて確認しましょう

配偶者居住権とはどのようなものでしょうか。

配偶者居住権とは

「配偶者居住権とは、夫婦の一方が亡くなった場合に、残された配偶者が、 亡くなった人が所有していた建物に、亡くなるまで又は一定の期間、無償で居住することができる権利」をいいます(定義は法務局による 参考:配偶者居住権とは

夫婦の一方が残された不動産に住みつづけられるように令和2年に創設された制度で、民法1028条以下に規定されています。

配偶者居住権が認められるための要件としては
1.法律上の配偶者であること
2.被相続人が所有していた建物に被相続人が亡くなった時点で居住していたこと
3.①遺産分割②遺贈③死因贈与④家庭裁判所の審判のいずれかにより配偶者居住権を取得
という3要件を満たす必要があります。

配偶者居住権の具体的な活用例

配偶者居住権の活用例としては、不動産を配偶者が取得することで配偶者が取得できる現預金が少なくなり、生活費が不足してしまうおそれがあるといった場合に、不動産の所有権を子どもなどに相続させつつ、配偶者居住権で配偶者の居住を守ることが考えられます。不動産の所有権を子どもなどが取得することで現預金について子どもなどの取得分が減り配偶者の取得分が増えることになります。

このような方法をとることで、配偶者は居住を守りつつ、その後の生活費分も考慮した内容の相続をすることができます。なお、このように不動産の所有権を配偶者に渡さなくても居住を認めることができるので、配偶者が亡くなったときの二次相続について節税効果があることもあります。

配偶者短期居住権とは?

配偶者短期居住権とは、配偶者が無償で居住している建物について、遺贈や遺産分割によって退去することになったときでも6ヶ月は住み続けることができる権利のことをいいます(民法1037条以下)。 上述する配偶者居住権と一緒に制定されました。 配偶者居住権が当事者の合意によって設定するものであるのに対して、配偶者短期居住権は配偶者を保護するために強制的に認めることができる制度です。

従来は、遺産分割で配偶者以外の方が不動産を相続することになった場合、遺産分割が終わるまでは配偶者は無償で使用することが推定されているという判例によって、配偶者の無償での居住を推定していました。 配偶者短期居住権はこのような状態を明文で救済するとしたもので、6ヶ月間は居住をすることができ、配偶者の一方が死亡した場合でも新しい生活のための準備ができるものとしています。

「住んでいる家に住み続けたい」場合の対策方法

知っておきたい相続問題のポイント
  • 生前対策として分けやすい資産をなるべく用意しておく
  • 配偶者居住権の設定をする

なるほど、どうしても住み続けたい場合には、なにか良い手はありませんか?

配偶者居住権の設定や、家という維持や解体にお金がかかるものであるという特性を考慮した交渉を検討しましょう。

では、上記のような場合で、今住んでいる家に住み続けるための方法を検討しましょう。

生前に遺言書を作成しておく

生前の対策の一つとして、配偶者に不動産を相続させる・配偶者居住権を設定する旨の遺言書を作成しておきましょう。 配偶者が不動産を相続すると、配偶者に現金がわたらない・二次相続で相続税がかかる・他の相続人の遺留分を侵害するような場合には、配偶者居住権の設定をする旨の遺言書を作成するのが良いでしょう。 どのような遺言書を作成するかは、共同相続人が誰か、関係は良好か、どのような遺産があるか、によって異なるので、弁護士に相談をしてみてください。

生前の対策として他の相続人に分けやすい現金を用意する

まず、生前の対策を考えている場合には、他の相続人に分けやすい現金や預貯金をなるべく用意しておきましょう。 遺産分割において現預金があると、自宅・不動産のような分けづらいものがある場合に、調整がしやすくなります。 また、遺言書を作成して遺留分を侵害するような場合に、遺留分侵害額請求に対して応じやすくなります。

交渉のポイント

家などの不動産がある場合の遺産分割協議をする際のポイントも知っておきましょう。 1、000万円の自宅がある場合と、1、000万円の現金がある場合とでは、遺産という観点からは同じ価値をもっていても、その後の扱いは異なります。 不動産は現金に比べると、すぐに利用することが難しく、固定資産税や維持管理にお金がかかります。 この特性を主張することで、遺産の価格としては差があっても、了承してもらうように交渉することを検討しましょう。 例えば、夫婦で住んでいた不動産であれば、築何十年も経過していることが考えられます。 固定資産税はもちろん、維持管理にお金がかかることや、建て替えをする場合には建て替えの費用がかかることを交渉する際の材料としてみましょう。

その他4つの遺産分割方法について解説

知っておきたい相続問題のポイント
  • 4つの遺産分割方法
  • 換価分割・代償分割・共有分割・現物分割がある

遺産分割の方法にはどのようなものがあるのですか?

