相続をしたくない・させたくないという理由で戸籍から抜ける・外すことができるか
- 親子関係を終了させる特別養子縁組以外で相続関係を終わらせる手段はない
- 相続したくない場合の制度としては相続放棄・限定承認
- 相続させたくない場合の制度としては相続人の廃除
目次
【Cross Talk 】戸籍から抜くっていうことはできるんでしょうか。
私の相続について相談があります。子どもの一人が家にいる間非常に荒れた生活を送っていて、妻に暴力をふるう、家のお金は持っていく、という状態でした。今は家にも寄り付かず連絡も取れない状態です。さすがに相続させたくないのですが、戸籍から抜くことはできないのでしょうか。
そもそも戸籍を動かすだけで相続関係に影響を与えることはできません。相続できなくする制度としては相続人の廃除という制度があるので、そちらを検討しましょう。
詳しく教えて下さい!
戸籍から抜ける・抜くということで相続人ではなくなる・相続人でなくする制度はありません。相続放棄・限定承認・相続人の廃除を検討しよう。
たとえば、本件のご相談者様のように、相続人である子どもがあまりにも素行が悪かったような場合や、逆に親が借金だらけで相続すると大変なことになるような場合に、戸籍から抜ければ良いのでは?と思ったことはありませんか。
戸籍とはあくまで親族関係を公証するための書類で、戸籍上の記載を動かすことで相続関係が変わるようなことはありません。相続をしたくない・相続をさせたくないような場合には、相続放棄・限定承認や相続人の廃除を利用します。
相続させたくないという理由で戸籍から抜く制度はあるのか
- 戸籍から抜く制度はない
- 親族関係が終了する制度は特別養子縁組しかない
相続させたくないという理由で戸籍から抜く制度はないんですか?
はい、ありません。戸籍から抜ける制度や、親子関係を終了させる制度はあるので確認しましょう。
戸籍から抜ける制度として「分籍」という制度はあるが相続関係とは別
戸籍は筆頭者を中心に作成されていますが、その中の一人が抜けて新たに筆頭者となる「分籍」という制度があります。 分籍した方は筆頭者として新たに戸籍を作ることになります。 しかしこれによって相続人である子ども・親・兄弟の関係がなくなるわけではなく、相続関係に変わりはありません。特別養子縁組以外に親族関係を消滅させる制度はない
特別養子縁組という制度を利用すると、親族関係が消滅します。 特別養子縁組とは、養子縁組の中でも実方との親族関係を終了させる形態のものです。 しかし、この制度は相続人にしたくないという制度ではなく、子どもの福祉の観点から実方との関係を消滅させる制度です。特別養子縁組が利用できるのは子どもが原則15歳未満という要件や、子どもの福祉のために必要という要件があるので、この制度が相続をさせないために使われることはありません。
絶対に相続したくない・させたくない場合の対処方法
- 相続したくない場合には相続放棄・限定承認を利用する
- 相続させたくない場合には相続人の廃除を利用する
なるほど、戸籍を抜いてしまうという方法はできなさそうですね。
はい、しかし相続人の廃除という手段で相続させないという可能性はあります。相続したくない側の相続放棄・限定承認と併せて確認しましょう。
相続したくない場合の相続放棄・限定承認
相続したくない側としては相続放棄・限定承認という制度があります。 被相続人の財産といっても借金しかないような場合や、他の相続人が争ってしまっており相続関係から抜けたいという場合があります。 このような場合には、相続放棄をすれば、当初から相続人ではなかったという扱いになるため、負債を相続することはありません。限定承認によれば、相続した遺産の範囲でのみ負債を負います。 相続放棄については 「借金を相続してしまった!相続放棄した方がいいかなど対処法を解説!」で、限定承認については 「限定承認すればマイナス財産は引き継がない?限定承認とは?」で詳しく解説していますので参照してください。
相続させたくない場合の相続人の廃除
相続させたくない方がいる場合には相続人の廃除(民法892条)によります。 相続人の廃除とは、家庭裁判所の審判によって、相続人の資格を奪う制度をいいます。 民法891条に規定されていることを行うと当然に相続人ではなくなるのですが(相続欠格)、これ以外にも、相続させるのが相当ではないような場合に、相続人の資格を奪う制度が相続人の廃除です。条文上では、相続人から被相続人に対する虐待・重大な侮辱・著しい非行があったような場合に相続人の廃除をすると規定されています。
しかし、これらについて一度の行為で相続人としての地位を奪うのはバランスが悪いので、相続人としての地位を奪うのが相当な場合であるかを慎重に検討して審判がされます。 現実には、相続人の廃除が認められるケースは非常に少ないです。 相続人の廃除について詳しくは「相続人の廃除をしたい場合は遺言ですればいい?」を参照してください。
まとめ
このページでは相続させたくないときの方法などを中心にお伝えしました。 戸籍はあくまで親族関係を公証するものであり、相続関係は別問題です。 相続人の廃除などの制度の利用を検討しましょう。 さらに詳しく知りたい方は、一度弁護士に相談することをおすすめします。
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