遺産分割の方法について確認しましょう。

このページの話の前提になる知識として、遺産分割の方法について知っておきましょう。

換価分割

相続財産を売却してお金に替えて分割する方法です。 例えば、相続財産のほとんどが不動産で均等な遺産分割ができずに争いになる場合に、遺産として分けやすいお金に替えることで分割を行います。 公平な相続ができるようになるのですが、売却するわけですから、その不動産に住むことはできなくなります。

代償分割

不動産のようにそのままでは分けられない遺産がある場合に、その遺産を単独で相続する方が、他の方に金銭を支払う遺産分割方法をいいます。 例えば、不動産が2、500万円・現預金が500万円あって、配偶者と子ども1人で相続する場合、不動産を相続する配偶者が、子どもに1、000万円支払うことで、相続当事者が1、500万円分ずつ均等に相続をすることができます。 不動産を単独所有にでき、かつ公平な相続をすることができますが、支払うための現金がない場合には利用できない点に注意が必要です。

共有分割

目的物を共有の形で分割するものです。 例えば不動産を相続する際に、配偶者と子ども1人が相続人である場合、不動産を持ち分1/2ずつの共有とする方法です。 均等な相続ができるのですが、不動産が共有となるので、一方のみが使用するような場合、使用できない方が不公平に感じたり、売りたい場合には共同で手続きをしなければならないなどのデメリットがあります。

現物分割

現物分割とは、相続をするものをそのまま相続する方法です。 例えば、不動産は配偶者に、現預金は長男に、自動車は次男に、という形で、相続財産の物自体を分けずに相続をします。 権利関係が明確である一方、相続財産の価値の大部分が不動産にあるような場合、不動産を相続する相続人が相続財産の価値のほとんどを相続しているという状態になり、不公平となります。

住んでいる家の相続をする際の注意点

知っておきたい相続問題のポイント
  • 家を相続した場合には税金に注意する
  • 3年以内に相続登記をする

家を相続する場合の注意点にはどのようなものがありますか?

固定資産税や、相続した家の価値によっては相続税など税金の支払いが必要になるのと、3年以内に相続登記をする必要があることです。

住んでいる家を相続する場合の注意点にはどのようなものがあるでしょうか。

家を相続した際の税金に注意する

家を相続する際には税金に注意をしましょう。 便利な場所に土地・建物を所有しているような場合、その価値は非常に高額となるケースが多いです。 相続した遺産が相続税の基礎控除額「3、000万+(600万円✕相続人の数)」を超えている場合には、相続税の申告・納税が必要です。

居住用の不動産を相続する場合には小規模宅地等の特例で相続税がかからないこともあるのですが、この場合でも相続税の申告は必要です。 また、家などの不動産の所有権者は固定資産税の支払いも必要です。 不動産を相続した場合の税金に注意をしましょう。

家を相続したらなるべく早く相続登記をする

家を相続した場合、なるべく早く相続登記をしましょう。 相続登記については、2024年4月1日に施行される不動産登記法によると、不動産の取得を知った日から3年以内に相続登記をする必要があります。また、施行されればそれ以前の相続登記にも適用され、この法律の施行日から3年以内に相続得意をしなければなりません。 また、不動産登記が被相続人のままになってしまっていると、他の相続人が共有登記をして持ち分を売却するなどのトラブルに発展しかねません。 遅くとも3年以内を目途に、できる限り早く相続登記を行うようにしましょう。

遺産分割で「住んでいる家に住み続けたい」場合に問題になること

知っておきたい相続問題のポイント
  • 遺産の大半が不動産である場合に住んでいる家に住み続けたいという希望がかなわなくなる可能性がある
  • 具体的な紛争事例

どうして相続をする際、今住んでいる家に住み続けたいという希望がかなわないことがあるのでしょうか。

遺産の大半を不動産が占める場合に、うまく分割できないことがあるからです。

遺産分割をする際に「今住んでいる家に住み続けたい」ことが問題になるのはどのような場合でしょうか。

遺産の大半が不動産であり誰かが住み続けるのは割に合わない

住んでいる家が被相続人の所有物である場合には、相続によって家が遺産分割の対象となります。 所有している家が住みやすい場所の場合には、遺産の価値の大部分が家の価値であることも多いです。 相続人が複数いる場合には、遺産分割をする必要があるのですが、法定相続分にそって遺産を分割しようとしても、不動産の価値が高額で遺産の大部分を占める場合、うまく分けられない可能性があります。

そのまま遺産分割交渉がうまくすすまないと、最悪の場合では不動産を売却しなければならなくなり、そのまま家に住み続けることができなくなることがあるのです。

実例

例えば次のような事例です。 遺産として、配偶者と同居していた1,900万円の自宅・50万円の現預金・50万円の自動車が遺産であるとしましょう。 相続人は、配偶者・子ども2人の合計3人で、配偶者はそのまま今の自宅に住み続けたいと思っても、1,900万円の不動産を相続するとなると、遺産の9割以上を一人で相続することになってしまいます。 子ども2人のうち、もう1人の子どもも一緒にこの家に住んでいるような場合には、他の一人はたとえ現預金と自動車を相続することができても、法定相続分からするとバランスが悪いということになります。

このような場合に、バランスをとるために、配偶者・同居の子どもの側から、もう1人の子どもの側に金銭を支払うことで分割を行う代償分割という方法があります。 しかし、法定相続分に従うと子どもは合計2,000万円の遺産のうち1/4にあたる500万円を相続することができるので、現預金50万円・自動車50万円のほかに400万円を渡さなければならず、この金銭を代償として支払う必要があります。

この支払いができず、同居していない子どもの側で遺産分割を徹底的に争う場合には、不動産を売却して分割する換価分割によるほかない、ということになりかねません。 そうなると、当然ですが今いる家に住むことができないということになります。

まとめ

このページでは、相続をした際に、今住んでいる家に住み続けることについてお伝えしてきました。 相続財産として自宅がある場合に、遺産分割協議がうまくいかなくなると、最悪の場合自宅を退去しなければならない事態に陥ることもあります。 バランスが悪い相続になる場合に、現金をなるべく用意しておくことや、配偶者居住権の設定をする、などの配慮をしつつ、不動産という遺産の特徴を考慮して遺産分割交渉をするようにしてみましょう。

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